昨日は、びわ湖ホール 四大テノール フォーエバー ~二塚直紀くんに捧ぐ~ウルトラ・スーパー・スペシャルゲスト福井敬を聴きに行ってきました。

びわ湖ホール四大テノールは、びわ湖ホール声楽アンサンブルで時期を同じくして出会った4人のテノール歌手で2010年に結成されたユニットです。オペラ歌手としての素晴らしい歌唱だけでなくコントなど笑いを交えた楽しいステージを展開されるので人気があり、びわ湖ホールに留まらず、東京文化会館、兵庫芸文センターなど全国各地で公演をされていました。

しかし、下の写真の配布プログラム冊子表紙をめくった冒頭のページに記載されている通り、昨年4月に、メンバーのお一人、二塚直紀さんがジョギング中に心筋梗塞となり43歳という若さで急逝されました。スペシャルゲストとして日本を代表するテノール福井敬さんをお招きし四大テノールと共演頂くコンサートも決定していたのですが、二塚さんが亡くなられ、残されたメンバーはその喪失感から、福井さんとの共演も、もう無理かなと思っていたそうです。

でも、この公演をとても楽しみにされていた二塚さんの想いが声となってメンバーに届き、二塚さんとも共に歌うコンサートをしようと考えて、昨日の開催に至ったとのこと。以上の経緯は、冒頭、リーダーの竹内さんからお話もありました。

下の写真は、プログラム冊子の表紙です。左から、清水徹太郎さん、二塚直紀さん、福井敬さん、竹内直紀さん、山本康寛さん、専属ピアニストの植松さやかさん。二塚さん含めメンバーのみなさんが、この公演の開催を楽しみにされていたことが、その笑顔で分かります。

 
プログラムは以下の通りです。

先ず、最初は四大テノールが幾度となく歌ってこられた、母なる琵琶湖、四大テノールの原点、琵琶湖周航の歌でスタート。

この歌を聴くだけで泪がでました…

続いて、二塚くんに捧ぐと題して、一人づづ、二塚さんとの思い出エピソードを語った後に一曲づつ、歌を披露。

勿論、福井さんも多くのオペラで共演したり、福井さんのカヴァーを二塚さんが務められたりしていて10年間で8本はご一緒されていたそうです。エピソードと共に披露される歌が一曲一曲、心を打ち、既に涙腺崩壊でした。

さだまさしさんの眉山までで一段落、その後、やっぱり、テノールの明るい響きで「日本を元気に!」のスローガン通り、明るく元気に歌おう、二塚さんもそれを望んでいる、ということで、ギヤを一段上げて、各自が熱唱!

大ホール一杯に声が広がり、客席前方、熱烈なご婦人ファンの方からは数か所からブラボー・プレートが掲げられました。昨日は、3階4階は使用していませんでしたが、1階2階のおそらく90%くらいは埋まっていました。四大テノールが如何に地元のみなさんから愛されているのかが分かります。

 

20分の休憩後、やっぱり、オペラ歌手集団ですから各自が得意なオペラのアリアを聴かせてくださり、続いて10年間の活動で人気があったコントの歴史をスライドを使って鑑賞。「オペラ歌手やのに、ようこんなことまでやったはったなぁ」と感心です。プログラム冊子の最後のページに掲載された下の写真にも一部コントで仮装された姿が写っています。

直近2年は、このコントコーナーに滋賀県知事の三日月大造さんも出演されている写真もありました。

この後、今日も一つ小道具を付けてみますかとメンバーが舞台袖に入って再登場。

白い長靴を加工し、靴底を上にしてアヒルの絵を描き、紐を引くと、口の部分がパカパカあく小道具を頭に載せてメンバーと共に知事が今年も参入。コロナ禍で充分な経済支援が出来ていないなど批判もされているし、こんなことをしている場合かという人もいると思いますが、僕はこういうところに出てきてみんなを元気付けようとする姿勢を支持します。

 

そして、古関裕而さんの直筆楽譜が、昨年、県庁内で見つかったという「滋賀県民の歌」をメンバーと共に知事も歌唱されて退場。

 

アンコール前のクライマックスは、テノールが似合う、青い空・白い雲・燦々と輝く太陽のカンツォーネ!

フニクラ・フニクラでは今までのおきまりであるクールなブルーの山本さん、クリーンなグリーンの清水さん、明るいイエローの竹内さん、そして情熱のレッドの二塚さんに代わり福井さんがそれぞれの色のカツラを被って鬼のパンツも明るく歌ってくれました。

 

<アンコール曲>
ロッシーニ:ラ・ダンツァ
プッチーニ:オペラ『トゥーランドット』より“誰も寝てはならぬ”
C.フランソワ、J.ルヴォー:マイウェイ
カプア:オーソレミオ
 

テノールはアンコールでこそ、本領を発揮するということで4曲。

福井さんも交えた「誰も寝てはならぬ」すごかった!!

そして、メンバーで唄うマイウェイの前にリーダーの竹内さんから再度、来場者に次のような御礼の言葉を述べられました。

「今日のコンサートの前のリハーサルを録音しました。家に帰って聴いてみると、二塚くんの声が聴こえるんです。確かに二塚くんの声なんです。メンバーや他の関係者の方にも送ったら、みんな聴こえると言いました。だから、二塚くんも一緒に歌ってくれているんだと思います。僕らはこれからも四大テノールとし歌い続けていきます。本日は本当にありがとうございました。これからも宜しくお願いします。」

竹内さんも清水さんも山本さんも植松さんも目を潤ませておられたし、作り話ではなくて、本当に彼らには二塚さんの歌声が聴こえたんだと思いました。もう、泪でメガネとマスクの下は、僕もぐちゃぐちゃ…

でも、最後は福井さんも入ってもらって、やっぱり、明るくオーソレミオで締めくくり。

 

 

ホワイエには、四大テノールフォーエバー展としてパネル展示も。

写真には写っていませんが、パネルの横には、ホワイトボードと付箋紙があって、お客様が二塚さんへのメッセージを記入して貼り付けられるようになっていました。一杯のメッセージがありましたが、すべて、メンバーの方が後からご覧になるそうです。

声楽アンサンブルで知り合い、ご結婚されたソプラノの栗原未和さんも、昨日の公演はお子様、義両親を見られたとのことをFacebookに投稿されていました。

みんなが心を打たれる素晴らしいコンサートでした。

これからも応援しようと思います。