昨日は、大フィルの京都特別演奏会を聴きに京都コンサートホールに行ってきました。

 

指揮は、大フィル正指揮者の角田鋼亮さん、ソリストはヴァイオリンの神尾真由子さんで、プログラムは、最初の曲こそ、シチェドリンの作曲ですが、ベートーヴェンの心の軌跡をたどった作品とのこと。

ということで、「ベートーヴェン三昧の時間を堪能してください」という、主催者からのメッセージがフライヤーに記載されたコンサートです。また、余談ですが、大フィルのTwitterによると、先日、誕生日だった角田さんは、ベートーヴェンと210歳違いの同じ誕生日とのこと、ホントかどうかは知りませんが。

 

【出演】

指揮:角田鋼亮

ヴァイオリン:神尾真由子

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団 

 

【プログラム】

前半

シチェドリン:ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書―管弦楽のための交響的断章

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

後半

ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」

 

最初の曲、ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書―管弦楽のための交響的断章は、聴いたことがない曲で、配布されたプログラムによると、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団の委嘱作品で2008年に、ベートーヴェンの交響曲第3番と組み合わせて初演されたとのこと。作曲したシチェドリンは、ショスタコーヴィチから作曲家同盟議長を受け継いだソ連指導者的な立場だった人。そして、この曲は1802年にベートーヴェンがウィーン郊外ハイリシュタットで、耳の不調による内面の危機を赤裸々に書いた遺書からイメージして作曲されたようです。

よって、ベートーヴェン風でありながら、ショスタコっぽい重厚な曲でした。

前置きが長い割に、演奏に関する記述が貧弱で申し訳ありませんが、それくらいしか書くことが思い浮かびません。

 

続いて、神尾真由子さんとのヴァイオリン協奏曲。

この曲も神尾さんの演奏も生で聴くのは初めてだったので、楽しみにしていました。

神尾さんは紺色のドレスで颯爽と登場。

リハの様子をFacebookに投稿されていて、「ベートーヴェンイヤーだけど、このコンチェルトを今年弾くのは初めて。今までは、ノンヴィブラートでやったり、オーソドックスにやったりと気分で変えていた。」と記載されていましたが、昨日の演奏は、ゆったりとした王道の演奏で、高音が美しく良く伸びていると感じました。また、第3楽章での低音の響きも良かったです。

神尾さんは初見でしたが、国内中堅女性ヴァイオリニストとして、川久保賜紀さん、庄司紗矢香さん等と並び、今後、益々活躍されると思いました。

 

後半の運命ですが、角田さんが熱い指揮でガンガン引っ張って、とにかく、超高速でした。

僕の好みとしては、特に第1楽章の冒頭は、もう少しゆっくりと繰り返して欲しいところでしたが…。

でも、高速の運命も決して受け入れがたいものではなく、第3楽章から第4楽章にアタッカで突入するところなんかは、疾走感を伴うかっこよさがあって、そこから第4楽章の終わりまでの盛り上がりは素晴らしかったです。

そして、「運命っていいなぁ、これを生で聴けるのは、やっぱり幸せやなぁ。来てよかった。」と素直に思えました。

 

アンコールは、悲愴の弦を主体としたオーケストラバージョン。

 

アンコール:ベートーヴェン(野本洋介編)/「悲愴」~ピアノ・ソナタ第8番~ 

 

このオーケストラバージョンの悲愴、初めて聴きましたが、すごく美しい演奏で、ウルっとしました。

 

今回のコンサートは、前後左右を空けたSD配置で、ちょっと久しぶりに居心地の良さが戻ってきました。

定員の半分の座席はP席含めほぼ満席。

あまり見かけない光景ですが、演奏中に途中退場する人が前半2名後半1名、また、前の席とその左右が空いているところに座っていて(つまり、自分の前を含め3席分空席になっている状態)、前のめりになり、前の席にもたれかかって聴いている人がいたりとマナーの悪い人が散見されました。

SD仕様の座席配置が残っているコンサートでも、再開当時の静寂な雰囲気いい環境は徐々に崩れてきて、以前の状態に戻ってきていることを、また、実感してしまったのは残念です。

 

開演は15時、休憩20分・アンコール込みで終演は17時5分でした。