『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』を読む 2019年10月16日(水)
村上春樹・柴田元幸『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』2003年文春新書、を読みました。村上春樹さんが、J・D・サリンジャーが書いた『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の翻訳をしたあと、翻訳仲間の柴田さんと、この本についての魅力や謎について対談したときの記録です。また、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は、翻訳者あとがきを付けないことを知らずに、村上春樹さんは、あとがきを書いてしまっていて、そのあとがきもここに収録されています。対談では、サリンジャーの育ちや人柄について詳しく語られ、作品の中の登場人物と著者との関係の分析が進められていました。また、サリンジャーがこの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を書いた当時(1940年代)のアメリカの文化を、現代の日本の言葉へと置き換える時の言葉の選択の仕方について、村上春樹さんの考えが詳しく語られていました。
実は、この村上春樹さんが翻訳した『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の本は、かなり前に買って持っているのですが、まだ読んでいませんでした。先に、この解説本を読んだので、この勢いで『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んでみようと思います。
ここでは柴田元幸さんについて、どんな方なのかネットで調べてみました。
「柴田 元幸(しばた もとゆき、1954年7月11日 )は、日本のアメリカ文学研究者、翻訳家。東京大学名誉教授。東京都大田区出身。ポール・オースター、チャールズ・ブコウスキー、スティーヴ・エリクソン、スティーヴン・ミルハウザー、リチャード・パワーズなど現代アメリカ文学、特にポストモダン文学の翻訳を数多く行っている。彼の翻訳した本は注目を集めるため、レベッカ・ブラウンなどは本国アメリカよりも日本で人気が高い。東京都立日比谷高等学校卒業。1979年東京大学文学部英文科卒業。1984年同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。1985年イェール大学大学院修士課程修了。1984年東京学芸大学教育学部専任講師、87年助教授、1988年東京大学教養学部助教授、1997年東京大学大学院総合文化研究科助教授、1999年東京大学人文社会系研究科英語英米文学専攻助教授、2004年同教授。2007年現代文芸論研究室に異動。2014年同大学を退任し名誉教授。
<村上春樹との関係>
小説家の村上春樹が1986年にジョン・アーヴィングの『熊を放つ』を翻訳する際、柴田、畑中佳樹、上岡伸雄、斎藤英治、武藤康史の5人でチームを組んでバックアップをした。ここから村上との親交が始まる。1987年7月刊行のポール・セローの『ワールズ・エンド(世界の果て)』からは、村上の訳文をひとりでチェックするようになった。村上との共著に『翻訳夜話』、『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』、『本当の翻訳の話をしよう』がある。また、CDブック『村上春樹ハイブ・リット』(アルク、2008年11月)の総合監修を務めた。」
村上春樹さんも凄いのですが、柴田さんはすごい経歴の方でした。多くの本を翻訳されています。柴田さんが翻訳をされた本の一覧もネットにあるのですが、コピーすると7ページにも渡るので、添付するのをやめました。次に、村上春樹さんの、翻訳本の一覧をネットで調べてみました。これから読んでいきたいので、コピーをしてみました。
<村上春樹翻訳>
●スコット・フィッツジェラルド
・マイ・ロスト・シティー(1981年5月 中央公論社、1984年6月 中公文庫)※
・ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック(1988年3月 TBSブリタニカ)※
・バビロンに帰る ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック2(1996年4月 中央公論社、1999年9月 中公文庫)
・グレート・ギャツビー(2006年11月 中央公論新社、愛蔵版も刊行)
・冬の夢(2009年11月 中央公論新社、箱入単行本)
・ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集(2019年6月 中央公論新社)
●レイモンド・カーヴァー
・ぼくが電話をかけている場所(1983年7月 中央公論社、1986年1月 中公文庫)
・夜になると鮭は‥‥(1985年7月 中央公論社、1988年1月 中公文庫)
・ささやかだけれど、役にたつこと(1989年4月 中央公論社)
・レイモンド・カーヴァー全集(全8巻、中央公論社、新版2004年)
・頼むから静かにしてくれ(1991年2月)※、ライブラリーは各新編分冊
・愛について語るときに我々の語ること (1990年8月)
・大聖堂 (1990年5月)
・ファイアズ (炎)(1992年9月)
・水と水とが出会うところ / ウルトラマリン(1997年9月)
・象 / 滝への新しい小径(1994年3月)
・英雄を謳うまい(2002年7月)
・必要になったら電話をかけて(2004年7月)
・カーヴァー・カントリー(1994年10月 中央公論社)
・Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選(1994年12月 中央公論社、1997年10月 中公文庫)
・必要になったら電話をかけて(2000年8月 中央公論社)。全集版とは収録内容が異なり、短編5編のみ
・ビギナーズ(2010年3月 中央公論新社)
●トルーマン・カポーティ
・おじいさんの思い出(1988年3月 文藝春秋)
・あるクリスマス(1989年12月 文藝春秋)
・クリスマスの思い出(1990年11月 文藝春秋)
・誕生日の子どもたち(2002年6月 文藝春秋、2009年6月 文春文庫)
・ティファニーで朝食を(2008年2月 新潮社、同年12月 新潮文庫)
●レイモンド・チャンドラー
・ロング・グッドバイ(2007年3月 早川書房、2010年9月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・さよなら、愛しい人(2009年4月 早川書房、2011年6月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・リトル・シスター(2010年12月 早川書房、2012年8月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・大いなる眠り(2012年12月 早川書房、2014年7月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・高い窓(2014年12月 早川書房、2016年9月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・プレイバック(2016年12月 早川書房、2018年9月 ハヤカワ・ミステリ文庫)
・水底の女(2017年12月 早川書房)
●J・D・サリンジャー
・キャッチャー・イン・ザ・ライ(2003年4月 白水社、2006年3月 白水Uブックス)
・フラニーとズーイ(2014年2月 新潮文庫)
●ジョン・アーヴィング
・ジョン・アーヴィングの世界(1985年12月 サンリオ、共訳)
・熊を放つ(1986年5月 中央公論社、1989年・新版1996年 中公文庫 全2巻)※
●クリス・ヴァン・オールズバーグ
・西風号の遭難(1985年10月 河出書房新社)
・急行「北極号」(1987年12月 河出書房新社)
・名前のない人(1989年8月 河出書房新社)
・ハリス・バーディックの謎(1990年11月 河出書房新社)
・魔法のホウキ(1993年6月 河出書房新社)
・まさ夢いちじく(1994年9月 河出書房新社)
・ベンの見た夢(1996年4月 河出書房新社)
・いまいましい石(2003年11月 河出書房新社)
・2ひきのいけないアリ(2004年9月 あすなろ書房)
●ティム・オブライエン
・ニュークリア・エイジ(1989年10月 文藝春秋、1994年5月 文春文庫)
・本当の戦争の話をしよう(1990年10月 文藝春秋、1998年2月 文春文庫)
・世界のすべての七月(2004年3月 文藝春秋、2009年6月 文春文庫)
●マイケル・ギルモア(Mikal Gilmore)
・心臓を貫かれて(1996年10月 文藝春秋、1999年10月 文春文庫 全2巻)
●ビル・クロウ(Bill Crow)
・さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想(1996年1月 新潮社、1999年2月 新潮文庫)
・ジャズ・アネクドーツ(2000年7月 新潮社、2005年7月 新潮文庫)
●シェル・シルヴァスタイン
・おおきな木(2010年9月 あすなろ書房)
●マーク・ストランド
・犬の人生 (1998年10月 中央公論社、2001年11月 中公文庫)※
●ポール・セロー(Paul Theroux)
・ワールズ・エンド(世界の果て)(1987年7月 文藝春秋)※
●C・D・B・ブライアン (Courtlandt Bryan)
・偉大なるデスリフ(1987年11月 新潮社、1990年8月 新潮文庫)※
●グレイス・ペイリー (Grace Paley)
・最後の瞬間のすごく大きな変化(1999年5月 文藝春秋、2005年7月 文春文庫)
・人生のちょっとした煩い(2005年6月 文藝春秋、2009年6月 文春文庫)
・その日の後刻に(2017年8月 文藝春秋)
●マーク・ヘルプリン文、クリス・ヴァン・オールズバーグ画
・白鳥湖(1991年12月 河出書房新社)
●アーシュラ・K・ル=グウィン
・空飛び猫(1993年3月 講談社)
・帰ってきた空飛び猫(1993年12月 講談社)
・素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち(1997年6月 講談社)
・空を駆けるジェーン 空飛び猫物語(2001年9月 講談社)
●トビー・リドル
・わたしのおじさんのロバ(2018年12月 あすなろ書房)
●ジム・フジーリ
・ペット・サウンズ(2008年2月 新潮社、2011年12月 新潮文庫)
●マーセル・セロー (Marcel Theroux)
・極北(2012年4月 中央公論新社)
●ジェフ・ダイヤー (Geoff Dyer)
・バット・ビューティフル(2011年9月 新潮社)[172]
●ダーグ・ソールスター (Dag Solstad)
・Novel 11, Book 18(2015年4月 中央公論新社)[173]
●カーソン・マッカラーズ
・結婚式のメンバー(2016年4月 新潮文庫・村上柴田翻訳堂)
●ジョン・ニコルズ
・卵を産めない郭公(2017年5月 新潮文庫・村上柴田翻訳堂)
●エルモア・レナード
・オンブレ(2018年1月 新潮文庫)
●ジョン・チーヴァー
・巨大なラジオ/泳ぐ人(2018年11月 新潮社)
●ドナルド・L・マギン
・スタン・ゲッツ 音楽を生きる(2019年8月 新潮社)