毎月第一日曜日13時半より武蔵小山のライブカフェ「アゲイン」にて開催中の音楽鑑賞会「ほのぼのSP講座 SP盤でたどる昭和流行歌史」の第178回の御案内です。本年1月より開始の新企画は季節の作品で、10月は体育の日・スポーツの秋にちなみ様々な「体育関連の歌」を集めました。オリンピック、野球(職業・学生・少年)、ラジオ体操、国民体育大会など、明治の文明開化により導入された西洋のスポーツが短期間で日本に根付いた事を物語っております。何れの曲も健康的で溌溂としており、戦後でも色合いが変わらないのは嬉しい限りで、昨今のイメージソングと異なり主題を適切に捉えて巧みに表現している点が見事です。
 
1、全国中等学校優勝野球大会の歌(陸軍軍楽隊)1931年
(甲子園の学生野球の初代大会歌です、長過ぎる歌詞に作曲した為に難しい作品です)
2、ラジオ体操の歌(内田栄一・合唱団)1931年
(好評のラジオ体操の普及に貢献した歌として当時は周知の作品でした)
3、国際オリムピック派遣選手応援歌(中野忠晴)1932年
(戦後までオリンピックの度に歌われた有名作品であり、様々な歌手が歌いました)
4、全国中等学校優勝野球大会行進歌(内本実)1935年
(甲子園の学生野球の二代目大会歌として広く親しまれ、戦後も吹奏楽として使われました)
5、大阪タイガースの歌(中野忠晴)1936年
(職業野球の球団歌として制作され、現在でも「六甲おろし」の名で周知の有名作品です)
6、起てよ若人(徳山璉・合唱団)1936年
(ベルリンオリンピック用に制作された声援作品です)
7、朝日を浴びて(樋口静雄・井口小夜子・河村順子)1939年
(ラジオ体操第一の旋律に詞を付けた美しい作品です)
8、明治神宮国民体育大会の歌(藤山一郎・松原操)1939年
(当時、神宮大会と呼ばれた現在の国体の歌です)
9、少年野球の歌(小西信義・瀬川伸)1947年
(戦後の少年野球の歌ですが、戦時中の愛国作品と大同小異の雰囲気です)
10、全国高等学校野球大会の歌(伊藤久男)
(三代目の甲子園の大会歌、「栄冠は君に輝く」の名で現在も脈々と歌い継がれた名作です)
11、ジャイアンツ・ソング(藤山一郎)1949年
(戦後の職業野球の球団歌ですが、難しい事から比較的短命に終わりました)
12、オリンピックの歌(藤山一郎・荒井恵子)1951年
(戦後日本が初参加のヘルシンキオリンピック用の声援作品です)
13、国体讃歌(藤井典明・伊藤京子)1954年
(北海道を中心に行われた第9回の国体用の作品です)
14、オリンピックの歌(林伊佐緒・井口小夜子)1956年
(メルボルンオリンピック用の声援歌として正統派の作品です)
15、若い選手(津村謙・若原一郎・春日八郎)1956年
(声楽系から演歌系までの歌手が個性豊かに歌い上げる異色の作品です)
 
何れも良質のCDとSP盤による良好な音質です、是非とも御越し下さい。

10月6日 午後1時開場、1時半開演、3時前に終了予定、会費2000円(飲物一杯付)

音楽史研究家 郡修彦