「太陽がいっぱい」などに出演した二枚目俳優のアランドロンさんが18日、フランス中部ドゥシーの自宅で死去したと伝えられました。
私の青春時代を彩った銀幕のスターだった、アランドロンさんの死を悼みます。
特に強烈だったのは映画「太陽がいっぱい」や「冒険者たち」など、自分の映画史に残る強烈な印象を残した。
その出で立ちや、ファッションセンス、そして背後に流れるミュージックなど当時強烈な印象として残っています。
特にフランスらしい控えめで冷たい男らしさを放っており、クールでスタイリッシュと呼ぶに相応しい。
そしてこのファッションがまた我々を虜にさせるほど新鮮で素晴らしかった。
当時はVANやJUNが復活し、学生時代はアイビールックが流行り、その着こなしの参考にしたものだ。
彼が羽織るポロシャツ、花柄のカバナシャツ、リネンのシャツのほか、
オフホワイトのジーンズ、スエードのコイン・ローファー、
ロールアップされたチノパン、それに合わせたエスパドリーユなどが登場する。
トムが着るグレイスーツには、ドレスのルールを逸脱して白いローファーが合わせられている。
靴下を履くこと無く、そのままローファーを履く姿など当時から新鮮に映ったものでした。
“服が人を作る”という格言が、これほどぴったり当てはまる映画はない。
映画の内容というよりも、その映画が醸し出す全体の雰囲気にのめり込んでしまったというのが素直な感想です。
また続けて印象に残っている映画が「冒険者たち」です。
この映画に登場する、3人の大人たちが、子供のように無邪気で輝いている瞬間が美しく映し出されるのです。
一人の女性(レティシア)に夢中になる2人の男性(アランドロンとリノ・ヴァンチェラ)が魅せる無邪気な可愛らしさ、が男の魅力満載。
そしてまた映画で登場するアランドロンはフライトジャケットを羽織り、さっそうとBMWのボクサーツインに乗って登場する。
これに憧れて今でも、彼みたいなスタイルでバイクを操りたいなと思っているんです。
そして映画の中で着るグレーのスーツに黒いネクタイ、その上に羽織ったバーバリーのステンカラーコートなどどれをとっても新鮮に映りました。
この映画ももう若者と言えない大人たちが、何かを求めて冒険する姿。
これこそがまさしく冒険者であり、青春の1ページを飾るに相応しい生き方。
自分達が何かにかけることができた瞬間、その人はまさに“今を生きている”と思えるのではないでしょうか。
その当時の自分との境遇の違いに、自分の中の冒険心をくすぐるように映画に没頭しました。
間違いなく自分の映画史に残る数々の作品を残し、最も自分に影響を与えた俳優として名前が刻まれる。
自分ではできない冒険を映画の中で一緒に実演してくれた、
自分の青春時代を共に彩ってくれたアランドロンさん
その輝きはいつまでも忘れることは無いでしょう。
ご冥福をお祈りします。