昨日は、京都市交響楽団 第685回 定期演奏会を聴きに行ってきました。

指揮は常任指揮者の沖澤のどかさん、プログラムは前プロがオネゲルの「交響曲第5番」とハーピストの吉野直子さんをソリストに迎えてのタイユフェールの「ハープと管弦楽のための小協奏曲」、メインプロがイベールの「寄港地」とラヴェルの「ボレロ」。ボレロ以外は、聴いたことのない曲のオール・フレンチプログラムでしたが、沖澤さんが指揮をされた演奏会でハズレことはないので、楽しみにしていました。

  出演

指揮:沖澤のどか(常任指揮者)

ハープ:吉野直子

管弦楽:京都市交響楽団

コンサートミスレス:会田莉凡(特別客演コンサートマスター)

 

  プログラム

前半

オネゲル:交響曲 第5番 「三つのレ」

 第1楽章 グラーヴェ

 第2楽章 アレグレット

 第3楽章 アレグロ・マルカート

タイユフェール:ハープと管弦楽のための小協奏曲

 第1楽章 アレグレット

 第2楽章 レント

 第3楽章 ロンド

後半

イベール:寄港地

 1.ローマ、パレルモ

 2.チェニス、ネフタ

 3.バレンシア

ラヴェル:ボレロ

 

アンコール

(ソリスト)トゥルニエ:朝に

(オーケストラ)徳山美奈子:交響的素描「石川」~加賀と能登の歌による~第2楽章《山の女》山中節より

 

いつものように、開演30分前に指揮者によるプレトーク。新年の挨拶後、プログラムの解説の前に、少し、自分の話をしますと言われました。

内容は「大学を卒業後、金沢で井上ミッキーや広上淳一さんの指揮者の講習を受けた。その際、井上ミッキーからお褒めを預かり、オーケストラ・アンサンブル金沢のアシスタントになれ、と言われ、大喜びで行ってみたけど、実はいミッキーは思いつきで言っていたので、当時、OEKにはアシスタントという役割の仕事は認められておらず、楽団事務員のような形での採用になった。そのため、ジュニアオーケストラの事務局をやったり、エキストラプレーヤーの楽屋準備とか指揮者になるためのアシスタント業務でない仕事が多く、なんで?と思うことを沢山やった。でも、今、振り返るとその時やったことがオーケストラの運営は様々な裏方さんの仕事で支えられていると実際に知ることが出来る貴重な体験になり大いに有益だったと思っている。なので、今も金沢は第2のホームのように感じているのだけれど、元旦に発生した能登半島地震には胸を痛めた。音楽家として出来ることは限られているけど、今回の定期演奏会では終演後、楽団メンバーと共に、自分もホール入口に募金箱を持って立つので、義援金の協力をお願いしたい」とのことでした。

その後、演奏曲の解説をされプレトークは終了。

 

定刻の14時30分にオケが登壇。オケの編成は14-12-10-8-7。コンミスは会田莉凡さんでトップサイドは楽団コンマスの泉原隆志くん。最初の曲は、オネゲルの交響曲 第5番 「三つのレ」。オネゲルは、第1次大戦後のフランスで活躍した「フランス6人組」(ミヨー、オネゲル、プーランク、オーリック、タイユフェール、デュレ)の一人。僕は名前を知っている程度なので、この曲を聴くのは初めて。三つのレというのは、全ての楽章がレの音で終わることに由来していて、ティンパニは、この三つのレの音にのみ使用されるとのこと。
冒頭、ホルンとティンパニ以外の全楽器の悲愴なコラールで始まるとプログラムノートに記載されおり、沖澤さんも最初に度肝を抜く始まり方をするとプレトークで言っていた通り、ちょっと不気味な感じでスタート。
第2楽章もスケルツォだけど、明るさの中にもやっぱり不気味な感じが残るメロディー、第3楽章は一旦盛り上がるけど、最後は静かに戻ってフィナーレ。このように書くと、楽しくない曲のように思われるかもしれないけど、決して、そんなことのない、ちょっと変わった曲でトランペットとトロンボーンが大活躍でしたルンルン
 
続いて、舞台転換でハープがステージ前方、指揮台の横に設置され、オケの編成は8-6-6-4-2にピッコロ、フルート2、クラリネット、ホルン2,トランペット、ティンパニ、打楽器。ハーピストの吉野直子さんは綺麗な花柄のドレス姿。
作曲者のタイユフェールは上述した「フランス6人組」の紅一点。プレトークで、沖澤さんから自分が指揮をする演奏会では1シーズンに一人は女性作曲家の作品を演奏したいとの話があり、演奏機会が少なくもっと取り上げられてもいいと思っているタイユフェールを選んだと紹介されていました。
僕は作曲者のお名前も知らなかったし、ハープがソリストになる協奏曲自体聴いたことがありませんでした。
で、初めて聴いた印象ですが、吉野直子さんのハープが兎に角、美しいキラキラ
そして、フルートやトランペットとの協奏も凄く良かった。フルートソロを副首席の中川佳子さん、トランペットソロを副首席の稲垣路子さんが務められたのは、意図して女性奏者にフォーカスを充てるためだったのかも知れません。優しい曲調にとても良く合っていましたびっくりマーク
アンコールのトゥルニエ「朝に」も凄く綺麗でしたOK
 
後半、最初はイベールの寄港地。イベールはフランス6人組ではないけど、同時期に活躍したフランス出身の作曲家。
この曲はパリからスペインを廻ってローマに向かう船旅で見た地中海周辺の各地域の印象に基づき作曲され、その地の名称が各楽章のタイトルとなっているとのこと。
オケは14型に戻り、ティンパニのほか、大太鼓、シンバル、小太鼓、タンブリン、カスタネット、トライアングル、タムタム、木琴と多くの打楽器が並ぶ華やかな曲。各地の風景が思い浮かぶような情熱的な曲調が良かったですグッ
 
そして、最後はボレロ。舞台転換でステージ中央にスネアドラムが移動。
プレトークで沖澤さんが「譜面に記載されているテンポで演奏するけどメトロノームで確認するのは止めてくださいね」爆  笑と笑いを取られた有名曲。
オケを統率し徐々に盛り上げて最後に昇華させる沖澤さんの指揮による演奏、もう、圧巻でゾクッとしましたびっくり
今迄、僕が聴いたボレロの中でもトップクラス!!
会場からは拍手喝采拍手とブラボーの嵐音譜
アンコールは前夜のフライデーナイトスペシャルと同じく、徳山美奈子さんの、交響的素描「石川」~加賀と能登の歌による~第2楽章《山の女》山中節より。能登への思いを込めた演奏でした。
 
 
開演14時30分、休憩20分を挟み、終演16時40分。
当日券なしの満席。
毎回思うことですが、沖澤さんはオケの能力を引き出すのが上手い上にプログラムのセンスが良くて、とてもいいコンサートになります。今回で今年度の沖澤さんの定演出番は最後でしたが、来年も3回出演予定があり楽しみですニコニコ
 
今回の演奏会前の沖澤さんのメッセージと終演後のTweetのリンクを貼っておきます。
 

 https://twitter.com/kyotosymphony/status/1748675937766690960?t=OXb5MeSXtOKMJBCxGiFGQw&s=19 

 https://twitter.com/kyotosymphony/status/1748675940551733663?t=s9DEfnbdAFSJttuG4iq1sw&s=19