新型コロナ感染を考える  2020年4月10日(金)

 

 人類学者ジャレド・ダイアモンドさんにインタビューをした記事がありました。「危機を認める誠実さが必要」という題でした。勤務先のカリフォルニア大学ロサンゼルス校は、3月中旬から閉鎖されているので、ロサンゼルス市内の自宅で過ごすダイヤモンドさんに電話で話を聞いた記事。(読売新聞)

 

●ジャレド・メイスン・ダイアモンド(Jared Mason Diamond, 1937年9月10日 - 、現在82歳)は、アメリカ合衆国の進化生物学者、生理学者、生物地理学者、ノンフィクション作家。現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会科学部地理学科の教授。一躍有名にしたのが、一般向けの書籍『銃・病原菌・鉄』である。

●トランプ大統領は、1月下旬に国内で感染が確認されて以来、事態を矮小化する発言を繰り返して、危機に向き合わなかった。政権は過ちを犯した。

●スペイン風邪は、第一次大戦末の1918年から翌年に流行し、致死率は2%台だった。世界で2500万人の命を奪った20世紀最悪の感染症だった。新型コロナもおなじ2%台。一世紀前に比べて世界の総人口は4倍で、人々は広く世界を旅するようになっているので、死者はスペイン風邪よりも増える恐れがある。

●通常、感染には波があり、今は第1波。それを乗り切った人々が戸外に出て第2波が起こる。波が幾重になるのか分かりませんが、一つの波が半年続くとすると、流行は1年以上、2年続くかもしれない。

●歴史的に見て、疫病はたいてい、野生動物、あるいは家畜に寄生したウイルスが人間に感染して発症したもの。天然痘はラクダ。結核やはしかは、家畜に由来します。今回の新型コロナは、武漢市の野生動物を扱う市場でした。2002年のSARSも、中国の野生動物市場。コウモリに宿ったウイルスが、食用に売られたハクビシンを経て人間に感染したのは間違いない。中国当局は、野生動物市場は閉鎖したが、まだ不十分。食用とは別に生薬の材料として野生動物の取引が横行しているからです。

●21世紀の人類の4つの脅威・・今世紀半ばまでに解決する必要がある。『危機と人類』近著より

第一は、核の脅威。・・テロリストによる放射性物質の使用。

第二は、温暖化。・・氷が融けて海面が上昇している。

第三は、資源の枯渇。・・石油、天然ガス、魚介類、木材、表土、真水。

第四は、先進国とそれ以外の国々との経済格差。・・先進諸国12億人の生活水準の平均値は、残り65億人の30倍以上。先進国に対する不満が全く意図しない形で現れることもある。

●4つの脅威は全て人間の作為なので、人類が本気になれば解決できるはず。危機を危機と認める誠実さが、克服に向かう第一歩です。人類が脅威の排除に成功する確率は52%、失敗する確率は48%とみなしている。

 

 世界中で、死者が2500万人以上にもなるかもしれない、感染には第1波、第2波があり、今は第1波なので、1年、2年と続く可能性があるということです。日本は、今、本格的に広がりはじめたばかりですが、長い闘いになりそうです。