■ オープンはゴールではなくスタート

先日オープンした高麗ガーデン北花田店。

たくさんのお客様にご来店いただき、本当に感謝しております。

新しいお店が完成すると、どうしても一つの達成感があります。

3年間かけて物件を探し、1月から物件を借り、3月から工事を進め、4月からスタッフを採用し、5月から研修を行う。

そして6月にようやくオープンの日を迎えるわけですから当然です。

ですが、私自身はいつもこう思っています。

オープンはゴールではない。

本当のスタートだと。

お客様から見ると完成したお店に見えても、経営者から見るとまだまだ未完成。

むしろここからが本当の勝負です。


■ 「これでいい」と思った瞬間に後退が始まる

飲食店に限らず、どんな仕事でも同じだと思います。

「これでいい」

そう思った瞬間から成長は止まります。

世の中は常に変化しています。

お客様の価値観も変わります。

競合店も進化します。

新しい商品も生まれます。

スタッフも成長します。

そんな中で自分たちだけが立ち止まれば、実際には現状維持ではありません。

後退です。

変化する市場の中で変わらないということは、相対的には後ろへ下がっているのと同じだからです。

だから私は「完成」という言葉をあまり使いません。

今より少しでも良くする。

昨日より少しでも前進する。

その積み重ねが大切だと思っています。


北花田店もまだまだ進化の途中

今回オープンした北花田店も同じです。

店内の雰囲気。

照明。

メニュー。

接客。

オペレーション。

看板。

SNS。

まだまだ改善できる部分はたくさんあります。



お客様から見れば十分綺麗なお店かもしれません。

しかし現場で毎日見ていると、

「ここはもっと良くできる」

「この導線の方が動きやすい」

「このメニューはさらに美味しくできる」

そんな課題が次々と見えてきます。

むしろオープンしてからの方が課題は増えます。

実際に営業して初めて分かることがたくさんあるからです。


■ 少しづつ肉付けしていく

お店づくりは建物を作ることではありません。

文化を作ることです。

料理を作ることです。

接客を作ることです。

お客様との関係を作ることです。

最初は骨組みしかありません。

そこに少しずつ肉付けしていく。

新しい商品を考える。

新しいサービスを作る。

新しい仕組みを導入する。

スタッフの教育を進める。

改善を繰り返す。

そうやって少しずつ魅力が増していきます。

焼肉店も人間と同じです。

成長をやめた瞬間から老いていきます。

だから常に変化し続けなければなりません。


■ 焼きしゃぶもその一つ

お客様からご好評いただいている上ロースの焼きしゃぶ。

実はこれも最初から完成していたわけではありません。



お肉の厚み。

カット方法。

タレ。

薬味。

提供方法。

何度も試行錯誤を繰り返しました。

そして今も改良を続けています。

「今が最高」

と思うことは大切ですが、

「もっと良くできる」

という気持ちを失わないことも同じくらい大切です。

その積み重ねが、お客様の満足につながると信じています。


経営者として大切にしていること

私は韓国へ行くたびに飲食店を見て回ります。

人気店も行きます。

老舗も行きます。

新店も行きます。

その理由は単純です。

学びたいからです。

成功しているお店ほど変化しています。



繁盛店ほど挑戦しています。

逆に勢いを失った店ほど、

「昔からこれでやっている」

という言葉をよく耳にします。

もちろん伝統は大切です。

しかし伝統と停滞は違います。

守るべきものを守りながら、新しい価値を生み出していく。

それが長く続く店の共通点だと思います。


■ まだまだ理想には遠い

北花田店も、福田本店も、浜寺店も、南堀江店も。

私の中ではまだまだ発展途上です。

もっと美味しい料理を作りたい。


もっと居心地の良い空間を作りたい。

もっと喜んでもらえるサービスを作りたい。

だから今日も改善を続けます。

「これでいい」

ではなく、

「もっと良くできる」

そんな気持ちを持ちながら。

新しいものを作り出し、そこへ少しずつ肉付けをしていく。

その繰り返しが、これからの高麗ガーデンを作っていくのだと思います。
■ 釜山の郊外にある巨大カフェへ

先日の韓国・釜山視察。

飲食店経営者として焼肉店を見るのはもちろんですが、私は必ずカフェも見に行きます。

なぜなら今の韓国は、飲食店のトレンドや空間デザイン、ブランディングの最先端がカフェに集まっているからです。

今回訪問したのは、

「JM Coffee Roasters Head Store(제이엠커피로스터스 부산본점)」

釜山にあるJM Coffee Roastersの本店です。


韓国国内に3店舗を展開していますが、実は単なるカフェチェーンではありません。

母体となる企業はコーヒーマシンやコーヒー豆、関連機器や資材などを扱うコーヒー専門会社。

つまりコーヒー業界のプロフェッショナル集団が運営するフラッグシップショップなのです。


■ お店の規模がとにかく桁違い

