もう何度も取り上げさせてもらっていた、小曽根真さんの毎晩のライブストリーミング配信「Welcome to Our Living Room」が昨夜の53夜連続53回目の配信で、緊急事態宣言が解除されたこともあり、最終回となりました。
 
5/31までと告知があった時から、最後日には、真さん・三鈴さんから、サプライズを視聴者にプレゼントするとおっしゃっていたのですが、なんんと、それはオーチャードホールからの無観客ライブ配信でした。
写真は配信画面をキャプチャされた方のものをお借りしています。

 
最初に少し、音声トラブルがあったもののスタッフの皆さんが素早く解消下さった後は、とてもいい音で演奏とお二人の会話を存分に聴くことが出来ました。写真は1.5万人の瞬間ですが1.6万人までオンタイムの視聴者が集っていました。
通常は小曽根さんのご自宅のリビングルームに視聴者が集い、オンタイムでコメントをさせてもらいながら、リクエストに応じて、演奏されるスタイルでしたが、その視聴者をありがたいことに、自分たちにとってBig Familyだと言ってくださってました。
そして、最終日の昨日は、お二人のHOMEともいえる劇場にBig Family を迎えたいとの企画をしていただいたのです。
これから、新しい生活を始めて、リアルにみんなで劇場に集える日が迎えらえるようにスタートしようと。
音楽やお芝居といった舞台芸術もライフラインだと考え配信を続けてこられたお二人からの最後のプレゼント、冒頭から泣きそうでした。
 
僕は53回の内、17回くらいから見始め、20回目か21回目からはオンタイムで最後まで観させてもらいましたが、本当にアットホームで長い自粛生活の中、和みと癒しを与えてもらえる時間でした。
この配信では、その日が誕生日の方にみんなでHappy Birthdayを歌うのが恒例でした。
昨夜は以下のような演奏曲でしたが、Happy Birthdayは4曲目のHeal The World の前に、この日の配信を実現されたスタッフの皆さんもソーシャルディスタンスを保ちながらステージにあがって一緒に歌われました。
もうそこから、Heal The Worldに繋がって、最後アンコールのリボーンに至るまで、涙が止まりませんでした。
 

01 Gotta Be Happy by Makoto Ozone 

02 Triste by Antônio Carlos Jobim.

03 Do You Know What It Means to Miss New Orleans? by Eddie DeLange /Louis Alter

04 Heal The World by Michael Jackson

05 Mirror Circle by Makoto Ozone

06 Home by Makoto Ozone

07 Encore Reborn by Makoto Ozone
 
真さん、三鈴さん、本当にありがとうございました。心から感謝しています。
 
Welcome to Our Living Room #53 (finale)は、この、小曽根さんのFacebook(Facebookをされていない方でも観れるのかちょっとわかりませんが)でご覧になれます。是非、アーカイブでもご覧になっていただければと思います(僕も今夜もう一回観ようと思っています)。
 
長くなっていますが最後に、もうひとつ。
no name horses のメンバーの三木俊雄さんが当日の配信を観ることができないからと事前に感謝のメッセージを自身のFacebookに綴られていました。その内容とそれに対する小曽根さんのコメントを読ませてもらうと益々、胸が熱くなります。
以下、勝手にコピーして貼らせて頂きました。
 
三木さんの投稿

「53日間にわたる小曽根さんの”Welcome to Our Living Room”が終わろうとしている。

最終日の5/31、僕は栃木県小山のフェローズで配信のための収録という、長い長い自粛から初めて人と演奏する仕事始めで、おそらく残念ながらその時間に立ち会うことはできなさそう。なのでその前に感謝の気持ちを表したいと思う。

4/7に発令された非常事態宣言の一か月前、3/6から小曽根さん率いるNo Name Horses のツアーが始まる予定だった。今年は結成15周年ということで、ギタリスト山岸竜之助君をフィーチャーした野心的なアルバム “Until We Vanish” をリリースしての全国ツアー。事務所からは、逐次状況の説明とリスケジュールの調整、そしてまだ最後の可能性を諦めていないというメールが数日おきに届いたが、結局は全てキャンセルになってしまった。

