一昨日7/24、兵庫芸文センターで観てきた、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021喜歌劇「メリー・ウィドウ」について記載します。

 
 

出演
ハンナ・グラヴァリ(大富豪の未亡人):高野百合絵
ミルコ・ツェータ男爵(ポンテヴェドロ公使):折江忠道
ヴァランシエンヌ(ツェータの妻):高橋維
ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(公使館付の書記官):黒田祐貴
カミーユ・ド・ロシヨン(パリジャン):小堀勇介
カスカーダ子爵(パリジャン):小貫岩夫
ラウール・ド・サンブリオッシュ(パリジャン):大沼徹
ボグダノヴィッチ(領事):泉良平
シルヴィアーヌ(領事の妻):香寿たつき
ニエグシュ(公使館書記):桂文枝
プリチッチュ(退役大佐):志村文彦
プラスコヴィア(プリチッチュの妻):押見朋子
クロモウ(公使館参事):森雅史
オルガ(クロモウの妻):鈴木純子
エマニュエル:鳥居かほり
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

スタッフ
音楽:フランツ・レハール
台本:ヴィクトル・レオン/レオ・シュタイン
指揮:佐渡裕
演出・日本語台本:広渡勲

装置:サイモン・ホルズワース
衣裳:スティーヴ・アルメリーギ
照明:沢田祐二
振付 :川西清彦
合唱指揮:矢澤定明
訳詞:森島英子
衣裳補:小栗菜代子

演出助手:飯塚励生
振付助手:大畑浩恵
映像:三浦景士
舞台監督:幸泉浩司
プロデューサー:小栗哲家

 

真夏の恒例、兵庫芸文センターの佐渡裕芸術監督プロデュースオペラが帰ってきました。

昨年、センター開設15周年記念公演だった「ラ・ボエーム」が残念ながら中止になり来年に延期、今年の演目は過去に上演された中でも最も印象に残る作品と佐渡さんが語る2008年の「メリー・ウィドウ」の再演です。

僕は、「メリー・ウィドウ」を観たことがなかったのですが、面白いと評判の明るいオペレッタ!

「オペラでも人が死ぬ作品は嫌い」と佐渡さんに言った西宮のおばはんたちも大喜びした作品です。

Wキャストでトータル7日の公演ですが、僕が観たのは若手を主役に抜擢したAキャストの最終公演。

 

メリー・ウィドウは、レハール作曲の作品で、あらすじは、芸文センターの特設ページで以下のように記載されています。

「パリ。東欧の小国ポンテヴェドロの公使館では、国王の誕生日を祝す夜会の中、公使のツェータ男爵が気を揉んでいる。莫大な財産を相続した未亡人ハンナ・グラヴァリがもし外国人と結婚すれば、ポンテヴェドロの財産が国外へ流れ、国は破産してしまうからだ。ツェータ男爵は、彼女を昔の恋人ダニロと元の鞘に収めることで、財産流出を防ごうと画策。再会したハンナとダニロ。しかし二人は意地を張り、なかなか歩み寄れない。
翌日のハンナ邸での夜会。次第に良い雰囲気になるハンナとダニロ。一方、ツェータ男爵の妻ヴァランシエンヌは、パリのプレイボーイ カミーユと密会中。男爵に踏み込まれる寸前で、機転を利かせたハンナがヴァランシエンヌと入れ替わり、カミーユと登場。そしてなんとカミーユとの婚約を発表してしまう。
国家の危機か、大団円か?!大人の恋とお金をめぐる騒動の結末は…?」

 

あらすじだけでも喜劇なのですが、今回の公演、本当に面白くて楽しかった!

