一昨日、フェスティバルホールに聴きに行った大阪フィルハーモニー交響楽団 第575回 定期演奏会のことを書きます。指揮は井上ミッキーで、首席指揮者も務めた大フィルとの定期演奏会での指揮は1980年から始まり19回目の今回が2枚目の画像に記載されているように最後の出演となりました。

プログラムは、前半が、J.シュトラウスⅡ世の『ポルカ・フランセーズ 「クラップフェンの森で」』とショスタコーヴィチの『ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)より 行進曲、リリック・ワルツ、小さなポルカ、ワルツ第2番、ダンス第1番』。後半は、バス独唱のアレクセイ・ティホミーロフ、男性合唱団のオルフェイ・ドレンガーと共にショスタコーヴィチの『交響曲 第13番 変ロ短調「バビ・ヤール」』が演奏されました。「バビ・ヤール」でのバスの独唱が、当初予定のエフゲニー・スタヴィンスキーからアレクセイ・ティホミーロフに昨年の10月の段階で変更になっています。
尚、今回の演奏会は、オケが異なるだけで、今月初めの東京でのN響定期Aと出演者もプログラムも同じだったようです。
 
僕は演奏曲も生で聴いたことがないものばかりでソリストも合唱団も知らないし、しかもちょっと苦手な部分もあるショスタコだったし、普通なら行こうと思わないところでしたが、今年の年末で引退される井上ミッキーが指揮をする演奏会は、行けるものは全部行きたいとの想いでチケットを確保していた公演です。

 

  出演

指揮:井上道義

独唱:アレクセイ・ティホミーロフ

合唱:オルフェイ・ドレンガー

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

コンサートマスター:崔文洙(楽団ソロ・コンサートマスター)

 

  プログラム

前半

J.シュトラウスⅡ世:ポルカ・フランセーズ 「クラップフェンの森で」

ショスタコーヴィチ:ステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)より

行進曲(第1曲)、リリック・ワルツ(第5曲)、小さなポルカ(第4曲)、ワルツ第2番(第7曲)、ダンス第1番(第2曲)

後半

ショスタコーヴィチ/交響曲 第13番 変ロ短調「バビ・ヤール」

第1楽章 バビ・ヤール

第2楽章 ユーモア

第3楽章 商店にて

第4楽章 恐怖

第5楽章 立身出世

 

前半はオケの編成は10-10-6-4-4と小振り。
井上ミッキーが颯爽と登場。元気一杯に見えました。指揮台はなし。
1曲目のJ.シュトラウスⅡ世のポルカ・フランセーズ 「クラップフェンの森で」は、鳥の囀りが表現されている楽しい曲。
ミッキーは耳を澄ますようなアクションもあったりとユーモラスで聴覚でも視覚でも楽しい始まりとなりましたウインク
 
続いて、2曲目はショスタコーヴィチのステージ・オーケストラのための組曲(ジャズ組曲第2番)全8曲から抜粋された5曲「行進曲(第1曲)、リリック・ワルツ(第5曲)、小さなポルカ(第4曲)、ワルツ第2番(第7曲)、ダンス第1番(第2曲)」。
解説書によると「ショスタコがオペラや交響曲のような大規模な作品の発表における緊張感から解き放たれる数少ない瞬間の一つが、映画などの付随音楽を作曲すると時であったろう。この作品は1950年後半頃、レフ・アトフミャンが、ショスタコーヴィチの了解のもと、その映画音楽の演奏会用組曲の作成を手掛け、その折に成立したものと考えられている。」とのこと。
 
演奏曲は全て映画で用いられた音楽から転用されているとのことなので、それぞれ付与されているタイトル通りの雰囲気を持つ聴き易い曲。4曲目のワルツ第2番(第7曲)なんかは、どこかで聴いたことがあったので「これもショスタコなんやびっくり」と驚きました。客演のギターやアコーディオン、サクソフォンも良かったし、4曲目での楽団トロンボーン首席の福田えりみさんのちょっと寂し気な雰囲気のする演奏が沁みました。ミッキーがステージ上をコミカルに動いたり踊ったりするのを見ながら楽しく聴けたこともあり、対ショスタコの苦手意識がまたまた薄らぎましたグッ
 
