『孤独は贅沢』を読む 2019年8月1日(木)
ヘンリー・ソローの哲学的な言葉を拾い出した本です。主な言葉と、それについてソローが詳しく書いている文章を対にして構成されています。主な言葉は101点あるのですが、その50までを書き出してみることにしました。心に留めておきたいと思います。
01 とびきり上等な孤独になれる時間を、一日一回持つ。
02 ひとりになれば心と時間にゆとりができる。「贅沢なとき」を実感できる。
03 金もない。仕事もない。友達もいない。だから、すぐに旅に出られる。
04 あなた自身を探究すればいい。その旅が、もっとも遠くへあなたを連れて行く。
05 ぼくはひとり、ぼくだけを見つめ、ぼくだけについて書けばいい。
06 他人に評価される人生だけが正しいわけじゃない。それは一つの生き方にすぎない。
07 毎日たくさんの人と会わなくてもいい。それよりたったひとりの誠実な人との、時間を大切にするんだ。
08 ぼくたちは絶望ではなく勇気を、堕落ではなく安らぎを、分かちあうんだ。
09 見えないものに真実がある。見えるものだけに、惑わされてはいけない。
10 もう手を使わなくていい。頭を使って、ぼくは土を掘っていく。
11 死や病気について考えすぎてはいけない。生きている限り、それは隣りにあるから。
12 人生の闇の森に迷えばいい。そこから自分自身を発見しはじめる。
13 「いいこと」をすれば、決して損をしない。「いいこと」は、お金のかからない投資だ。
14 頭の上だけではない。天は、どこにでもある。それに気づく人が幸せになれる。
15 本当の友人は、付き合いの長さから生まれるのではなく、見えている世界の共通項から生まれる。
16 金持ちにも、貧乏人にも、どんな人にも新しい春が訪れる。それはただひたすら美しい。
17 宇宙には、邪心がない。同情もない。毒もない。そんな宇宙のように生きればいい。
18 いまいる場所が世界の全てではない。世界は、ぼくたちには、とても見通しきれないほど広い。
19 自分を見つめる。撃ち抜くぐらいの視力で、自分自身を見つめる。
20 一等船室から出よ。水夫になってマストの前に立てば、世界がよく見える。
21 自分の夢に向かって、自信を持って進み、心に思い描いた通りの人生を、送ろう。
22 自分自身に限界を作らずに生きてみればいい。可能性の輪郭はどこまでも広がっていくものだから。
23 他人の人生をうらやましがらない。それより自分の夢に乗り出す準備をはじめよう。
24 人生を変えなくていい。自分を変えなくていい。必要以上を求めなくていい。
25 時間を味方につけたら自由になれる。自分の好きなことに没頭すればいい。
26 身軽に生きることで、暗闇の中にいても、いつも自分を見つけることができる。
27 余計なモノは一切いらない。シンプルで最低限必要なモノは、素敵なインテリアになる。
28 流行や世間体なんてつまらない。タンス一杯の服はもういらない。
29 自分のやるべきことを見つけた人は、どんな服を着ていても美しい。大事なのは生き方だ。
30 他人と同じものを欲しがるから、貧しくなる。本当に必要なのは、手の届く場所にあるのに。
31 「所有物」に鎖でつながれて前に進めないまま、多くの人が死んでいく。
32 「所有」という名のあなたの、心の自由を奪う罠に気をつけろ。
33 本当に必要なモノを持っていないのは、金を持っている人たちのほうである。
34 お金やモノに目がくらんで、追いかけるほど、自分が薄っぺらなものになっていく。
35 手にしているものは、本当に自分で選んだものなのだろうか。
36 ひとりで暮らしてみると、わかってくることがある。つまり、生きるのに最低限必要なものは、ほとんど変わらない。
37 貧しさをじっくり育てよう。いまあるものを大切にするんだ。そうすれば、世界が小さくなることはない。
38 本当に必要なものは自分で作ればいい。
39 火にも顔がある。その顔と向き合えば、こびりついた心の汚れが取り払われていく。
40 ぼくらは、静かな絶望の中で生きている。絶望を慰めてくれるのは野生の魂だけだ。
41 自ら作ったものを、だれにも売らなくていい方法を考える。自分で楽しむのが大切なことだから。
42 人間は、お金の問題を複雑な方法で解決しようとする。だから、豊かな暮らしをしていても、いつまでも本当に豊かになれない。
43 今の生活を維持することだけを、考えているなら、何も変えられない。
44 自分の取り分ばかりを計算するのは、やめにしよう。要求するほど自分で自分を不自由にしていくのだから。
45 その強欲な男の畑は、花も実も育たない。お金しか実らない。本当の豊かさがわかる貧しさがほしい。貧しいほど人は豊かになっていく。
46 自分の欲望の奴隷になるな。自分の命をお金のためにすり減らすな。
47 本当の美はお金で買えない。春になれば、冬に枯れた草木さえ、美しくなる。
48 ひとりの時間、窓の外の変化に気づく。そこには一年の四季の変化の中に、千年にも及ぶ感動が待ち伏せている。
49 貧しい人の方が、だれよりも自由に暮らしている。
50 勇気のある貧者は、軽薄な人間にならなくてすむ。余計なお金は、余分なモノしかもたらさない。
ソローは、ハーバード大学を卒業してから、小学校の教師や、私塾の経営者をしましたが、塾を一緒に経営していた兄が死んでからは、定職に就きませんでした。自由にものを書く時間がほしかったからです。1845年の夏から2年2か月、ウォールデン湖の森の中に丸太小屋をつくって自給自足の生活を始めました。孤独を愛したソローの言葉は、それからの世界に大きな影響を与えました。レイチェル・カーソン(科学者)、ターシャー・デューダー(庭作り、絵本作家)、アーネスト・シートン(博物学者、作家)、ジョン・ミューア(ナチュラリスト、作家)、ゲーリー・スナイダー(詩人、自然保護活動家)、トルストイなどです。多くの作家や芸術家たちが、ソローの『ウォールデン』を、バイブルとして読んでいたと言われています。