この日記は、私の妄想と思いつきによる「ブログ小説」です。
内容は、全てフィクション。
ストーリーは思いつきで進んでいきます。
時々、知人に似た人が出てきますが、実在の人物ではありません。
目の前に差し出されたカードを見て
アタシは気を失いそうになった。
「塔」のカード。
このカードがあんまり良くないカードだって
ことくらい、タロット占いに詳しくない
アタシだって知っている。
「はっきり申し上げます。
その彼とはうまくいかないでしょう。
近いうち、予期せぬトラブルが起こります。」
「予期せぬトラブルって?」
間髪置かずつっこんだアタシに、
占い師は、一呼吸おいたあと、低い声でこう言った。
「他に好きな人ができたとか、突然の別れとか。
とにかくあなたにとって
ショックな出来事が起こるのは間違いありません」
そのあと、占い師が何を言ったのかなんて
全然覚えてやしない。
こんな日に占いなんて行くんじゃなかった。
そういえば、わざと悪いことを言って脅かしておいて
依頼者を不安にさせて、また占いに来るように仕向ける
悪徳占い師がいるって聞いたことがある。
きっとあの女もそうに違いない。
細木数子じゃあるまいし、なんでもハッキリいえば
いいってもんじゃないわよ。
予期せぬトラブルも何も、アタシと彼はまだ始まって
ないんだから。
このままじゃ終われない っつーの!
いつのまにか、由希の中で占い師は「あの女」
になり下がっていた。
あの女はインチキということで、無理やり
悪い占い結果は忘れることにしたのだ。
「占いなんていいことだけ信じていればいいのよ。」
そう自分に言い聞かせると、
彼女はやっと安心するのだった。
大手の商社に勤務する由希は、現在31歳。
思ったよりも仕事は忙しく、
仕事中心の生活が続き、恋人とはいつのまにか疎遠に。
彼氏いない歴は2年。
半年前、知り合った早川達也に恋をしている。
いわゆる“友達以上恋人未満の関係”
というヤツである。
時は12月22日。
そう、世間はクリスマス。
明後日はもうクリスマスイブだ。
今年のイブこそ、達也と「友達以上」の関係になろうと
ひそかに画策している。
彼のことを考えると次から次へと妄想がふくらみ、
ワクワクする気持ちを抑えきれない由希だった。
つづく