昨日は、ボローニャ歌劇場 ベッリーニ作曲『ノルマ』(イタリア語上演・日本語字幕付)を、びわ湖ホールで観てきました。ボローニャ歌劇場は1763年に設立された、イタリアを代表する歌劇場の1つとのことで、フライヤーに大きく記載されているように、4年振り7度目の来日。びわ湖ホールには6度目となるそうです。
僕は、コロナ禍前2019年の前回来日の際、フェスティバルホールでロッシーニ作曲「セヴィリアの理髪師」(★)と、びわ湖ホールでヴェルディ作曲「リゴレット」(★)を観て、楽しませてもらいました
今回の引っ越し公演ツアーは11/2から東京4公演、その後、高崎・名古屋・岡山を経て、昨日のびわ湖が8公演目、そして、今日12日の大阪公演が千穐楽の全9公演。プッチーニ作曲の「トスカ」が6公演でベッリーニ作曲の『ノルマ』が3公演。
昨日の、びわ湖ホールでの演目は「ノルマ」で、この演目としては最終公演となっています。
スタッフ
指揮:ファブリツィオ・マリア・カルミナーティ
管弦楽・合唱:ボローニャ歌劇場管弦楽団・合唱団
演出:ステファニア・ボンファデッリ
舞台装置:セレーナ・ロッコ
衣装:ヴァレリア・ドナータ・ベテッラ
照明:ダニエレ・ナルディ
キャスト
ノルマ/フランチェスカ・ドット
ポリオーネ/ラモン・ヴァルガス
アダルジーザ/脇園 彩
オロヴェーゾ/アンドレア・コンチェッティ
クロティルデ/ベネデッタ・マッツェット
フラヴィオ/パオロ・アントニェッティ
僕が「ノルマ」を観るのは、2017年10月、びわ湖ホールで芸術監督だった沼尻竜典さんのセレクションオペラ(★)以来、2度目。
かなり時間が経っているので、あらすじは事前に読んでから観ることにしました。
ネット検索でも多数ヒットしますが、比較的、簡潔にまとめられている「わかるオペラ情報館」というHPから、以下、転載させて頂きます。(以前から、何度も書いていますが、僕はオペラは事前にあらすじを知ってから観た方が楽しめると思っているので、ブログにも、あらすじを記載しています。知りたくない方は以下、スルー下さい)
【時と場所】紀元前50年頃、ローマ領ガリア地方
【登場人物】
ノルマ(ソプラノ):巫女、ポリオーネ(テノール):ローマのガリア地方総督、アダルジーザ(メゾソプラノ):若い尼僧、オロヴェーゾ(バス):ノルマの父ほか
【第1幕】
時は紀元前50年頃、舞台は現在のフランス周辺にあたるガリア地方。このときローマ皇帝カエサルによってガリア地方は征服され、ガリアの民衆はローマの圧政に苦しんでいました。民衆はローマとの戦いを望み、巫女ノルマの伝える神のお告げを待っていました。そのノルマですが、密かにこのガリア地方を治めるローマの総督ポリオーネとの間に二人の子供をもうけていたのです。しかし、今ではポリオーネの心はノルマから離れており、彼は若い尼僧であるアダルジーザのことを想っていました。
このとき総督ポリオーネは、命令でローマに帰還することになっていました。そのため、彼はアダルジーザに一緒に帰ろうと誘います。何も知らないアダルジーザは、巫女のノルマに相談しました。これですべてが明るみに出てしまいます。そこに駆けつけたポリオーネが強引にアダルジーザを連れて行こうとしますが、事の次第を知った彼女はついていくことを躊躇し、ノルマは彼の不実を非難しました。
【第2幕】
ノルマは二人の子供が寝ているところを殺そうとしますが、そんなことはできません。アダルジーザを呼びつけ、二人の子供を連れてポリオーネと共にローマに行くように言います。アダルジーザは驚きつつも納得し、ポリオーネを説得しに行きました。しかし、彼はそれを拒否したのです。
これでノルマの気持ちは固まりました。ガリアの民衆を集めたノルマは、祭壇に上がりローマと戦うことを宣言すると、民衆は狂喜します。そのときです。アダルジーザに会おうと巫女の神殿に忍び込んだポリオーネが捕らえられ、ガリアの民衆の前に引き立てられたのです。
ノルマは一度、民衆を退け、囚われの身となったポリオーネと話します。アダルジーザのことを忘れれば、命は助けようと。しかし彼はそれを拒み、逆にアダルジーザを助けてやってほしいと頼んだのです。
ノルマは再び民衆を集めました。そして、祖国を裏切った一人の女がいることを明らかにします。民衆から怒号があびせられる中、まさにノルマの口からアダルジーザの名が告げられようとしたとき、ノルマは裏切ったのは自分自身だと宣言します。自らが火刑台に上がろうと言うのです。ノルマの崇高な行為を目前にし、ポリオーネは自分の過ちを後悔します。
ノルマは二人の子供を父オロヴェーゾに託し、火刑台へと歩み始めました。そして、その後をポリオーネも続いたのでした。
今秋は海外オケの来日公演にも数件行くこともあって、予算上、この公演も座席のグレードを落として確保したので、自席は4階最後列の1列前。随分、見下ろすことになったし、オペラグラスを使って、やっと顔が確認できる位置でした。
それから、ステージ両端に設置された電子字幕も幾分見にくかったです。
上記のあらすじでわかるように、主要な登場人物はノルマとポリオーネとアダルジーザ。他にオロヴェーゾも少し歌いますが、おおよそ、前の3人が唄い、後は合唱の出番が結構ある演目。
ノルマ役フランチェスカ・ドットのソプラノは高音が冴え、ポリオーネ役ラモン・ヴァルガスのテノールは音域が広く良く響く歌声
そして、なんと言っても、アダルジーザ役の脇園 彩さんのメゾソプラノが凄く良かった
欧州の歌劇場で出演を重ね新国立劇場にも頻繁に出演されているとのことですが、僕は初めてお聴きしました。個人的にはフランチェスカ・ドットより良かったとまで思いました
主演の3人は演技で座ったり横たわったりしながら唄うシーンもありましたが、姿勢が変わっても、ちゃんと素晴らしい歌唱が聴こえてくるところも凄かったです
それと、合唱団の歌唱も良かったし、オケも鳴らし過ぎずソリストの歌唱を上手く際立たせていたように思います。
一方、何故かセットは貧弱。
原っぱみたいなセットで最初から最後まで全く変わらないところに、黒い布が上がったり下がったり、左右に動いたりして、シーンの変化を演出しようとしているようでしたが、正直、物足りない
また、衣装も迷彩服みたいな戦闘服で、これでなんで紀元前50年
という感じ。
下の画像はネットからお借りした藤原歌劇団とMETが各々「ノルマ」を上演した際のセットが写されたものを貼ってみましたが、やっぱり、こんな感じのセットや衣装になっていたら、もっと良かったのにと思えてなりません
開演15時、休憩20分を挟み、終演18時5分。
安価なはずの4階席でも空きが多かったので、多分、客入りは悪く全体で50~70%程度だったのではと思っています。
おまけ=大ホール4階のホワイエから臨む琵琶湖。もうすぐ冬が来ることを予感させる色です。
楽しかった、この秋の海外オケ・オペラの来日公演鑑賞も、いよいい来週のBPOがラスト。
いい公演になることを期待しています。