『海の鳥・空の魚』 | 赤と黒

『海の鳥・空の魚』

 『海の鳥・空の魚』(鷺沢萌)

―あらすじ―
 海に放たれた鳥のように、空を泳ぐ魚のように、不器用に毎日を生きていく人々。しかし彼らにも、一瞬のきらめきがある。20話からなる短編集。

 
 「いつもあまり読んでいない作者の本を読んでみよう」、「最近分厚い本ばかりだから薄い本にしよう」という考えの下で買ってみました。

 1話あたり10ページという短編が20作品載っており、そのどれもが日常のある1シーンを描いたものです。短編ごとに、喜び、虚しさ、希望、焦り、憧れ、戸惑いなどの様々な感情が詰まっています。個人的には最初の「グレイの空」という作品がお気に入りです。結婚に至る物語で、最後の構成が(故意か偶然か)上手いなあと感じました。逆に「普通のふたり」は結婚の虚しさを描いた作品ですが、この虚しさは結構好きですね。

海の鳥・空の魚 (角川文庫)/角川書店

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