■ 焼肉の美味しさを決めるのは「肉」だけじゃない 
 
焼肉屋を長年やっていると、肉の質はもちろんのこと、  
“焼きの道具”がいかに大切かを痛感します。  

炭火、ガス、ロースター、網の素材や形――  
どれを取っても焼き上がりに影響します。  

現在、南堀江店ではカウンター席に鉄板、  
テーブル席には使い捨ての網を採用しています。  

使い捨ては清潔で便利ですが、  
「もっとお肉を美味しく焼ける方法はないか?」  
と考えるのが職業病みたいなもので(笑)。  

そんな思いから、業界大手・シンポさんの“レンタル網”を導入することを検討しました。  


業界大手「シンポ」のレンタル網とは  

シンポさんのレンタル網は、  
一般的な使い捨て網よりも頑丈で熱伝導率が高く、  
お肉の焼きムラが少ないのが特徴。  

しかも、毎週新しい網が業者さんから届くシステムで、  
洗浄や保管の手間がかからないのも魅力です。  

特に私たちのように「見た目の美しさ」にこだわるお店にとっては、  
ピカピカの網でお客様を迎えられることが大きな価値になります。  

「焼き網が変わるとお肉の表情も変わる」――  
そう信じて、早速導入を決めました。  


ところが…届いた網が「ハマらない!」  

数日後、レンタル網が無事到着。  
スタッフ全員でワクワクしながら、  
無煙ロースターに新しい網をセットしようとした瞬間――  





「…あれ? ハマらない。」  

上からスッと入るはずの網が、なぜか途中で止まってしまう。  
何度試しても、押しても、角度を変えてもダメ。  
「これはおかしいな」と思い、シンポさんに問い合わせました。  


■ 理由は“たった1cm”の違い  

担当の方に確認してもらうと、  
なんと原因はサイズ違い。  

私たちのお店で使っている山岡金属のシルクロースターは27cm、  
一方、シンポさんの網は28cm。  
たった1cmの差でハマらなかったのです。  

厨房中に“まさかの静寂”が流れました(笑)。  

「そんなことある?」とスタッフと顔を見合わせながらも、  
よくよく考えれば、これは完全に事前確認ミス。  

網のサイズなんて当たり前に合うと思い込んでいたのがいけませんでした。  


■ 焼肉屋は“地味な改善”の積み重ね  

結局、今回はレンタル網を使えず、  
これまで通りの使い捨て網を継続することに。  

ただ、決して無駄な時間ではありませんでした。  

焼肉屋の改善って、派手な新メニューやイベントよりも、  
こうした“細部の見直し”の中に大事な発見があるんです。  

網ひとつ、ロースターの形ひとつで、  
お肉の香ばしさも、煙の出方も変わる。  

それを身をもって再確認できた出来事でした。  

焼肉屋の改善に終わりはありません。  
美味しい一皿のために、これからも1cm単位でこだわっていきます。