医療法人の役員と社員 | 行政書士がつなぐチカラ

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行政書士として11年目。行政書士のお仕事覚書。

医療法人の設立について、早くも9月申請(東京都)についてご相談をいただくようになってきました。
よし!医療法人で行こう!となったら、まずご検討いただくのが医療法人の役員についてです。役員の人選をどうするか。理事が3人に監事1人?監事って何する人?といったあたりについて、あらためて最近聞かれる点をまとめておきたいと思います。


● 医療法人の理事

医療法を確認してみますと、「医療法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければならない。」と規定されています(医療法第46条の2第1項本文)。

例外として、都道府県知事の認可を受けた場合は、1人または2人の理事で足りるとなっていますが、ここでは省きます。原則として、理事3人+監事1人の4人以上必要と理解しておいてください。
3人の理事のうち1人はもちろん相談者である医師本人でよく、理事長となるのが通常です。
そうなると、集めるべきメンバーは3人(理事2人+監事1人)。

医療法人の理事は、法人の常務を処理します。
したがって、法人はなることができません(運営管理指導要綱)。
成年被後見人・被保佐人、法律違反をして2年以内の人も役員にはなれません。

理事は理事会を構成し、医療法人の意思決定に基づいて実際に職務執行の権限を持つことになります。実際に法人運営をしていく立場となりますので、名前だけ理事ということは適当ではありません(運営管理指導要綱)。


● 医療法人の理事長

理事長は、原則として医師・歯科医師でなければなりません。
文字どおり、医療法人を代表する存在ですから、医療法人の業務を総理します。

医療法第46条の4
理事長は、医療法人を代表し、その業務を総理する。
2 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、定款又は寄附行為の定めるところにより、他の理事が、その職務を代理し、又はその職務を行う。


医療法人の理事長は、医療法人の経営者という側面もありますが、原則として医師であることが求められています。確かに“経営者”でなければならない場面も多いのですが、あくまでも“医療法人の経営者”ですから、医学的知識がなければなりません。
平成10年に、非医師の理事長就任について要件が緩和されましたが、『医学的知識の欠落に起因し問題が惹起されるような事態を未然に防止』するという趣旨から判断されます。

通知をまとめていくと、たとえば理事長が死亡し、または重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった際に、その子女が、医科または歯科大学在学中か、または卒業後、臨床研修その他の研修を終えるまでの間のみ認めるとなっていたりしますが、例外の例外、さらには特別例外規定まで出てきます。
とにかく相当難しいということは、ご理解ください(^^;


● 医療法人の監事

監事の職務について、医療法が改正されるまでは、民法の規定を準用していました。
しかし、改正後の医療法には監事の職務が明確に規定されています。

医療法第46条の4
7 監事の職務は次のとおりとする。
一 医療法人の業務を監査すること。
二 医療法人の財産の状況を監査すること。
三 医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後三月以内に社員総会又は理事に提出すること。
四 第1号又は第2号の規定による監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事又は社員総会若しくは評議員会に報告すること。
五 社団たる医療法人の監事にあっては、前号の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること。
六 財団たる医療法人の監事にあっては、第4号の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。
七 医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること。


明確になり、権利も責任も強化されています。
また、監事は、その医療法人の理事や評議員および法人職員を兼任することはできません(医療法第48条)。
そして、理事の業務や財産状況についてチェックする立場となります。

東京都では、監事は第三者であることが求められます。
千葉県では、監事に加えて理事の1人も第三者であることが求められます。

じゃあ、あの人に頼むか・・・と思い浮かんだのが、いつもお世話になってる税理士という方、それはダメです。先回りして禁止されています。意外にやるんです。
顧問税理士がダメとなると、急に選択肢が狭まるように思えます。なかなか見つからないこともありますので、最初に人事に取り組んでもらうのがいつものパターンです。


ただし、監事が第三者であることについての条文は、実は明確にはありません。自治体によって詳細が異なったりもあります。
根拠はないの?
東京都に確認したところでは、「たとえば医療法第48条とか・・・」と、歯切れの悪い回答でした。

ただ、監事のチェック機能を確保するための観点から、第三者であることが望ましいのはもちろんですし、手引きには明確に書かれていますので、やはり第三者に就任していただくのがよいようです。


● 医療法人の社員

理事と混同しがちですが、社員は社員です。
ある時点で誰が医療法人の社員であるかは、社員名簿で確認します。医療法人運営管理指導要綱によれば、医療法人は社員名簿を整えなければなりません。
社員名簿には、
① 氏名
② 生年月日(年齢)
③ 性別
④ 住所
⑤ 職業
⑥ 入社年月日(退社年月日)
⑦ 出資持ち分の定めがある医療法人の場合は出資額および持分割合
を記載することとなっています。

医療法人の意思決定は社員総会が行い、その構成員は理事ではなく社員です。社員の決定に従って職務を執行するのが理事であり、これをチェックするのが監事です。

株主だと出資が求められますが、医療法人の社員は拠出額(出資額)にかかわらずひとり1個の議決権を持ち、これを行使することが最大の任務です。
誰が社員で誰が理事か。すぐに議事録を確認し、社員名簿を作成しておきましょう。