『あすなろ物語』(再読) | 赤と黒

『あすなろ物語』(再読)

 『あすなろ物語』(井上靖)

―あらすじ―
 明日は檜(ひのき)になろうと願いつつも、永遠に檜になれない翌檜(あすなろ)。その翌檜に自分の姿を重ねつつ、多感な青年期を過ごし成長していく鮎太と仲間たちの物語。著者の自伝的作品。


 鮎太の成長に合わせ、少年期・青年期・成人期と、全6章からなる物語です。鮎太はもちろんのこと、高き志を抱いた若き翌檜たちがそれぞれに悩みながらも檜を目指していく、彼らの真っ直ぐな強さが心に刺さる作品です。翌檜から檜になる友人や、少し変わった友情を育んだライバル、可憐な三姉妹など、数々の登場人物も魅力的でした。中でも、中盤で主人公が「あなたは翌檜ですらない」と言われるシーンがあるのですが、そのシーンが特に印象に残っています。中学生や高校生はもちろん、大人にも読んで欲しい作品ですね。

 いつまでも手元に置いておきたい作品の一つです。

あすなろ物語 (新潮文庫)/新潮社

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