小学3年の新学期を迎える息子の学校は春休みに入る前に休校。家族3人がずっと家にいて、これから当分仕事は無い。

最初は逆にちょっとした躁状態で、新しい曲やアレンジを作ったり、Zoomなどのオンラインツールを調べたりしていた。

そいうのが一か月ほど続いて非常事態宣言となり、その2日後の4/9から小曽根さんの配信が始まった。

それまでリアルタイムの配信といえば、途中で止まったり音質が悪かったりで、友達がやっているからちょっと覗いて見る程度で、なかなか長時間視聴し続けられるものではなかった。

当然視聴者も少なく、チックコリアでさえ1000人程度。いくらタダとはいえ、配信というのはなかなか難しいものだなと思っていたところに始まったのが真さんの配信。

調律、マイキング、カメラ、照明など、NNHのスタッフにより配信のクオリティーは最初の数日間でびっくりするほど良くなっていった。

そして何と言っても度肝を抜かれるのがその演奏。

NNHのツアーでは真さんのソロピアノが一曲プログラムに組み込まれることが多く、毎晩それをステージの袖で聴いていた。

言うまでもなく、それは素晴らしいものだったけど、真さんのリビングルームからのピアノはコンサートでは聴いたことのないような息遣いが聞こえてきた。

ネット配信とはとても思えないような音色とダイナミクスのグラデーション、絶対音感と相対音感の完全な融合、揺るぎない体内リズム、それらを表現するテクニック。

そして特に驚かされたのは圧倒的に幅広いレパートリーとそのアレンジ。

流れてくるコメントには以前からの小曽根さんのファンではない方、あるいは普段ジャズなどは聴かないと思われるリクエストがチラホラ見受けられる。

普段聴くことのない真さんによるポップスや日本の歌にこの人の底知れないミュージシャンシップを改めて見せつけられた。

ジャズピアニストのお父様に連れられ、小さい頃からいろいろな場所でピアノを弾いていて、上手く弾くと大人が驚いて褒めてくれる。それが子供の頃のモチベーションだった、と真さんは言っていた。大阪、神戸の繁華街やホテルの、いわゆるBGMを演奏する仕事も十代の頃はよくやっていたとのこと。

一度、NNHのツアーの途中、オフの日に九州のある病院の終末医療施設、いわゆるホスピスに連れて行ってもらったことがある。人生の最後の日々を送る患者さんのカラオケ伴奏を、童謡、演歌、民謡、炭坑節までリクエストに応じて演奏していた。

この人は本当に凄い人だなと思った。

そういった彼のミュージシャン人生のすべてが、あのリビングルームのピアノから溢れ出ていた。

我々ミュージシャンが思わず声を上げてしまうようなリハーモナイズや転調を仕込む曲もあれば、リクエストをした人を決して裏切らないストレートなメロディーを気を衒わずに奏でる曲も。

53日間続いた小曽根さんのリビングルームに集う人々は1万人に届こうとしているけど、その中にはかなりの数の新しいファンがいると思う。

僕のカミさんのお友達なんかもそうだけど、小曽根真もジャズも全然聴いたことなんてないけど、これは毎晩聴いている、という人がいる。

そういう人が皆、口を揃えて言うのが、

「これを絶対、生で聴きたい」

「配信なんかしてたら、誰もライブに来なくなるよ」の対極の演奏。

9時に寝るはずの息子は「聴きながら寝たいからドア開けておいてもいい?」と言いながら、結局降りてきて一緒に終わりまで聴いている。すっかり夜更かしの癖がついてしまった。

僕は明日から少しづつ演奏の機会を取り戻していくと思うけど、やがてこの日々を懐かしく思い出すときが来るだろう。

真さん、百合子さん(百合子さんというのは三鈴さんです)、そして大勢の皆さん、有難うございました。感謝を込めて。」

 
これに対する小曽根さんのコメント

「三木くん、(そして皆様!)

本当にありがとう。

自分のことをこんなに褒めてもらっている投稿にコメントするのは、と思ったのですが一言だけでも「ありがとう」を伝えたくて。

ほんの少しだけでも皆さんに何か楽しい時間を…と思って始めたこのLiving Room。でも三木くんをはじめ、こんなに沢山の皆さんから頂く愛溢れるコメントに、僕ら二人の方が癒されっぱなしの52日間でした。

そして僕の音楽を最高の環境で皆さんのもとに届けたいと毎日僕よりも頑張り続けた三鈴にもこの場を借りて感謝します。

さてと…今夜は次の配信日の一回前なのでちょっと気合入れていくかな?

三木くん、皆さま、本当にありがとう!」

 

すでに今夜からロスになりますが、新しい生活に向かって頑張ろうと思います。