オムツマンにジェラシー | カピカピオムツマン

オムツマンにジェラシー


里帰り中、実家のネコのトム(♂)が家出しました。

家出の理由はオムツマンです。たぶん。



トムはとても神経質なネコで、人に抱っこされるのが大っ嫌いでした。

でも、私の両親は嫌がるトムを毎日孫のように抱っこしてかわいがっていました。




そして、オムツマンが生まれました。


オムツマンじいじとばあばは、待望の初孫に大はしゃぎ。
トムはじいじとばあばの足元でオムツマンを見上げていました。

寂しげな表情で。





ある朝、トムはウンチをわざとトイレの外にしました。
いつもきちんとトイレにしていたウンチを。

そして、オムツマンが寝ている和室の戸をガリガリ爪を立て引っかきました。


トムはじいじとばあばの気を引きたかったのでしょう。




そんなトムの気持ちも知らない、じいじとばあばは
嫌がるトムを捕まえ、爪をカットしました。





じいじは毎日、トムの首輪に紐をつけ、お庭で遊ばせていました。
賢いトムは自分で首輪を引っこ抜き、お庭をうろうろお散歩するのが好きでした。
でも、基本的に小心者なので、お庭から一歩も外へ出たことは無かったのです。





が、その日は違いました。



首輪が外れた音を聞いてから10分もしないうちじいじが見に行きました。
いつもいるはずのトムがいません。

ご近所のお庭に隠れていると思い、ばあばと一緒に

「トムちゃーん」

と、のんきに探しました。

トムは、見つかりません。





結局その日トムは帰って来ませんでした。



じいじもばあばもふさぎ込み、ばあばはずっと目に涙を浮かべていました。

  そういえば最近トムは珍しく自分のほうから抱っこしてほしそうに
   ひざの上に乗ってきたっけ...寂しかったんだな...





次の日、私たち家族はトムの写真入りのビラを作りました。
近所中のポストに投函し、壁や電柱にも貼りつけ、一日中探し回りました。


 トムは見つかりませんでした。



保健所にも電話しました。

『うちの、トムちゃん、保護されていませんか?』

『車にひかれたネコはいませんか?』







その次の日は雪でした。


トムは、家の中で大事に大事に育てられていました。
だから、家の外は未知の世界です。
家の外を走るトラックの音にも怖がって縮こまるトムです。

そんなトムが、家を出て行ったことがすごくショックでした。





私もばあばと交代でオムツマンをみては、トムを探し歩きました。

次の日も、その次の日も...。






次の日も、その次の日も...。









トムは見つかりません。


目撃情報もありません。






トイレに入ればトムの写真。
パソコンを立ち上げればトムが壁紙。

トムをホントに可愛がっていました。10年近く。

なのに、みんなオムツマンに夢中で...。








また雪が降りました。



トムはえさのとり方も知りません。
家族以外の人を見ると怖がって隠れます。

 どんなにおなかをすかし、寒さに凍え
  外の世界に怯えているかと思うと不憫で不憫で。





私もばあばも、いつも泣いていました。
じいじはお昼休みに会社を抜け出して探していました。




トムが見つからないまま、
私が父ちゃんの所へ帰る予定の日が刻一刻と近づいてきます。





そして、私はオムツマンを連れて父ちゃんの所へ帰りました。

トムがいなくなって11日目でした。















その日の夜中、オムツマンの授乳のため目覚めた私は
光っている携帯に気づきました。









着信メール 1件





ばあばからのメールでした。







メールのタイトルは
































『うれしい、うれしい、チョーうれしい』


なんと、トムが帰ってきたというのです!



その夜、
実家では珍しく遅くまでじいじが居間のソファーでうたた寝をしていました。

じいじに寄り添っていたもう一匹の飼いネコのカイちゃんが
窓から外を見てニャアニャアと鳴きました。



じいじは、いつもと違ったカイの様子に気づきました。
外が気になり、懐中電灯を持って玄関を開けました。


  “まさかね” と、思いながらも。







その瞬間、何かがものすごい勢いで家に飛び込んできました。



トムです!



トムは真っ先に台所に向かいました。

お水→キャットフード→お水→キャットフード

と繰り返しがっついたそうです。



“ただいま”も言わず。






「おーい!トムが帰ってきたぞー!」

じいじがそう叫ぶと、ばあばがすっ飛んで来ました。
階段を転げ落ちそうになりながら。


そのものすごい勢いにびっくりしたトムは家中を逃げまわり、
ばあばはなかなかトムを抱っこできなかったそうです。




写真左が無事帰ってきてご飯をいっぱい食べた後のトムです。
目に力がありません。


チンチラでゴージャスだった長いグレーの毛も真っ黒に汚れ
木の枝のような細かいゴミがいっぱいいっぱい毛の中に埋もれていたそうです。


10キロ近くあった体重も激減し、
ばあばは抱き上げた時、あまりの軽さに涙が止まりませんでした。

「トムちゃん、ごめんね。」



そして写真右がすっかり元気になった現在のトムです。
後ろに小さく写ってるのがお手柄猫のカイです。


トムは獣医さんに全身をみてもらい、
シャンプーリンスしていい匂いをプンプンさせているそうです。


何よりじいじとばあばの愛情を存分に受けてます。
必要以上の抱っこに少々迷惑しているそうですが...。



幸せだと思います。きっと。






それにしても、オムツマンにやきもちを焼き、ふて腐れて家出したトムが
オムツマンのいなくなった日に帰ってくるとは...。



まるで近くで隠れて見ていたかのようです。







G.W頃、オムツマンを連れてお父ちゃんと実家へ遊びに行こうと思います。

そして、トムちゃんに謝ります。


でもでも、オムツマンが歩けるようになったらたぶんトムは追いかけまわされ
シッポを引っ張られることでしょう。




でも、もういなくなったりしないでね。