前回の続き〜
車に乗り込むと、昼間と違って彼のテンションは明らかに低く、暗い顔をしていました
「どうしたの?」「なんだった?」
「ゴメン、なんて言ったら良いのかわからないけど、僕の奥さん死別なんだけど、、、
ある日急に『頭が痛い』って言って、救急車で運ばれたんだけど、そのまま逝っちゃったんだ。
3年前になるんだけど、、、
あまりにも急すぎて、僕自身も受け入れられなくて、子供二人もまだ小さくて、、それで悩んでウツになっちゃって、仕事も1年くらい行けなくて、
やっと去年あたりから仕事へ行けるようになって、、、
でも、このままじゃいけないと思って、前向きにマッチングアプリ始めたんだけど、
どうしても頭のどこかに嫁のことがあるんだよね。自分が楽しんだら嫁に悪いような気がして、、、
嫌いで別れた訳じゃないからね、
好きだった人が突然いなくなったから、本当はまだずっと引きずってるんだ
だから、それは伝えておかなきゃと思って。」
私も、死別の人の気持ちはわかってあげられず、
早死にした自分の父親のことを例にあげ、
「私も父親を早くに亡くしてるけど、もしも私が泣いてばかりの人生を送ってたら、それは故人は喜ばないんじゃないかな?って思うんだよね
故人を想う事はもちろん大事だけど、前を向いて楽しく過ごしてる姿を見せたほうが亡くなった人は喜ぶんじゃないかな?
お父さんと奥さんじゃ違うかもしれないど、、、私はもしもお付き合いすることになっても、元奥さんのコトを『忘れて欲しい』とは思わないよ
忘れる必要はないんじゃないかな?」
「もしかしたら、私じゃなくておんなじ境遇の方のが合うかもしれないね」
「少し前に、アプリで『死別』という女の人と、メールやりとりしてたんだけど、向こうの心の傷が深すぎて泣いてばかりで、前に進めないって言ってて会うまでに至らなかったんだ」
「そっかー、、、
ラフさんの心の中に奥さんがいるのは浮気とかと違うしね、私は気にはならないよ」
「うん、、ありがとう。
なんか言えてスッキリした。遅くにゴメンね、子供も待ってるし帰るね」
と言い、少し明るさを取り戻してラフさんは帰って行きました。
(2回目デート)
それから数日後、毎日打ち上げられるテーマパークの「花火」と夕食へ誘いました
「お子さんは大丈夫?」
と聞くと
「さっき、カレー作ってきたから大丈夫」
ちゃんとお母さんの代わりもしてるんだ、大変だなぁと、少し切なくなりました
花火にはまだ時間があったので、私の車に乗ってもらいテーマパークに併設されたショッピングモールに車を停め、先に夕食を頂くことにしました
インド料理屋さんで、カレーとナン🍛を注文しました
食べながら、私からいろいろ話しかけましたが聞いた事に答える程度で会話も弾まず、あまり楽しくなさそうでした
私と居ても楽しく無さそうだな、、、
そんな印象でしたので、奢ってもらうのも悪いと思い、割り勘ぶん2000円を渡しました。
まだ時間があったので、2人でショッピングモールをぶらぶらして過ごしていました。特に会話もなく彼はアウトドアショップに入り、無言で商品を見ていました。
なんか楽しくないなぁ〜早く花火の時間にならないかな〜
そろそろ時間が気になってきたので、
「今、何時?」と聞きました
彼がスマホを取り出したので、覗き込むと、、、
彼のスマホ📱の壁紙が画面いっぱいの
「笑顔の女性」でした
彼は見られたくないものを見られたと言う感じで慌ててスマホをサッと隠し、
「19時少し過ぎだね、、、」
私は亡くなられた奥様の写真なんだろうな?と察しました
それから移動し、花火🎆を見てても、花火に集中してなくて遠くを眺めたり他の見物客を見たり、私が話す事も上の空と言う感じでした
これ以上はムリだろうなと思い、彼を早めに家の近所まで送り届けました
彼も自分のテンションが低かったのを
「ゴメンね、なんか、、、楽しく話せなくて」
と、謝ってきました
「いいよ良いよ〜お子さん待ってるかもしれないから、早く帰ってあげて」
そう言ってサヨナラして、しばらくしたらLINEがありました
今日はゴメンなさい。やっぱり僕にはもう少し時間が必要かもしれません
せっかくこはるさんと出会えたのですが、楽しませてあげられる自信がないです。
自分はまだ婚活できる状態ではありませんでした。またいつか、もっと元気になってその時にまたご縁があれば、、、今回はすみません
彼の心の傷は深く、今の精神状態では私には救ってあげられそうにもないなと思ったので、私もお礼のLINEを送り、「さようなら」をしました
「ラフさん」のように『奥様想い』の方や
逆に奥様亡くされて、『全く平気』な方もどうかと思うので、それ以降は「死別」の方とはマッチングしようとは思わなくなってしまいました
8人目「ラフさん」ー終わりー