昨日は、コバケン・ワールド in KYOTOを聴きにロームシアター京都に行ってきました。

この「コバケン・ワールド」というコンサートは、「ローム クラシック・スペシャル コバケン・ワールド」という名称で、「東京ではすでに27回開催されてる日本フィルの看板企画で、桂冠名誉指揮者である小林研一郎さんコバケンが、指揮は勿論、トークを交えながらお贈りする親しみやすいオーケストラの公演」と配布されたプログラムに記載されています。

そして、今回、満を持して、ロームのお膝元、京都での開催となったようです!

今回のテーマは北欧特集。ノルウェイのグリーグ、フィンランドのシベリウスの作品が演奏されました。

毎年、何度か聴かせてもらってるコバケンですが、45年のお付き合いとなっているという日フィルとの演奏を観るのは初めてで、演奏曲も聴き馴染みのある曲ということで楽しみにしていました。

 

 

出演

指揮とお話:小林研一郎[桂冠名誉指揮者]
ピアノ:田部京子
 

プログラム

前半

グリーグ:《ホルベルク組曲》op.40より第1曲「前奏曲」

ピアノ協奏曲 イ短調 op.16 

後半

劇音楽「ペール・ギュント」より「朝」「オーゼの死」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」「ソルヴェイグの歌」

シベリウス:交響詩《フィンランディア》op.26

 
定刻の14時少し過ぎたところでオケが入場。
初めてのオケなのに、ヴィオラの首席に見覚えのあるメンバーがいました。
兵庫芸術文化センター 管PACにいた人ではないかと思って、後で、日フィルの楽団員を調べたら、やっぱりそうでした。
デイビィッド・メイソンくん。
過去にブログで何度か触れていましたが、PACはプロオケでありながらアカデミーの要素も持っており、音楽大学を首席クラスで卒業した若手メンバーが3年間を上限に在籍、演奏活動の実績を積んでから卒団し、国内外のオケに就職していきます。
PACの演奏会でよく目にした彼が、日フィルの首席奏者として登場してくる姿をみて、最初から勝手に嬉しくなりました。

*ディヴィッド・メイソンくん(写真はPAC在籍中のものをネットからお借りしました)

 

弦5部の編成は12-10-8-6-5。

コンマスの木野雅之さんが最後に入場し、楽団員全員で一礼後、着席。

いよいよコバケンの登場かと思ったら、いきなり指揮者なしで演奏が始まりました。

途中から出てくるのかなと思っていましたが、最初の《ホルベルク組曲》op.40より第1曲「前奏曲」の約4分は最後までオケだけで演奏。

拍手が終わったところで、コバケンがマイクを持って登場。

「みなさん、私が出遅れたかと思われたかもしれませんが、そうではありません。わざと室内楽のアンサンブルによる演奏のような雰囲気で聴いて頂こうと思ってのことです。」とのことで、冒頭からなかなか面白かったです。

 

続いて、ソリスト田部京子さんを迎えてのピアコンに舞台を転換。

その間、コバケンが引き続き、マイクを握って挨拶。

僕は知らなかったんですが、コバケンは1985-87年の3年間、京響の常任指揮者を務めていたとのこと。当時は京響が現在、定期演奏会を開催している京都コンサートホールはなかったので、ロームシアターの前身である京都会館で演奏していたそうです。その後、日フィルでもロームから多大な支援を受けているそうですが、そのロームがスポンサーになった前の京都会館、ロームシアター京都に日フィルと戻ってきて演奏できることを嬉しく思うということなどを話されました。

 

そして、ピアノが中央に運び出され、弦5部は10-8-6-·4-3に編成されていきました。

この最中は「中央にピアノを運びだすとき、ステージの前方から落ちないか、ヒヤヒヤしながら、毎回、心配しています。」と言ってました。なんかコバケンらしい心配と思えます。

 

用意が整い、一旦、舞台袖に退場後、田部さんと共に登場。

グリーグのピアコンを聴くのは久しぶりですが、好きな曲です。

2015年に中村紘子さんが、日本センチュリー響と、びわ湖ホールで演奏された時の印象が強く残っています。

田部さんは初見でしたが、力強い演奏が曲調にあっていて心地良かったです。

なかなかの熱演だったので、第1楽章が終わったところで、会場の数か所から拍手もありました。

ピアノの屋根でコバケンの指揮は全く見えませんでしたが、オケとピアノもしっかり合っていたように思います。

 

ソリスト・アンコール:シベリウス《樹の組曲》より「もみの木」

 
数度のカーテンコールの後、コバケンに促されて、ソリストアンコール。
アンコールも北欧のシベリウス。聴いたことの無い曲でしたが美しかったです。
 
20分の休憩後、劇音楽「ペール・ギュント」より「朝」「オーゼの死」「アニトラの踊り」「ソルヴェイグの歌」「山の魔王の宮殿にて」。
冒頭、コバケンから「1曲づつ劇音楽のどういう場面の曲なのかを解説します。また、1曲終わる毎にソリストを称えたいので、短い拍手をお願いします。」とのアナウンスがありました。
「山の魔王の宮殿にて」では「オケの不気味なうごめきのような音をお楽しみください」と、ペール・ギュントが永眠する「ソルヴェイグの歌」では、「死んでいくシーンの音楽なんですが、どうか皆様はお元気でいらっしゃってください。」と言ったり、コバケンのMCはなかなかユニークで和みました。
 
続く、フィンランディアでは、演奏前に舞台の端に移動していたピアノに座り、弾きながら曲の構成を「まず、最初にこのメロディーを金管が奏でます。」と言ったように実演で解説。
演奏は、正にコバケン・ワールド!
炎のコバケンと言われただけあっての熱演。中腰になったり、直立したり、イナバウワーもあれば、クライマックス前では姿勢を横にして左手で客席を指さし、音を届けるような得意のポーズも出ました!
オケもしっかりコバケンに導かれて、とてもいい音でした。
 

アンコール

マスカーニ:《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲

ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
 

アンコール前に、コバケンから「みなさん、ご都合が宜しければアンコール2曲演奏して宜しいですか?」と問いかけがあり、勿論、会場は拍手喝采となりました。
「1曲目は《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲です。とても美しい酔いしれたくなる曲です。」と言ったあと、2曲目は「少し触りを」と言って、ハンガリー舞曲の冒頭をオケを導いて演奏、会場から少し手拍子が入りましたが、これについてはいつものように「みなさん、ご存知のハンガリー舞曲なんですが、私と日フィルのハンガリー舞曲は少し違うんです、ブラームスがちゃんといるのですが。」ということで、得意の緩急・強弱の変化に富んだハンガリー舞曲を演奏されました。
演奏後は、オケと共に深く丁寧にお辞儀をされ一緒に退場。
終演16時10分。ホール半分くらいの入りでしたが、とてもいい公演で、是非、また京都でもやってもらいたいです。
 
余談ですが、アシスタントコンサートマスターの方が美しく、沢尻エリカかと思いました。
後で調べたら、千葉清加さんというお方。下の写真はネットからお借りしたものですが、やっぱり似ていると僕は思います。

*千葉清加さん(写真はネットからお借りしました)