Side−S


『ドキ…ドキ…ドキ…ドキ…』

『トク…ン…トク…ン…トク…ン』


夜の薄闇の中、重なる二つの鼓動…


「離したくない…でも、いつかは離さなきゃ…駄目…だよね」



オレの背中で、相葉先輩の指先に少し力が加わった。



「…ごめん。怖がらせた?」

「…い、いえ…」


翔くん、正直に言って?


「……。」


「あの、さ?翔くん。来年、俺が卒業するまでの、期間限定で付き合う。それなら、どう?」


翔くんのこと、大切に思ってるから。傷付けたくないから。



相葉先輩は、オレのこと、凄く考えてくれてるんだ…


オレは、その気持ちにちゃんと応えなきゃ…



「先輩が…それでいいなら…オレも」


そう言うのが、精一杯だった。



「ありがとう…。」


ねぇ…もうひとつ、いいかな…


遠慮がちに、相葉先輩が言いにくそうに、でも、ちゃんと言葉にしたのは…


「翔ちゃん…て、呼んでもいい?」


オレは黙って頷いた。


「…やっぱ…無理」


…相葉先輩?無理って…なにが?


「ねぇ…キス…してもいい?」



オレの返事を待たずに、相葉先輩の顔が近づく。


熱を持った唇が押し付けられたかと思うと、それはそっと離れた。


オレの言葉ひとつで、相葉先輩はこんな辛そうな顔になるんだ…


相葉先輩には、いつも笑顔で居て欲しい…から


オレは相葉先輩の頬に、そっと手を添えた。





…つづく。