上記に記載した出演者に、ニエグシュ(公使館書記):桂文枝、シルヴィアーヌ(領事の妻):香寿たつきとあります。

前回2008年の桂ざこばさん・平みちさん同様、今回も上方落語の重鎮、桂文枝師匠と宝塚歌劇団元トップスター「ベルサイユのばら」でアンドレを演じた香寿たつきさんが全日出演されています。

文枝師匠は、正に、配役を演じながら、物語をナビゲートする狂言まわしの役割。

芸文センターのFacebookページからお借りした下の写真のように、オーケストラピットと客席の間にも舞台が用意されています。

先ず、冒頭、ピットの中で佐渡さんが指揮台に上り、客席に一礼したと思ったら、文枝さんとすり替わってっていて、「いらっしゃい」の掛け声で手前側の舞台に登壇してスタート。最初から、驚くと共に笑えました!

日本語上演なので、ストーリーもわかりやすく、関西弁を使った笑いも織り込んだ演出。

関西でしか出来ないオペレッタと佐渡さん以下、全員が自負するだけのことはありました。

*写真は芸文センターのFacebookページからお借りしました。ピットと客席の間にも舞台があることが分かります。

撮影シーンはカーテンコールの様子でスタオベの嵐。

 

主役を務めたハンナ役の高野百合絵さんはオーディションで選ばれた花のある美しいい方で、将来有望。

また、相手役ダニロの黒田祐貴さんは、日本を代表するバリトン歌手、黒田博さんのご子息で、スタイルもルックスも歌唱も良かったです。

そして、僕、個人的には、カミーユ役の小堀勇介さん。以前、びわ湖ホールの自主公演オペラ「連隊の娘」で聞いたときに上手いと思っていたハイCの出るテノール歌手の方ですが、今回も素晴らしい歌唱だったと思います。今年は、年末の読響大阪定演の第九でもテノール独唱を担当されるので楽しみです。

 
公演は、前半1幕、後半2幕でしたが、後半2幕の間の舞台転換の際は、文枝師匠と香寿たつきさんがピット前の舞台で時間を繋ぐという贅沢な演出。
文枝師匠は漫談風の話を披露。前日から開幕したオリンピックが無観客になったことに触れ、選手の張り合いとしては可哀想に思うと述べると共に、自分も昨年3/4の独演会が、なんばグランド花月から無観客配信になった時の話をされました。
3/1に緊急事態宣言が出て、3/4の独演会はまず中止になったそうです。その場で、創作落語の記念の何作目かを披露するはずだったけど、あまり覚えられていなかったので良かったと思って、ホッとしていたら前日か当日、配信をすると会社から連絡があり、大慌てに覚え直したとのこと。で、なんとか無観客でやったけど、ガラんとしていて、ホントに変な感じだったそうです。
しかし、お客様が入っていないところで無観客でやるより、一杯入っていて笑いがない時の方がもっと辛いんですよ。とオチを作って、香寿たつきさんにバトンタッチ。
香寿たつきさんは、下の写真と同様、宝塚風の白の衣装で、宝塚時代の歌「愛あればこそ」と「すみれの花咲く頃」を披露。
「すみれの花咲く頃」は、昨年春の自粛期間中、芸文センターがやった「すみれの花咲く頃プロジェクト」も思い出され、感慨深かったです。
 
最後まで、笑い一杯の公演!
今迄みたプロデュースオペラで間違いなく一番良かったです!
開演14時、休憩25分挟み、終演17時30分。
普通に上演すれば、休憩込み3時間弱の演目ですが、エンターテーメント満載のサービスで長めの公演となりましたが、大満足でした。

*写真は黒田祐貴さんのTwitterからお借りしました。前列左から、香寿たつきさん、小堀勇介さん、高野百合絵さん、黒田祐貴さん、高橋維さん。

撮影シーンはフィナーで女・女・女、男・男・男のマーチを歌っているところ。

*写真は同じく黒田祐貴さんのTwitterからお借りしました。前列左から、黒田祐貴さん、香寿たつきさん、高野百合絵さん、桂文枝師匠。

 

おまけ:芸文センター入口の垂れ幕