著  者 : 佐々木勇気
   発行所 : 浅川書房
   2020/5/25 発行
 


明後日は 第36期竜王戦 七番勝負第4局1日目が 北海道小樽市「銀鱗荘」にて行われます。
伊藤匠七段、棋王戦では昨年に続きベスト4進出です。
トップグループに食い込んで来ています。
第4局に”横歩取り”は登場するでしょうか?


<帯> 本書の内容は高度かもしれませんが、
横歩取りの醍醐味と勝負の世界の雰囲気は
しっかり伝わると思います。  佐々木勇気

  <目次>
まえがき
プロローグ
第1章 互いに譲れない変化
第2章 持久戦から作戦勝ちへ
第3章 中段飛車の戦い方
第4章 飛車角交換の攻防
第5章 気になる変化のその先
第6章 手得から具体的な良さへ
第7章 飛車のぶつけ、飛車の転回
第8章 後手積極策への対応
第9章 新しい感覚と力戦
第10章 定跡と力戦の総合型
あとがきに代えて
 
 
<まえがき>
 
本書は「横歩取り勇気流」の定跡研究書です。
 
棋士になって10年目、節目の年に納得いく内容で送り出せるのは大きな喜びです。
 
升田幸三賞を頂いたタイミングに合わせて出版できるとベストでしたが、初めての本の執筆は計画通り進むほど甘いものではありませんでした。 ・・・
 
(注)第45回(2017年度) 升田幸三賞 「横歩取り勇気流」 
 
(本書のレイアウトは)島朗九段の『角換わり腰掛け銀研究』と同じスタイルです。
 

 

 

”島朗八段の「角換わり腰掛け銀研究」は例外の一つで、 突っ込み方がハンパでなく しばらく(棋士の)誰も怖れて 島さんに 角換わり腰掛け銀 を挑まなかったくらいの本。” という紹介があります。
 
 
升田幸三賞 「横歩取り勇気流」 の受賞記念出版で、島朗九段の『角換わり腰掛け銀研究』 を目指したということです。
 
 
 
<プロローグ>
 
☗大内先生の将棋盤
 
羽生善治名人と行方尚史八段の名人戦第4局(2015年5月)を勉強で観に行ったとき、大内先生(延介九段)と話をさせていただいた。
 
私が脚付きの盤を持っていないと漏らすと、
 
「君もプロなんだから ちゃんとした道具で勉強しなさい」
 
とぴしゃり。
 
後日、大内先生のご自宅にお邪魔し、きちんとした盤や駒がどのようなものかじっくり教えていただき、その中のひとつを選んでいただいた。(写真あり)
 
 
<第4章 飛車角交換の攻防>
 
・・・☗藤井聡太四段☖上村亘四段(2017年9月銀河)戦で 第5図から単に☖2二飛とする手が現れた。
 
以下 ・・・ 後手が受けきり、快勝した。
 
・・・この将棋の影響が大きく、再び後手の☖3三金型が注目されるようになった。
 
 
引用している棋譜は、ご自身の対局はもとより ほかの先生方の対局も引用されています。
 
そして VS・研究会の局面をも 惜しみなく開示されています。
 
 
”永瀬七段とのVSをご覧いただきたい”
 
”実は似たような将棋を三枚堂達也四段との研究会で指したことがあって、・・・”
 
 
他の先生方とのVS・研究会もあると思われますが、名前が登場するのはお二方が多いです。
 
 
<あとがきに代えて>
 
藤井聡太四段(当時)戦からずいぶん時間が経った。
 
  ・・・
 
藤井戦は、自分の言葉で残したいという気持ちがあったので、取材をほとんど断ってしまった。
 
藤井四段が、増田四段を破って29連勝の新記録を立てたとき、読売新聞の仕事で感想戦を間近でみていた。
 
・・・どうして中学生の藤井四段は平常心でいられるのだろうと、不思議で仕方なかったのを覚えている。
 
それに対して私は人の波に埋もれ、足を踏まれ、頭にカメラが乗っかり、内心でひえーッと思いつつも、まったく動けないのでどうしようもない。
 
投了やむなしだった。  ・・・
 
 
増田戦の当日の様子、自身の藤井四段戦、しっかり書上げています。
 
取材をほとんど断ってしまった”ので、写真は多くても 記事は少なかったのかもしれません。
 
「平成16年組」、菅井竜也七段、斎藤慎太郎王座、永瀬拓矢七段(本書中)、みなタイトルを取っているので 佐々木さんも是非とも獲得して欲しいと思います。