リモート会議を初めて経験する  2020年8月30日(日)

 

 初めて、大人数のリモート会議を経験しました。学校の先生方や大学の先生方は、これまでも学生に対してリモート授業をされてきているので経験があると思うのですが、退職者の私は全くの初めてだったので、とても緊張しました。子ども達や大学生達がこのシステムで学習を進めるのは、これまでにない変な疲れがあるなと思いました。発言者以外、聞いている時はマイクを切った状態にしているので、こちらの声や音が届くことはありませんでした。発言をしたいときは、手を挙げるなどの行動をすると、司会の人が指示してくれて、自分でマイクのスイッチを入れて話をしました。他にも、マイクをオンにしている人が、途中で割り込んでくることも可能です。パソコンで作っている資料は、画面に映すことができるので、自由研究発表などをすることも可能だと分かりました。

 いい点はたくさんありました。これまで東京で会議があると、前日から東京へ行き宿泊して朝10時からの会議に備えていたのですが、家にいて、10分前に机の前に座るだけでよいというのは、時間的、体力的には、とても楽だと思いました。1時間置きに途中休憩もあり、午後5時前に終わったのですが、終わった瞬間、家にいるのも素晴らしい経験でした。東京の会議だと、午後6時の新幹線に乗って大阪へ戻ると、家には夜の10時ごろに帰り着きます。帰りの新幹線は、会議で疲れているので、本を読んだりできなくて、うたた寝をしているだけになります。

 また、北海道から九州まで、全国の先生方が瞬時に集まって時間を共有するというのも素晴らしい経験かなと思いました。会社側は、旅費も宿泊費も出さなくてよいし、昼食の準備もしなくてもよいので、主催者も楽だなと思います。時間当たりの労働時間をきちんと計算してくれると、会社側にも出席者側にも、多くのメリットがあります。

 家の自分の机がそのまま仕事場に直結するという感じがよく分かりました。今年の4月にグーグルに就職した教え子は、4月以降、ずっと家で仕事をしていると聞きました。そんなことがあり得るのかと思うのですが、今回リモート会議を経験することで、少しは理解ができました。移動で疲れることがないこと、移動の時間が必要でないこと、コロナ感染の可能性が下がることなどの、多くのメリットがあります。

 良くない点は、これまでの会議と違って、主催者側のプレゼンが長くて、聞いている時間が多かったことと、出席者の意見の交流時間が少なかったことでした。また、場の空気や表情が分かりにくいので、心が通じ合えないような感じがしました。一か所に集まって進める会議では、会議の隙間や前後のちょっとした雑談、食事中や休憩中の雑談、会議場から駅までの何気ない会話が、とても大事な時間だったなと思いました。今年入学した大学生が、一度も大学へ行かないでずっとリモート授業を受けている気持ちも分かりました。友達が出来ない、一方的に学習だけが流れ込んでくる、自分は家にいるだけというのは、若い学生にとっては、つらいことだと思いました。

 私も、東京で会議がある時は、前日とても早く東京へ行き、街の中を歩いたり、本屋へ行ったり、博物館や美術館に行ったりしていました。会議以外の愉しみがあっての仕事なので、その部分がないのは、つらいなと感じました。コロナ感染拡大は、本当にいろいろな社会の仕組みを変えていき、人々の生活スタイル、さらに心の状況も変えてしまっているんだなと実感しました。