昨日は、京都市交響楽団の第660回定期演奏会を聴きに京都コンサートホールに行ってきました。
出演者
指揮:クリスティアン・アルミンク
管弦楽:京都市交響楽団
コンサートミストレス:会田痢凡
プログラム
前半
ワーグナー:ジークフリートの牧歌
後半
ワーグナー(デ・フリーヘル編):楽劇「ニーベルングの指輪」オーケストラル・アドヴェンチャー
1) 前奏曲 2) ラインの黄金 3) ニーベルハイム 4) ヴァルハラ 5) ワルキューレたち
6) 魔の炎 7) 森のささやき 8) ジークフリートの英雄的行為 9) ブリュンヒルデの目覚め 10) ジークフリートとブリュンヒルデ
11) ジークフリートのラインへの旅 12) ジークフリートの死 13) 葬送行進曲 14) ブリュンヒルデの自己犠牲
アルミンクは過去2度観たことがあります。一度目は19年3月の小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅦ ビゼー:歌劇「カルメン」(★)。
小澤征爾さんは前年のオペラ・プロジェクトをドクターストップで欠場されましたが、この年に復帰。前奏曲でタクトを振られましたが、以降は、アルミンクに交代されました。その姿を見てアルミルクに全幅の信頼を寄せておられるように感じました。
2度目は同年7月ベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の京都公演(★)。端正な顔立ちに高身長でダイナミックな指揮姿がかっこよかったです。今回の公演でも男前は健在でした。
休憩後は、オケは16-14-12-10-8の大編成に金管・打楽器も多数。打楽器には下に貼った写真に写っているチャイム3人娘も登場。
ワーグナーが全編を書き上げるまで26年の歳月を要し完成させた楽劇「ニーベルングの指輪」は、上演4日間、総時間約15時間の大作ですが、今回の演目はオランダ放送フィルの打楽器奏者ヘンク・デ・フリーヘルが重要な音楽やライトモティーフを抜き出して約1時間強のオーケストラ曲にまとめたもの。
僕は、昨年3月に無観客上演の配信で終結した、びわ湖ホールで4年に渡り上演されたプロデュースオペラ「ニーベルングの指輪」、通称、びわ湖リング【17年ラインの黄金、18年ワルキューレ、19年ジークフリート、20年・無観客上演・配信の神々の黄昏】を観て、とても感動しました。これらの公演は、すべて、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典さんが指揮をし、演奏は、この京都市交響楽団でした。
昨日も素晴らしい演奏をされたクラリネットの首席奏者の小谷口直子さんが、自身のblogで今回の公演について、以下のように綴っておられます。
『ワーグナーと聴くと気後れしたり、話の筋を知らないからなぁ、と思っても、どうぞ何も知らずに来てくださいねと言いたいです。オペラでは確かに歌があり、言葉があり、ストーリーがありますが、ワーグナーは、オーケストラが、全部音で描写します。それを、ただ体感していただくだけで、ものすごく楽しんでいただけるのではないかと思っています。
ワーグナーが凄いと思うのは、本当に、オーケストラの「音」だけで、その場が豊かな川になったり、深い森になったり、そこに木漏れ陽がキラキラと差し込んだり、静かな月夜になったり、突然メラメラと燃え上がったり、舞台全体が今まさにガラガラと音を立てて全て崩れ落ちていくような感覚をおぼえたり、まったく不思議なのですが、本当に、音だけで、まざまざとそれが見えるほどに描写されるのです。
中で吹いていて、足がすくむような思いがする時が何度もあります。それから、人間の憎悪や、憧れや、若者の精悍さや、めくるめく愛や、惜別や、…生きていれば皆感じるようなさまざまな感情が、驚くほど鮮やかに《言葉なしに》オーケストラの響きに宿ります。これは本当に凄いとしか言いようがなくて、ぜひ生で、出来るだけ私たちに近い席で、舞台を覗き込みながら、お一人でもたくさんの方に音を浴びていただけたら嬉しいと思っています。』
僕はオペラを観たので、より楽しめたとは思いますが、たとえ観ていなくても、オケの「音」だけで情景が思い浮かぶような楽曲がワーグナーだと、今回の演奏で改めて思いました。