2021年5月13日

本日、童謡歌手の平井英子が去る2月に亡くなられたとの報道がありました。レコードの録音にマイクロフォンを使用する「電気吹込」以前の、収音喇叭を使用する空気振動による「旧吹込」を経験した殆ど最後の一人でもある方です。

最初のレコードは合同蓄音器の「ヒコーキ」レコードから、林英子の芸名で1926年(大正15年)10月新譜として発売された

7510-A お客さま/-B 夕焼小焼

続いて同じく「ヒコーキ」レコードから

8107-A 雨降りお月さん/-B 笹舟

があり、この4曲が「旧吹込」です。

次いで、日本蓄音器商会の「ニッポノホン」レコードから作曲者の中山晋平伴奏により、当時最新式のマイクロフォンによる「電気吹込」の2枚4曲が発売されます。先ずは林秀子の芸名で1928年(昭和3年)2月新譜として発売された

16772-A 露地の細道/-B てるてる坊主

追加製造分から芸名が平井英子に変更されました。また、10月には「コロムビア」レコードの25208番に規格変更されています。ちなみに「てるてる坊主」は1946年(昭和21年)2月にA47-Bとして再発売、1951(昭和26年)2月にC18-Bに規格変更、更に20センチ盤に転写され1957年(昭和32年)11月からCP57-Bとして継続発売された長寿商品です。

そして、平井英子として1928年(昭和3年)4月新譜として発売された

16826-A 背くらべ/-B 計りごゑ

こちらも、10月からは「コロムビア」レコードの25293番に規格変更されています。

なお、中山晋平は4曲の録音終了時(1927年12月14日)に新会社の「日本ビクター蓄音器株式会社」の専属となる旨を告げており、「ビクター」レコードの日本録音作品初発売の1928年4月新譜(4月1日発売)から平井英子の作品をはじめ、多くの作品を発表しました。

 

音楽史研究家 郡修彦

 

ビクターの新譜月報 1937年(昭和12年)10月号