赤と黒 -176ページ目

『戦う司書と荒縄の姫君』

 『戦う司書と荒縄の姫君』(山形石雄)

―あらすじ―
 武装司書見習いのノロティは神溺教団の調査を命じられる。トアット鉱山で細菌テロが行われる疑いがあるとのことだった。その10日後、世界最大の国・イスモ共和国から出された、バントーラ図書館への宣戦布告。混乱の最中、必死に防戦する武装司書たちだが…


 冒頭で「○○が死ぬ」という予想外のエピローグに始まる今巻。まさかこの人物を殺すのかと。今まで以上の激しい展開にとにかく先が気になり、夢中で一気に読み終えてしまいました。今までの5冊はこのためにあったと感じられる内容です。最後までページをめくる手を休めることは出来ません。紛れも無くシリーズ最高傑作です。そして読んだ後には寂寥感が残りました。7巻からは新展開とのことですが、図書館とその対抗勢力が壊滅に近い状況になってしまった今、7巻からは何が起こるのか気になるところです。

戦う司書と荒縄の姫君 BOOK6 (スーパーダッシュ文庫)/集英社

¥669
Amazon.co.jp

『男の禅―信長を支えた心の指針とは』

 『男の禅―信長を支えた心の指針とは』(童門冬二)

―あらすじ―
 血で血を洗う戦国時代。安定とは正反対の世の中で、戦国武将たちは"禅"を学び、自身の指針とした。


 タイトルに惹かれて買ってみたのですが、どうも求めることと違うことが書かれていました。去年11月に読んだ『新釈三国志』と同じ著者ですが、どうも私とは合わないように思えます。戦国武将の考え方と禅を結びつけるのはいいのですが、そもそもの「禅とは」みたいな部分があまりなく、結局、禅の素晴らしさが良く分からなかったのも残念です。解釈がやや強引ではないかと思える部分も多々ありました。

男の禅―信長を支えた心の指針とは (青春文庫)/青春出版社

¥630
Amazon.co.jp

『続氷点』(上下巻)

 『続氷点』(三浦綾子)

―あらすじ―
 旭川市で医師として働く辻口。妻、息子、娘の4人家族として暮らす辻口だったが、ある日、妻の不注意から3歳の娘は佐石という男に殺されてしまう。妻の希望により女の子を養子として向かえた辻口だったが、その女の子は佐石の娘だった…


 「原罪とは何か」がテーマとなっていた『氷点』の続編であり、今作では「罪の許し」がテーマとなっています。しかし前作同様、このテーマを別としても、出生の秘密を巡るヒューマンドラマとしても読むことが出来る作品です。個人的には罪の許しという部分よりも、「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものだ」、「生まれて来て悪かった人間なら、生まれて来てよかったとみんなに言われる人間になりたい」などといった言葉が心に残りました。やや偶然が過ぎるのが気になりましたが、多くの人に読んでいただきたい本です。


続氷点(上) (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

¥679
Amazon.co.jp

『蘭 竹西寛子自選短編集』

 『蘭 竹西寛子自選短編集』(竹西寛子)

―あらすじ―
 戦時中の列車に乗っている途中、少年は激しい歯痛に襲われた。あまりの痛さに父に訴えた少年に対し、父は大切な扇子を壊して楊枝として差し出した(表題作より)。心温まる作品が詰まった短編集。


 数日前に表題作でもある「蘭」を少し読み、とても感動したので収録されている本を調べて買ってきました。そして「蘭」はもちろんのこと、他の収録作品もどれも粒揃いでした。どれも哀しい話であり、人生の辛さや厳しさを教えてくれます。「蘭」に出てくる主人公のお父さんからは男の格好良さを学びました。また、人生の虚しさを描いた「茅蜩(ひぐらし)」も心に残りました。200ページにも満たない短編集ではありますが、実に大人向けの上質な作品ばかりです。

蘭 竹西寛子自選短編集 (集英社文庫)/集英社

¥555
Amazon.co.jp

『蒼き狼』

 『蒼き狼』(井上靖)

―あらすじ―
 ユーラシア大陸を制覇した英雄・チンギスハーン。父の死による苦難、宿敵との戦い、我が子との確執。彼はひたすら敵を求め、侵略と掠奪を続けた。禁じられた夕陽を求めた、英雄の生涯を描く。


 チンギスハーンの苛烈さや偉大さに陶酔してしまう作品です。ユーラシア大陸の大部分を征服するというスケールの大きさ、その圧倒的なまでの強さ、そして長男・ジュチ(ジョチ)の出生に関するドラマなどが魅力的に描かれており、グイグイと引き込まれました。そしてタイトルにもあるように、「蒼き狼」というキーワードが光ります。「蒼き狼」になることを追い求めた男達の物語でもあり、非常に面白い作品でした。何度でも読み返したい作品です。

蒼き狼 (新潮文庫)/新潮社

¥724
Amazon.co.jp

『封神演義』(上中下巻)+『「封神演義」完全ガイドブック』

 『封神演義』、『「封神演義」完全ガイドブック』(安能務)

―あらすじ―
 殷の時代の中国。殷の君主紂王は英邁であったが、妲己を妻に迎えて以来、政治を省みることはなくなり、国は腐敗の一途を辿っていた…ここに仙界と人間界が入り乱れる革命が始まる!


