本書に目を通すと、「540. 書いた人に、聞きたい(ハルメク2023年9月号)」の冒頭に書いた ”実際には 封じ手「△5六歩」の時点で 「後手受かっている」 読みだったのかもしれません。” という気になってくると思います。
 
 

 

 
(本文より)直線の変化だけでもここまで書いてきただけの分岐があるし、先手も攻め合うだけではなく受けに回ったりする選択肢もあった。
 
ここで読んでいた延べ手数はもう想像もつかない。
 
「マイナビニュース」でも 取り上げています。

 


 
これにて詰み---そのとき盤上の物語は終わり 藤井聡太の物語は進む
 
美麗な詰みを通してみる藤井聡太のキャリアヒストリー
 
 
   <<目次>>
<目次>
第1章   藤井聡太の神技
第2章   藤井聡太の詰み
番外編   藤井聡太の詰み逃れ
 
 
<はじめに>
 
プロ棋士同士の対局では、お互いに詰み手順がわかっているので、玉を詰ます手順に入ったところで投了するケースが多く、実際に詰ますところまで指されることはほとんどありません。
 
そのため、投了から詰みまでの指し手は盤上に現れず、棋譜にも残りません。
 
しかし、詰み手順の中に素晴らしい好手や妙手順が含まれていることは多く、それは詰将棋の名手、藤井聡太竜王であればなおさらです。
 
本書では藤井竜王のデビューから令和3年度までの対局のうち、相手を詰まして勝った将棋をピックアップして、詰み手順を解説していきます。
 
こうすることで、棋譜には現れなかった藤井竜王のすごさを垣間見ることができるはずです。
 
実際、詰み手順の中に驚くような手がたくさんあるため、ぜひ盤に並べて鑑賞していただければ幸いです。
 
 
<第1章 藤井聡太の神技>
☗藤井聡太の神技1・収束する未来
☗藤井聡太の神技2・お気に入りの詰み
☗藤井聡太の神技4・態度打診の捨て駒
☗藤井聡太の神技5・31手を読み切って・・・
☗藤井聡太の神技7・聡太の最長詰み手順
☗藤井聡太の神技10・焦点の捨て駒
 
 
<第2章 藤井聡太の詰み>
 
☗藤井聡太の詰み32・焦点の桂捨て
 
本局は伝説の一手「藤井の☖7七同飛成」が誕生した一局。
 
 
☗藤井聡太の詰み61・AI超え 棋聖戦第2局
 
将棋は渡辺の先手で矢倉になり、藤井が常識を覆す☖5四金という構想を披露した。
 
大いに話題になった手だが、藤井は「永瀬さんに教わった手」だと後に明かしてくれた。
 
・・・☖3一銀が「AI超えの一手」としてこちらも話題になった。
 
 
☗藤井聡太の詰み74・藤井の☗4一銀
 
第34期竜王戦ランキング戦2組、松尾歩八段との一戦。
 
横歩取りからお互いに一切の妥協ない最強手を続けた本局の最終戦でその手は出た。
 
将棋史に残る絶妙手、☗4一銀だ。
 
・・・藤井の長考中に 「指せたら人間じゃない」という声も出た。
 
そして藤井の考慮時間が59分になったところで、その手が動く。
 
  ☗4一銀・・・。
 
 
☗藤井聡太の詰み79・竜と桂の協力
 
本局は藤井の2連勝で迎えた第92期棋聖戦の第3局。
 
本局のラストシーン、渡辺が☗6三金と飛車取りに打ったところだ。
 
が、藤井は☖7一飛!と逃げた。
 
ここには馬が利いているので☗同馬で飛車がタダで取られてしまう。
 
しかし、馬の利きがなくなったことで、先手玉に詰みが生じた。
 
後日のインタビューで
 
「4四の馬筋がなくなると先手玉が詰むという状況がその以前から条件として多かった」
 
と平然と振り返っている。
 
 
解説者がその場で ”上手く解説できないことが多々起こっている” ということがよくわかります。
 
藤森哲也さんの「人間じゃない」や、深浦さんの”絶句”は、視聴者にはよくわかる説明になっていると思います。
 
 
 
   編  者 : 将棋書籍編集部
   発行所 : 日本将棋連盟
   販売元 : ㈱マイナビ出版
   2023/8/31 発行