凄い本の読み方  2020年4月21日(火)

 

 毎日、朝になると取り敢えずリセットされて元気になります。朝から、じっくり読みたい新聞記事を切り分けたり、ブログをアップしたり、日記を書いたりできます。最近続けている部屋の片付けも、15分だけでもスタートしておくと、今日の片付けに弾みがつきます。読書も英語も、朝から少しだけスタートしておくことが大切です。働いている時は、いつも朝からしんどくて、職場に着く頃になんとか今日も頑張ろうと思えてくるような生活でしたが、今は疲れる生活ではありません。朝からいろいろなことに取り組んでおくことが大切だと思うようになりました。午後からお出かけするときは、朝からグーグルマップで行きたい場所の道を見ておくようにします。

 

<新聞記事より>

●巣ごもり勉強術・・岩波文庫赤本読書術(放送大学教授フランス文学 野崎歓)  思いがけず読書の時間がたっぷりできた。でも何を読んだらいい? 迷ったら、ぜひ「赤帯」をお勧めしたい。岩波文庫の外国文学部門である。赤帯の特色は、「学校では教わらない」点にあると僕は思う。スタンダール『赤と黒』、トルストイ『戦争と平和』、トーマス・マン『魔の山』。授業で教わる機会は普通、まずない。名前を知っていても、中身のほうは自分で本を開かない限り分からずじまいだ。世界遺産級の本ばかりなのに、一生無縁のまま終わるのは惜しい。社会の先行きに暗雲漂ういまこそ、自分の精神の領土をしっかり築こうではないか。家から出られない日々、赤帯は世界各地への旅を可能にしてくれる。岩波文庫のラインアップは、かつては帯の色、現代ではカバーの背の色によって5つに分類されている。赤以外では、白は法律・政治・経済・社会、青は思想・哲学、緑は日本の近代文学、黄色は古典文学。近年、赤と緑では現代文学を積極的に紹介している。 

 

 これまでの学校現場の時の資料や手作り冊子や原稿の片付けが終わっていないので、本棚の整理には至っていません。あちこちに分散して置いている文庫本をざっと見て回ると、岩波文庫もかなりあり、赤帯の本も少しありました。この家には10年前に引っ越しをしてきました。一番仕事が忙しい時だったので、取り敢えず本棚に本を入れたままになっていて、殆ど分類ができていません。早く、資料や冊子や原稿類の片づけを終えて、本棚の整理をしてみたいと思っています。昨日は、新聞記事に、国語辞典の読み比べの記事があり、8種類の国語辞典を集めてみました。文庫本の整理はやり出すと大作業になるので、片付けが終わってからのお楽しみにしておこうと考えます。

 次は、写真、フイルム、カセットテープ、ビデオテープ、MD、CDの山が見えてきました。まるで、登山のようです。手前の山の頂に来ると、さらに先の山が見えてきます。まだまだ、整理の道のりは長いようです。

 

 「岩波文庫の赤帯」で、ネットを調べていると、松岡正剛さんが、次のような人を紹介していました。

門谷建蔵『岩波文庫の赤帯を読む』青弓社 1997  (松岡正剛さんが紹介)

 岩波文庫の赤帯は中国文学をふくむ海外文学のことで、それだけで約1000冊になる。著者は、読書開始 1996年1月、記録開始1996年10月、完了 1997年4月。約1000冊を1年ちょっとで通過するには(15カ月)、よほどの集中力が必要だと想像されるにちがいない。(1日2冊?)

