昨日は、3月に、びわ湖ホールで上演されるオペラ「ローエングリン」のオペラ講座全3回の最終回でした。
講師の音楽評論家・東条碩夫先生から、初回(★)は物語の概要を、第2回(★)では、色々な演出を学びました。
最終回の今回は、ロマンチック・オペラの真髄と題して、本番での楽しみが増えるようにと、ワーグナーのオペラで多用されるライトモティーフについて、この「ローエングリン」ではどういうものがあるか、どういう場面で流れるのかを教えて頂きました。
オペラの熱心なファンの方はご存知と思いますが、ライトモティーフとは、オペラや交響詩などの楽曲中において特定の人物や状況などと結びつけられ、繰り返し使われる短い主題や動機で、単純な繰り返しだけではなく、和声変化や対旋律として加えられるなど変奏・展開されることによって、登場人物の行為や感情、状況の変化などを台詞がなくても、端的に、あるいは象徴的に示唆するとともに、楽曲に音楽的な統一をもたらすもの」です。ライトモティーフを知らなくてもいいのですが、知っておくと理解が深まるし、より劇を楽しめるようになることは、ニーベルングの指環でも実感しています。
今回、このオペラで重要となるものとして、
①グラール(聖杯)の動機、②神の裁判の動機、➂ローエングリンの動機、④白鳥の動機、⑤禁問の動機を紹介して聴かせて頂きました。
このライトモティーフは、劇が変わっても用いられることがあり、ニーベルングの指環4部作でも統一して使われていました。
ローエングリンは劇の最後で、「自身は遥かな国、モンサルヴァートの城において、聖杯グラールを守護する選ばれた騎士団の一人で、父はパルジファル王、我が名はローエングリン。」と素性を明かし、聖杯守護の騎士には、グラールの命により遣わされた先の地では、決してその身に疑いをいだかれてはならず、もし素性と名が知られれば、そこを立ち去らねばならぬという定めがある」と告げ、「決して名前やどこから来たのかを訊くな、自分を信じろ」と言っていたにも拘らず素性を尋ねたエルザ姫の元を去ります。
パルジファル王の息子であるとの「ローエングリン」のストーリーは1848年に完成しているのですが、それから34年後、ワーグナー最後のオペラ「パルジファル」で、ローエングリンで使われた、白鳥の動機が使われていることも紹介頂き、ワーグナーの劇作家としての組み立てのすごさも知ることが出来ました。
今年も、東条先生には分かりやすい講義を頂き、本番が益々、楽しみになりました。
また、先生のブログに、前回(第2回)の講義について記載頂いているのを見て、嬉しくなりました。


