Side−A


俺は相葉雅紀、高校二年生。


俺は最近、変な夢を見る。


変な、というか…どっちかと言うと、ちょっと不思議な夢で…



夢の中の俺は、何処かの国の皇子だった。


城の一番高い場所から周りを眺めると、遠くには隣国が見えた。


服装からして、すごーく大昔の感じで…


最近実写化された漫画の中に出てくる時代みたいな…


国も、大陸みたいな場所で…


上手く説明出来ないけど、兎に角だだっ広いっていうか、そんな場所で…


そんな夢くらいなら普通に見るし、それのどこが不思議なんだ?って思うよね?


一番不思議なのは、夢を見る度に続きモノになってるってことなんだよなぁ…





『マサキさま!戦の炎が、この城に近づいております!』

『急いでお逃げください!!』

『マサキさまっ!!』


…そこで、目が覚めたのが、一日目。



二日目は、この状況からどうにかして皇子である俺を逃がそうと、家来達が右往左往していた。


国王である父上は、侍従と共に援軍を求めて他国に逃亡したらしい。国王不在の今、皇子の俺が殺されてしまったら、この国は立ち行かなくなる。一先ず何処かに身を潜めて、反撃の機会を狙おうという参謀の一言で、俺は身を隠すことになった。


『マサキさま!これに着替えてお逃げ下さい!』


そう言って渡されたのは、召使いの、それも女性用だった。


『いくら戦士と言えども、召使いにまでは手を出すまい。』

「えっ…あぁ…はぁ…?」


どうにも納得がいかなかったけど、事態は急を要する。背に腹は代えられない。俺は召使いの服に着替えた。


『マサキさま、カザマと一緒にお逃げ下さい。』

『カザマ』というのは、俺の側近で参謀でもある。


『召使いの夫婦ということにしておけば、万が一敵に捕まったとしても、カザマと離れ離れには、なりますまい。』


『夫婦』ってことは、カザマは俺の『夫』なの?


「マサキさま、どうかご辛抱ください。このカザマ、命に変えてもマサキさまをお護り致します。」

「…分かった。カザマ、よろしく頼む。」


「それでは、マサキさま。急いで参りましょう!」

「あの、母上と姉上は…」

『私達のことなど気にせず、兎に角貴方はお逃げなさい。』

『そうよ?マサキ。貴方にもしものことがあれば、この国は滅びてしまう。父上が援軍を連れ戻るまで生き延びて、反撃の機会を待つのですよ。』


『それより、皇子の証である翡翠のペンダントは持っていますね?』

「はい、肌身離さず、此処に…」


俺は、首元のペンダントを母上に見せた。

『困った時は、その石があなたを助けてくれるでしょう。』


『王妃さま!サクさま!敵が正門を破ったとのことです!急いでお逃げ下さいませ!』


『それでは、マサキ。私達もこの城を出ます。』

『あなたも気をつけるのですよ?』

「はい、母上も姉上もどうぞご無事で…」


別れの挨拶もそこそこに、俺はカザマと一緒に隠し扉を通り、後ろ髪を引かれる思いで城を抜け出した。


振り向くと、城の一角から火の手が上がっていて、俺はカザマと一緒に、呆然とその光景を眺めるしかなかった。



そこで、目が覚めた。


「なんなんだ?今の…夢…」


なんか、映画でも見てるような夢だったな…。



そして、三日目。


『お前たち!何処から来た!』


運悪く俺とカザマは、敵国の戦士達に捕まってしまったのだった。




…つづく。