後半は指揮台も置かれ、16-14-12-10-8の大編成オケに約60名の男性合唱団オルフェイ・ドレンガーとアレクセイ・ティホミーロフの独唱。独唱・合唱で歌われる訳詞が合唱団後方、ステージ上方に映写されながらの演奏でした。

解説書によると、この曲は『1941年、ウクライナ・キーウ郊外のバビ・ヤール(「女たちの谷」の意)でナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺。詩人、エフゲニー・エフトゥシェンコは、このバビ・ヤールを訪れた際、改めてユダヤ人の悲劇に目を向けねばならない、と考え、1961年に同名の詩を発表。ドレフュス事件やアンネ・フランクに触れつつ、「全ての反ユダヤ主義者」を詩の中で告発したエフトゥシェンコの勇気に心打たれたショスタコーヴィチは、この詩を用いて交響曲を書こうと思い立つ。第1楽章にこの「バビ・ヤール」が置かれるが、それ以降の楽章では既存の詩から「ユーモア」「商店で」「立身出世」がそれぞれ第2,3,5楽章とされ、「恐怖」と題する詩が書き下ろされ第4楽章に用いられた。第2楽章以降があからさまに反体制的な内容を含む詩であることもあいまって、バス独唱者は次々と交代を余儀なくされた』というようなメッセージ性の極めて強いものとのこと。

 

僕としては、解説書を読み、演奏を聴きながら訳詞を見ても、内容が充分理解できるものではなかったので、感想は単純になりますが、只々「凄かった」ということ。

バス独唱のティホミーロフは、この曲のソリストを2018年9月にムーティ―指揮シカゴ響と、また昨年9月にはクルレンティス指揮ムジカエテルナ及び東西ドイツ放送響との演奏で務められたとのことですが、迫力ある歌が一昨日もホール中に響きました音譜
井上ミッキーが「ティホミーロフ今日がベスト」とtweetしている(下方に貼り付けています)通りの素晴らしさ!!
また、合唱も凄かった。オルフェイ・ドレンガーは、「オルフェウスのしもべたち」の意味で1853年にスウェーデンのウプサラで誕生した世界最高のアカペラ男性合唱団と解説書に記載されています。この曲では、ひたすら単旋律を歌い継ぐものでしたが、弱音から強音まで、なんとも言えぬ凄みがありましたびっくりマーク
勿論、大編成のオケも迫力満点。
最後は静かに終わり、ミッキーが手を降ろすまで、フライングでブラボーも拍手もおきず、大感動の演奏になりました拍手
メッセージ性の強い曲だったし、家で音源で聴きたいと僕は思わないけど、生でミッキーの指揮で聴けて本当に幸せだったと思っていますニコニコ
 
開演15時、休憩20分を挟み、終演17時15分。
ミッキーのラスト定演ということもあって、ほぼ満席。大フィルの定演でここまで入るのは、あまり見かけない光景でした。
 
以下、終演後の大フィル、ミッキー、KAJIMOTOのTweetを貼っておきます。
ミッキーの「今回、体調にはすごく気をつけてがんばりました。ティホミーロフ今日がベスト👍🏻1980年から指揮してきた大阪フィルとの定期演奏会はこれで終わり。ABC主催にて大フィルとの共演は4回残ってる。」とのtweet。
すごく体調に気をつけて頑張って頂いたとのこと。ありがたいです。
また「ABC主催にて大フィルとの共演は4回残ってる。」と記載されている件、未発売の11/30のラスト以外は、今回の公演を聴いた後に追加購入した分も含め全部確保。11/30もいくつもりなので、最後まで楽しませて頂こうと思います。
 

https://twitter.com/Osaka_phil/status/1756302289516769515?t=gfe48AWDG0Cf5_JayQHgTQ&s=19 

 

https://twitter.com/michiyoshi_web/status/1756286218395136114?t=zF1OQxBPenu8jNVwxUZ4Wg&s=19 

 

https://twitter.com/Kajimoto_News/status/1756302573727035440?t=QC6jTK9JrmCSYocBYHNXeA&s=19