2011年1月10日

昨今、散見される鼻に付く表現があります。戦前以前の文献には全く登場しないので、戦後の一時期に浅学非才で軽佻浮薄な駄文屋が考案したと思われますが、昨今では猫も杓子も使用しますので失笑幾十度です。それは
「○○したのは(訪れたのは、観たのは、聴いたのは)何度になるだろうか」(回数が多い事の表現)
「○○がそうであるように」(比較の例を挙げるときの表現)
この二つは見る度に下手な表現と呆れます。「○○に魅了されて再訪する事幾十度」や「○○と同様」で済むのです。この駄文の考案者は誰なのでしょうか、そして広めたのは誰なのでしょうか。大方文章教室辺りと思われ、それを盲信して職業著述者までが使用するのは噴飯物です。文章は自分で様式を確立するべきでせう。小生は明治・大正期の文献を手本にしており、格調と品位の有る文を目指しております。

音楽史研究家 郡修彦