 著者は次のような理由と動機と楽しみをもって臨んだ。

①赤帯は国別のバランスも、小説に偏重しないジャンルのバランスもいい(その黄金比率のようなものを感じたい)。

②現代作家がほとんど入っていないのがいい(現代作家が交じっていると、現実を呼びさまされるようで、うるさい)。

③しかも読んでいなかったものが95パーセントもあり、読みたかった作家がほとんど入っている(体力トレーニングやピアノ・レッスンに似て、挑戦的な気分になれる)。

④ほかの文庫本より訳がよさそうだし、保存状態のよい古本が手に入りやすい(部屋のインテリアも変化する)。

⑤入手した赤帯を並べてみると美しく、いろいろ並べ替えているといつまでも遊べる(書物への愛情のようなものがつねに満足させられる)。

 ふつうなら、この程度の動機や条件でこの前代未聞の計画に着手できるとはおもえないが、実は昆虫採集や鉱物採集のことを思い出してみれば、不可能ではないことが見当もつく。ただし、⑤がとくに重要で、読書というもの、つねにこうした「読書まわりの趣向」が付随するものなのである。本書には書いてはいないが、この計画が完遂できたもうひとつの理由は、自分でさまざまなベスト10を選ぼうという決断をして臨んだことだろうとおもう。あるいは最初は決断していなかったのが、途中に計画を続行させるためにベスト10を選ぶという動機付けを加えたのであったろう。まさに「分類と関係を自分で発見する」というものだ。

 そのベスト10だが、これがなかなかふるっている。いくつか紹介すると、こうなっている。ただ羅列するのも失礼だろうから、ぼくもささやかなチェックをほんのすこし入れておいた。(!)はぼくの同感マーク、(?)はあれっそうかなマーク、(#)は参ったマーク。

◆喜劇ベスト10+1

①アリストパネース『アカルナイの人々』、②ゴーゴリ『検察官』(!)、③クライスト『こわれがめ』(!)、④モリエール『タルチュフ』、⑤シェイクスピア『ヴェニスの商人』、⑥ボーマルシェ『セヴィラの理髪師』(!)、⑦シング『西国の伊達男』(?)、⑧シェリダン『悪口学校』、⑨ワイルド『嘘から出た誠』、⑩シュニッツラー『輪舞』、⑪ティーク『長靴をはいた猫』(#)。

◆悲劇ベスト20

①ソポクレス『オイディプス王』(!)、②シェイクスピア『リア王』、③クライスト『ペンテジレーア』(#)、④ラシーヌ『フェードル・アンドロマック』(!)、⑤イプセン『野鴨』、⑥チェーホフ『桜の園』、⑦トルストイ『生ける屍』、⑧イプセン『ヘッダ・ガーブレル』(?)、⑨オニール『楡の木陰の欲望』、⑩ドーデー『アルルの女』(!)、⑪オニール『喪服の似合うエレクトラ』、⑫ロマン・ロラン『愛と死の戯れ』(?)、⑬ホセ・エチェガライ『恐ろしき媒』、⑭ヘッベル『ギューゲスと彼の指輪』(?)、⑮アイスキュロス『アガメムノン』、⑯ヘッベル『ユーディット』(!)、⑰エウリピデス『ヒッポリュトス』、⑱メーテルランク『対訳ペレアスとメリザンド』(!)、⑲ハウプトマン『織工』、⑳ストリントベルク『令嬢ユリェ』。

◆長編小説ベスト24

(長編の意味がややわかりにくいが)

①ノヴァーリス『青い花』(!)、ホフマン『牡猫ムルの人生観』(!)、バルザック『従兄ポンス』、フローベール『ブヴァールとペキュシェ』、リラダン『未来のイヴ』(!)、アレクセイ・トルストイ『白銀公爵』(#)、②バルザック『ウジェニー・グランデ』(?)、③バルザック『「絶対」の探求』、④老舎『駱駝祥子』、⑤『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』、⑥ブラスコ・イバーニェス『血と砂』(!)、⑦バルザック『暗黒事件』、⑧アナトール・フランス『神々は渇く』(#)、⑨レニェ『生きている過去』、⑩ホーソーン『緋文字』、⑪アナトール・フランス『赤い百合』、⑫ゲーテ『親和力』(?)、⑬フローベール『ボヴァリー夫人』(!)、⑭モーパッサン『女の一生』(!)、⑮ジイド『法王庁の抜け穴』、⑯スティーヴンスン『二つの薔薇』、⑰チャペック『山椒魚戦争』、⑱ニェムツォヴァー『おばあさん』。以下略。