 三国志、水滸伝を読んだので、封神演義にも手を出してみました。封神演義と言えば、以前週刊少年ジャンプで連載していた漫画の『封神演義』を読んだことしかありませんでしたが、こちらの小説も非常に楽しんで読めました。全部で約1500ページとかなり厚いのですが、最後までテンションを落とさずに突き進んでいきます。この安能版封神演義は原典に比べてアレンジ要素が多いとの事ですが、十分な面白さでした。

 ガイドブックはやや残念なつくりです。宝貝(パオペエ)を近代兵器と比較するのは面白いのですが、肝心の宝貝の紹介が少なく、根幹部分が説明不足な感じです。人物説明も、もっと分かりやすく作ってほしいものです。年表などもあれば嬉しかったですね。

封神演義(上) (講談社文庫)/講談社

¥812
Amazon.co.jp

『水滸伝』 6巻

 『水滸伝』(北方謙三) 6巻

―あらすじ―
 12世紀初めの中国において、反乱を起こした漢たちがいた。彼らは梁山泊に立て篭もり、理想とする新しい国を作ろうとした。その物語は「水滸伝」――北方水滸伝、開幕。


 ハードボイルドなドラマであり、結構読むのにエネルギーを使う作品なのですが、やはり読み出すと面白く、引き込まれてしまいます。今巻では、前巻で死んだ男たちの穴を埋めるべく、様々な人物が動き出しました。一方敵側にも新たな人物が登場し、情報網という点からじわじわと宋江を追い詰めていきます。しかし梁山泊にも俊足の人物が登場してきました。果たして、情報戦の行方はどうなるのか、また、梁山泊に潜むスパイはどう動いてくるのか、7巻が待ち遠しいところです。

水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)/集英社

¥648
Amazon.co.jp

ヴェイパー

 新たに靴を買いました。黒→赤→黄(ホイール)→ときて、今度もまた赤を買いました。ホイールのインパクトを超えるような靴があるのかと思っていたのですが、あったのです。


 なんと今度の靴は穴開きです。こちらこちら を参照してください。


 また凄い靴を買ってしまった…

『QED 龍馬暗殺』

 『QED 龍馬暗殺』(高田崇史)

―あらすじ―
 幕末の英雄・坂本龍馬。京都の近江屋にて暗殺された龍馬だが、その実行犯や黒幕は謎に包まれている。高知の寒村での殺人事件とともに、桑原祟の推理が冴え渡る。


 実は私は坂本龍馬や幕末について疎く、あまり知らないのですが、今作も手が止まらず、3時間程度で読みきってしまいました。作中での説明が上手く、龍馬を知らずとも、最後まで読まされてしまいます。ただ、最後の部分は、龍馬暗殺に関して独自に推測している人からしてみると、あまり驚きがないかもしれません。そして毎回の如く、殺人事件と龍馬の関連性がかなり希薄でした。龍馬である必要性がありません。しかし裏の風習が少し関連しており、これはこれで宗像シリーズみたいな感じで楽しめました。

 あと文句を言うなら、あまり恋愛要素を入れないでほしいところです。歴史のロマンに恋愛を持ち込む必要性はないと思うのですが。

QED〈龍馬暗殺〉 (講談社文庫)/講談社

¥864
Amazon.co.jp

『氷点』(上下巻)

 『氷点』(三浦綾子)

―あらすじ―
 旭川市で医師として働く辻口。妻、息子、娘の4人家族として暮らす辻口だったが、ある日、妻の不注意から3歳の娘は佐石という男に殺されてしまう。妻の希望により女の子を養子として向かえた辻口だったが、その女の子は佐石の娘だった…


 「原罪とは何か」がテーマとなっている作品です。しかしそのテーマを別としても、謀略や、怒り、妬み、愛情など家族それぞれの思惑が交差した、ホラーミステリー作品としても読むことが出来ます。そのストーリーにグイグイと引き込まれ、上巻下巻ともに一気に読んでしまいました。また、下巻ではテーマが徐々に顕わになり、原罪のみならず、信頼とは何か、愛とは何かといった事も考えさせられます。続編があるようなので、今読んでいる(まだ読んでいない)本が終わったら買ってみようかと思っています。

氷点 (上) (角川文庫 (5025))/角川書店

¥514
Amazon.co.jp