『℃LUTCH』 -5ページ目

救急搬送


行き交う車…
すれ違う人たち…

僕は途方に暮れ
あてもなく歩いていた…

涙で視界が滲み
暮れゆく街の光が
僕の心をより切なく
悲しくさせた…


一つ、またひとつと
僕は眠剤を服用しながら
自宅のあった笹塚から
新宿方面へと歩いていた…

何十錠、服用したんだろう…
次第に意識が朦朧としていく…

新宿のオフィス街
都庁が見える歩道橋で僕はRに電話する

僕「ごめん、今までありがとう」
R「どうした?大丈夫?何処にいる?」
僕「…」
R「こうし、お願いだから教えて!何処なの?」
僕「光、歩道橋…」

僕はそう言って、意識を失った


それからどれくらい
気を失っていたのだろう…


「こうし!こうし!しっかりして!」

遠くの方で微かに
聞こえてくるRの声と
救急車のサイレンの音が鳴り響く

僕はRに発見され
その後、救急搬送された…






暗黒の闇へ


Kと別れ
Rと付き合いはじめた頃
何もかもが新鮮で、幸せだった

でも初めて抱く
自分の中の感情に戸惑っていた…

なんて言うだろう…

この人なら大丈夫っ!
ありのままの自分でいいんだっていう
安心感?
自分に尽くしてくれる愛情?


あの頃まで、常に気が張っていたし
強がって、背伸びして生きていた
誰にも頼っちゃだめだ!
自分がしなきゃ!
ちゃんとしなきゃ!って…


甘えるって知らなかった
いや、甘え方がわからなかったんだ


甘える(甘え方)って
言葉じゃ簡単に表現できない

自分が愛されてることを感じた時?
相手に安心感を抱いた時?


今も、わかってないね…笑
誰か教えてくれるかな?笑笑


もちろん親や家族
その時々で関わってくれた人たちに
助けられたこともあったし
支えてくれたこともあるから
自分が知らず知らずに
甘えていたんだと思う
頼っていたんだと思う…

でも、あの時のあの感情は
初めて感じたRに対する安心感だった


Rは色んな場面で率先しては
僕に尽くし、安心感を与えてくれた
それを感じた時、気づいた瞬間
僕は深い眠りから
目覚めることができなくなり
一日中、眠りについたまま
ベッドから動けなくなっていった…

仕事に行くことも
仕事に行くRを見送ることさえも…


うつ病を発症
暗黒の闇の中へと堕ちていった…


25歳の時だった




無言〜涙の意味


Kには、ありのままを話した。
Kはただ、黙って聞いていた…


僕はKの頬に手をのばし涙を拭う


K「色々としてくれてありがとね
今があるのは貢士のおかげだよ」

僕「…。」

K「俺は大丈夫だよ、何かあったら連絡してよ
俺の家族は北海道にいるお姉ちゃんと貢士なんだから…」

僕「俺、Kを裏切ったのに…
そんな風に言えるって凄いよ…
ごめんね K…」

K「そうさせてくれたのは貢士だよ!」

僕はKを抱きしめ
「ごめんね、ありがとね」って
何度も繰り返し、涙した…


Kは弁当屋の寮へと引越し
僕はRが探し、決めてくれた
笹塚のマンションへと引越しをした

今思えば、たまたまだったのか
必然だったのか
そこはKの寮から
徒歩5分圏内の場所だった…



それから数ヶ月経った頃
僕は暗黒の闇の中へと堕ちていった…