『人間椅子』(江戸川乱歩文庫) | 赤と黒

『人間椅子』(江戸川乱歩文庫)

 『人間椅子』(江戸川乱歩)

―あらすじ―
 外務省書記官夫人であり、美人作家でもある佳子の元に、突然ある男から原稿が送られてきた。その原稿に描かれていた恐るべき内容とは――「人間椅子」。他9編のホラー、ミステリー作品を収録した短編集。


 漫画にしろ小説にしろ、本当に上手い人というのは、短編が上手い人ではないかと思っています。長々と続けるよりも、一定の長さの中で「面白い!」と思わせてくれる作品はなかなかありません。その点で、この短編集に収録されている短編はどれも見事な作品ばかりです。表題作「人間椅子」もオススメですが、他にも、人間の悪意を描いた「お勢登場」、一風変わった性癖の男が登場する「人でなしの恋」、個人的には地味な良作だと思う「木馬は回る」など、粒揃いの1冊です。

 脳がとろけるかの如く。退廃にして耽美。劇薬にも似た衝撃。

人間椅子 (江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店

¥470
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