到着してまず驚いたのが建物のスケールです。

写真ではなかなか伝わりませんが、とにかく巨大。




高い天井。

全面ガラス張りの開放感。

吹き抜けを活かした圧倒的な空間設計。

日本のカフェというより、美術館や複合施設に近い印象を受けました。

しかも驚くのは立地です。

繁華街の中心地ではありません。

むしろ市内から離れた場所にあります。

日本なら、

「こんな場所で本当にお客様が来るのか?」

と思ってしまうような立地です。

しかし店内に入ると、多くのお客様で賑わっています。

平日にもかかわらず席はかなり埋まっており、コーヒーを楽しむ人、商談をする人、読書をする人、それぞれが思い思いの時間を過ごしていました。


■ コーヒーカウンターが複数あるという発想

特に印象的だったのが販売カウンターです。

一般的なカフェであればレジは1カ所。

多くても2カ所程度でしょう。

しかしJM Coffee Roastersでは、店内に複数の販売カウンターがあります。





お客様が多いことを前提に設計されているのです。

さらに各エリアで提供する商品や体験も微妙に異なります。

効率化だけではありません。

お客様が店内を回遊しながら楽しめる設計になっています。

飲食店経営をしていると、

「席数を増やす」

「客単価を上げる」

という発想になりがちです。

しかしこの店は、

「滞在体験を豊かにする」

ことに徹底的に投資しているように感じました。


空間そのものがブランドになっている

店内を見ていて感じたのは、

コーヒーを売っているのではなく、

ブランド体験を売っているということ。

天井を走る美しい配管。

巨大なガラス窓から差し込む自然光。

ゆったりと配置された客席。

コーヒー器具やオリジナルグッズの展示販売。


どこを切り取っても統一感があります。

特にオリジナルマグカップやプレートなどの物販は非常に参考になりました。

コーヒーを飲んで終わりではなく、

ブランドを持ち帰ってもらう。

この考え方は飲食店経営において非常に重要だと思います。


■ 焼肉店経営者として学んだこと

私は焼肉店を経営しています。

業態は違いますが、繁盛店を見ると学べることばかりです。

例えば、

「お客様は何にお金を払っているのか」

という視点。

コーヒーだけなら近所にもあります。

もっと安い店もあります。

しかしお客様はわざわざ時間をかけてこの店まで来ています。

それはコーヒーを飲みに来ているだけではないからです。

この空間で過ごす時間。

このブランドを体験すること。

その価値に対してお金を払っているのです。



焼肉店も同じだと思います。

お肉が美味しいだけでは足りません。

接客。

空間。

器。

照明。

香り。

音楽。

全てが揃って初めて、

「また来たい」

という体験になります!!
■ お客様は意外とたくさんのお店を比較していない

焼肉店を経営していると、

「どうしたら選ばれるお店になれるのか」

ということをよく考えます。

新商品を作ったり、接客を磨いたり、店内を綺麗にしたり。

もちろんどれも大切なことです。

ですが最近、改めて感じることがあります。

それは、

お客様は思っているほど多くのお店を比較していない

ということです。

例えば、

「今日は焼肉を食べよう」

となった時。


頭の中に大阪中の焼肉店が並ぶわけではありません。

多くの場合は、

まず2〜3店舗くらいが候補として思い浮かぶのではないでしょうか。

そして、

誰と行くのか。

家族なのか。

友人なのか。

接待なのか。

予算はいくらなのか。

個室が必要なのか。

駐車場があるのか。

そういった条件を考えながら、その候補の中から最適なお店を選びます。


■ 焼肉店の競争相手は焼肉店だけではない

さらに言えば、

競争相手は焼肉店だけではありません。

お客様は、

「焼肉を食べよう」

ではなく、

「お肉を食べたいなぁ」

からスタートすることが多いからです。

そうなると頭の中には、

焼肉。

ステーキ。

しゃぶしゃぶ。

すき焼き。

ハンバーグ。

そんな様々な選択肢が並びます。

その中で、

「あ、あの焼肉屋に行こうか」

と自然に思い出していただけるかどうか。

ここが非常に重要です。

お客様の頭の中にある候補の数は意外と少ない。

だからこそ、その限られた候補の中に入り続けることが繁盛店への近道なのだと思います。


■ 思い出してもらえるお店になるために

では、どうすれば思い出してもらえるのでしょうか。

派手な広告でしょうか。

値引きでしょうか。

もちろんそれらも大切です。

ですが長く愛されるお店は、もっと地道な部分を大切にしています。

お肉が美味しかった。

接客が気持ち良かった。

店内が清潔だった。

家族が喜んでくれた。

記念日が素敵な時間になった。

そんな小さな感動の積み重ねが、お客様の記憶に残ります。



そして数週間後。

あるいは数ヶ月後。

「そういえばあのお店良かったな」

と思い出していただける。

飲食店にとって、その瞬間こそが最大の財産なのかもしれません。