2020年12月31日

本年は私がSPレコード(蓄音器用の78回転盤)を聴き始めて半世紀になります。

初めて聴いたSPレコードが「軍艦行進曲」でした。1970年の小学2年生の時に級友の間で「軍艦行進曲」が流行し自宅にて歌っておりますと父親が「本物の演奏を」と、当時は発条(ゼンマイ)が切れて真空管ラジオとスピーカーの置台と化していた蓄音器(ビクトローラ4-40)のレコード棚から取り出したのが写真の盤です。

1928年から1937年まで「軍艦行進曲」の著作権は作曲者の専属関係からポリドールレコードが独占していましたが、専属完了と共に社長が著作権を国家に献納し、1938年からは各社が自由に使用できる様になり、ビクターレコードが早速に帝国海軍軍楽隊に依頼して作成したのが本レコードです。コロムビア、キング、テイチク、タイヘイの各社も帝国海軍軍楽隊に依頼してレコードを作成し競作となり、ビクター盤が最優秀でした。それは、大人数の録音用に随時借用していた溜池の「三会堂ビル」の講堂の音響効果が優れていたからで、他社の録音を引き離した立体的な音質でした。

父親が結婚記念に叔父から頂戴した4スピードターンテーブルに、トランジスタラジオを接続して聴いた迫力ある演奏は子供心に感動し、他にも当時の愛国作品数点を聴いてSPレコードの時代の音楽に魅了され、言わば私の原点となった経験です。

上記の再生装置は1979年まで使用し、ラジオをラジカセに変更、1982年には3スピードのターンテーブルを一夏のアルバイト代を投じて購入し4スピードターンテーブルは静態保存となりましたが、経年劣化により1980年代後半に処分しました。トランジスタラジオは現役で記念として保存活用しております。

 

音楽史研究家 郡修彦