◆ドイツ文学ベスト9A

①パウル・ハイゼ『片意地娘』、②クライスト『ミヒャエル・ コールハースの運命』(!)、③ホフマン『黄金の壷』、④ノヴァーリス『青い花』、⑤ゲーテ『ファウスト』、⑥『ニーベルンゲンの歌』(!)、⑦『ゲーテ詩集』、⑧ハイネ『流刑の神々・精霊物語』、⑨『グリム童話集』(#)。

◆ドイツ文学ベスト9B

①クライスト『O侯爵夫人』(#)、②ヘッセ『漂泊の魂』、③シュニッツラー『ベルタ・ガルラン夫人』、④ホフマン『牡猫ムルの人生観』、⑤クライスト『ペンテジレーア』、⑥クライスト『こわれがめ』、⑦ゲーテ『西東詩集』、⑧カロッサ『ルーマニア日記』(!)、⑨ヘーベル『ドイツ炉辺ばなし集』。

◆イギリス文学ベスト9

①モーム『雨・赤毛』、②ハーディ『日陰者ヂュード』(!)、③ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(!)、④シェイクスピア『リア王』、⑤シェリダン『悪口学校』(?)、⑥シェイクスピア『オシァン』、⑦『バーンズ詩集』、⑧シング『アラン島』、⑨イエイツ編『隊を組んで歩く妖精達』。

◆フランス文学ベスト9

①モーパッサン『メゾン・テリエ』(#)、②メリメ『コロンバ』、③バルザック『ウジェニー・グランデ』(?)、④リラダン『未来のイヴ』(!)、⑤デュマ『モンテ・クリスト伯』(!)あるいはユゴー『レ・ミゼラブル』(!)あるいはラブレー『ガルガンチュワとパンタグリュエル物語』(!)、⑥ロスタン『シラノ・ド・ベルジュラック』、⑦ボードレール『悪の華』あるいは『ヴィヨン全詩集』(?)あるいは『ヴァレリー詩集』、⑧アナトール・フランス『昔がたり』(#)、⑨サンド『フランス田園伝説集』。

◆大長編小説ベスト22

①ゴーティエ『キャピテン・フラスカ』(#)、②メルヴィル『白鯨』(!)、③サンド『笛師のむれ』(?)、④スコット『アイヴァンホー』、⑤バルザック『農民』、⑥ゴーゴリ『死せる魂』(!)、⑦バルザック『従妹ベット』、⑧ドストエフスキー『白痴』、⑨スタンダール『パルムの僧院』、⑩スターン『トリストラム・シャンディ』、⑪ゴンチャロフ『オブローモフ』(!)、⑫スタンダール『赤と黒』、⑬ハーディ『日陰者ヂュード』、⑭ゾラ『ジェルミナール』、⑮スコット『ミドロジアンの心臓』、⑯ゾラ『大地』、⑰ケラー『緑のハンリッヒ』、⑱フローベール『感情教育』(#)、⑲フィールディング『トム・ジョウンズ』、⑳マリヴォー『マリヤンヌの生涯』。以下略。

 

◆大々長編小説ベスト14

①トルストイ『戦争と平和』、②ラブレー『ガルガンチュワとパンタグリュエル物語』(!)、③セルバンテス『ドン・キホーテ』、④ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(!)、⑤ユゴー『レ・ミゼラブル』(!)、⑥デュマ『モンテ・クリスト伯』(!)、⑦ショーロホフ『静かなドン』、⑧ディケンズ『デイヴィド・コパフィールド』(!)、⑨トルストイ『アンナ・カレーニナ』(#)、⑩『紅楼夢』、⑪ロラン『ジャン・クリストフ』(?)、⑫ハシェク『兵士シュヴェイクの冒険』、⑬ル・サージュ『ジル・ブラース物語』(!)、⑭ジャック・カザノヴァ『カサノヴァ回想録』。

 

この著者はあろうことか、このあと休むひまもなく『岩波文庫の黄帯と緑帯を読む』を続刊した。日本文学系文庫本だ。これには参った。脱帽だ。