海外の教育に触れて  2019年12月18日(水)

 

 アメリカのニューヨークの美術館や自然史博物館、ワシントンのスミソニアン博物館に行ったことがあります。その時、小さな子ども達が先生と一緒に、絵や展示物の前に座り込んで、話し合いをしている場面を見ました。日本のように35~40人もいません。20人以下だったと思います。作品を見ながらしっとりと話を聞いたり、おたずねをしたりしています。ちょっと日本では見られない光景です。有名な美術館や博物館は、世界的な絵画や標本が展示されているのですが、日本のように混んでいることはありません。というよりも、迷子になるほど広いということで、多くの人が来ていても、混み合っていないということなのかもしれません。素敵な環境で、本物を見て学習ができているんだなと羨ましく思いました。

 カナダのロイヤルティレル博物館では、博物館の近くで恐竜を発掘している現地ツアーがありました。10人ほどがグループになって、1人のガイドのお姉さんが、地層の説明や発掘現場の状況や、発掘の仕方などを、手書きの絵や図を示しながら説明してくれます。英語ですが、図を示したり、発掘している本物の化石を見せてくれたりしながら話すので理解ができました。恐竜の発掘現場の近くに行くことができるだけでも、すごいことでした。  

 ロスアンゼルスに行ったときは、大学構内の見学ツアーに参加しました。学生アルバイトが案内してくれているようです。理学部の学生達が科学実験をしている研究室の様子を見たり、多くの学生が講義を受けている講義風景を見たりできました。大きな講義室は、後ろのガラス張りの通路から見学しました。劇場のような講義室なので、教授の手元の資料を撮影して、後ろのモニターに大きく映し出すカメラマンがいました。さらに、大学の驚くほど大きい図書館も見ることができました。

 サンフランシスコでは、小学校や中学校の授業を見たり、校内見学をしたりしたことがあります。この時は、教室内や廊下や玄関の掲示物がとてもカラフルであることにまず驚きました。紫、ピンク、緑、青、黄色など、鮮やかな色のアート紙が使われていました。小学校には、前に向いた椅子と机はなく、それぞれ個人が教室の好きな場所で学習に取り組んでいました。また、グループになって、話し合いをしていたり、物を作ったりしている教室も見ました。中学校は、日本のように机は前に向いていましたが、足を組んでいて少しよくない態度のように見えましたが、常に手を挙げて意見をつないでいました。また、小学校も中学校も、図書室は暖色のカラフルな絨毯がひかれていて、温かいリビングのような雰囲気でした。寝転がって本を読んでみたくなるような場所でした。

 アメリカは、教育にお金をかけているなというのがとても感じられました。大学には莫大な寄付があって、能力や個性が開発されるような教育が進められているということでした。本当に賢い子どもが育つような気がしました。無機的な建物の中に詰め込まれて、試験をされて、トレーニングされている日本の教育とは違うなと思いました。日本の教育も、今後、お金をかけた素敵な環境の中で、子ども達や学生が個性的に育つ学習を、作っていくようになってほしいと思いました。空間のゆとり、環境のゆとりがあって、さらに質の高い素材や教材を使って、子ども達が真に学び合う教育に変化していくことが大切であると思います。個性的に育つ教育、子どもの中に潜む能力がそれぞれに発揮できる環境、いくらでも伸びることができる質の高い図書館や研究室や施設の設置などが必要だと思います。

 小学校も大学も、図書室だけを比べても、アメリカは、日本と比較にならないすごい状況です。たとえが悪いのですが、アメリカ軍と自衛隊の礫然たる違いを感じます。もっと教育にお金をかけてほしいと思います。そして、個人を支援し、やる気のある子どもをしっかり伸ばしてあげることができる、学び環境を作ってあげたいものです。横並びの教育では、育たないことが多くあります。伸びるべき子どもが、育ち切れていないもどかしさを日本では感じます。