鏡の話 後編 | こはにわ歴史堂のブログ

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朝日放送コヤブ歴史堂のスピンオフ。こはにわの休日の、楽しい歴史のお話です。ゆっくりじっくり読んでください。

ところで、古代の鏡は、大部分が青銅でつくられていました。
青銅は、錫と銅の合金です。

鉄ではだめなのでしょうか…
鉄には鋳鉄と鍛鉄の二種類があり、前者はいわゆる鋳物で使用されるものです。
これは表面に気泡ができやすいので、磨くと小さな穴だらけ… 鏡には不適です。

鍛鉄は、いわゆる鋼鉄です。
鉄を火の中に入れて焼き、叩く、という製法でつくります。
日本刀なんかはこの方法でつくりますよね。
古墳時代でも、「鉄剣」「鉄刀」などが製作されていますが、いかんせん固い…
装飾、つまり文様がつけにくいんですよね…

青銅は加工や装飾がしやすい金属なので古代ではもっとも多く製作されました。

もともとは、金色(に近い黄色)なんですよ。錆びると青くなるので“青銅”と呼ばれています。

さてさて、実は研究者の間では、けっこう早くから、三角縁神獣鏡は「魔鏡」ではないか、という意見が多かったのです。

「魔鏡」とは、鏡面部分を薄く研磨していくと、裏面の文様など刻まれた凹凸の具合によって、微妙な凹凸をつくっていくことになり、光をあてて反射させると、凹面では明るく、凸面では暗く光が反射して“文様”を浮かび上がらせる、というものです。

じゃあ、反射させたらよいじゃん、と、なるのですが、なにしろ古い鏡なので、鏡面部分も汚れがひどかったり錆びたりしています。

「めちゃくちゃ貴重な三角縁神獣鏡を、研磨するなんてできないじゃんっ」

と、なっていたわけです。うわ~ 磨いて太陽光線当ててみたい~ と、研究者は思っていたんですよね…

で、びっくりするんですが…

3Dプリンターってあるじゃないですか。三角縁神獣鏡は、研究が進んでいて、細部まで形状が細かくわかっています。
それを3Dプリンターに入力して、なんと、まったく同じ“レプリカ”を作ってしまったんですよね…

で、太陽の光を当てると、見事に文様が浮かび上がった、というわけだったのです。
これが1月29日にニュースになり、翌日の新聞に掲載されたのです。

ところで、中国で4世紀に書かれた『抱朴子』に、おもしろい記述があります。

「鏡を照らすと、神仙があらわれる」

これはおそらく、「魔鏡」のことではないでしょうか。
そして日本の『日本書紀』の第五段にも

「イザナギが、マスミノカガミを持ったときに、アマテラス大神があらわれた」

とあります。

「魏志倭人伝」に、卑弥呼はこのように記述されています。

          鬼道を事とし、能く衆を惑わす

卑弥呼も、三角縁神獣鏡を手に持ち、このように“神”をうつしだすための道具として使用されていたのではないでしょうか。