八方尾根自然研究路を歩く 2019年7月28日(日)
信州の白馬地方に行きました。初日、朝5時15分に堺市の家を車で出発。近畿自動車道、第二京阪道路、京滋バイパス、名神高速道路、中央高速道路を通りました。安曇野インターで降りて、八方尾根スキー場、ゴンドラ「アダム」八方駅(770m)に11時過ぎに着きました。6時間かかりました。
この白馬地方へは、スキーのために、五竜や栂池スキー場に来ているのですが、登山はしたことがないので、山の並びがよく分かりませんでした。調べて見ると次のような説明がありました。
「白馬岳(標高2,932m)は北アルプスにあって、黒部川と南北並走する後立山連峰の最北端に位置しています。白馬岳(標高2,932m)は、杓子岳(標高2,812m)、 鑓ヶ岳(標高2,903m)などと共に白馬三山と呼ばれ、その主峰である白馬岳の山頂に一等三角点が設置されています。白馬三山から南へ、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、針ノ木岳と続くのが後立山連峰です。」
今回、最初に目指してきたのが、八方尾根自然研究路です。八方尾根自然研究路は、白馬三山の南側にある、唐松岳に登る登山道の一部でした。高山植物が見られるという、八方尾根自然研究路や栂池自然園を、観光案内を見つけてやってきたのですが、現地についてようやく、高山植物が見られる地域と、山々の並びと、スキー場との位置関係が分かってきました。若い頃のスキー旅行は、スキー場に行くことしか考えていなかったので、山々との関係まで意識がつながっていませんでした。夜行バスに乗って行くので、その地域の地図を見ていなくて、ゲレンデのリフト地図ばかりを見ていました。
八方スキー場は、大糸線JR白馬駅(697m)前から西に2㎞ほど入った所です。ゴンドラ「アダム」八方駅すぐ近くの130台ほど停められる駐車場に向かったのですが、満車状態でした。少し離れた駐車場に車を置くことができました。お昼ごろなので、早朝から登っていた方々が、もうすでに降りてきています。
車を置いて、登山靴に履き替えて、八方ゴンドラ「アダム」八方駅(770m)へ向かいました。まずは、ゴンドラに乗って、うさぎ平(1400m)へ上がりました。6人乗りのゴンドラで、8分でした。うさぎ平は、高山植物が綺麗に咲いていて、また、レストランもあって、広々としたところでした。うさぎ平周辺は帰りに見ることにして、次のアルペンクワッドリフト(4人乗り、7分)で、黒菱平鎌池湿原(1680m)へと上がりました。クワッドリフトに乗っている時、斜面には色とりどりの花が咲いていて歩いてみたくなりますが、とても急な斜面です。黒菱平に着きました。さらに次のリフトに乗りかえるために鎌池湿原の木道を100mほど歩きました。鎌池湿原には、ニッコウキスゲやシモツケソウが咲いていました。黒菱平鎌池湿原(1680m)から、さらにグラートクワッドリフト(4人乗り、5分)に乗り、八方山荘前(1830m)まで一気に登りました。
八方山荘(1830m)前には、ジュース、お土産、アイスなどを売っている売店と、トイレがありました。降りてくる人、これから登る人がいます。八方尾根自然研究路は、ここから歩き始めて、八方池(2060m)まで、高度差230m、距離1500mを往復します。八方池から先は、さらに登山道は続いていて、300名山である唐松岳(2695m)へと登ることができます。八方池から唐松岳への登り口には、登山の装備を整えて登ってくださいと書かれています。さらに3㎞、2時間30分かかるようです。頂上近くには、唐松岳頂上山荘があります。
「黒菱平から上部は、中部山岳国立公園であるとともに、長野県天然記念物に指定され、ここにしかない固有種や可憐で貴重な高山植物をはじめ、特別天然記念物の日本カモシカやライチョウなどの動植物が多数生息しています。」と、パンフレットには書かれています。
八方尾根自然研究路は、尾根道と、尾根から少し下がったところを通る木道とがあり、登りは尾根道を歩き、下りは尾根から離れた木道を歩きました。尾根道は、岩がゴロゴロしていて、歩きにくい道です。蛇紋岩の岩石が露出しています。本州中央の大地溝帯沿いにあたり、静岡糸魚川構造線上にこの唐松岳があります。蛇紋岩は地下深いところでできる岩石なので、断層運動で地表に出てきているのでしょう。蛇紋岩についてネットで調べると、次のような説明がありました。
「蛇紋岩は、かんらん岩が 地下深部で水分の作用を受けて変質してできる岩石で,直接マグマが冷えて固まってできた岩石ではない。しかし便宜上,火成岩の仲間と されている。地球の表面を覆う十数枚のプレートと呼ばれる巨大な岩盤同士の衝突により,上部マントル(地下:数10km~400km)のかんらん岩は部分的に水分の 供給を受けて蛇紋岩に変化する。その変化の1例は下の反応で表される(かんらん岩の主成分であるかんらん石が水で分解して,蛇紋石と ブルーサイトからなる 蛇紋岩 になる)。
2Mg2SiO4 + 3H2O → Mg3Si2O5(OH)4 + Mg(OH)2
かんらん石 水分 蛇紋石 ブルーサイト
蛇紋岩のもとの,かんらん岩はマグネシウムに富むかんらん石や輝石類か らなり,堅く,密度が3.5g/cm3に 達する重い岩石で,上部マントル (地下数10km~400kmの領域)に多く存在する。しかし,それが分解してできた蛇紋岩は軟らかく,可塑性に富み,もとのかんらん岩に比べ軽く な るため(密度が2.6g/cm3程度に下がる),地表付近へ固体のまま上昇する。」
蛇紋岩は、これまで京都の大江山周辺で一度見たことがあるのですが、とても深いところでできる岩石なので、地表で見られるのは珍しいということです。八方尾根の蛇紋岩も、フォッサマグナの断層運動によって、地下深部から出てきています。
植物は、尾根沿いの道にも、尾根から少し下の木道沿いにも見られます。花の写真を撮りながら、歩きました。植物の写真の整理がまだできていないので、植物名を並べられないのですが、「こぎつねさんぽに出かけよう」のブログに、少しずつ写真を掲載し、名前を調べていこうと思います。八方尾根は研究路というだけあって、植物の横に名札もつけられているので、花と一緒にラベルも撮影してきました。かなりの種類の植物の写真を撮ることができました。
登りに使った尾根の道には、石神井ケルン(1974m)、第2ケルン(息ケルン、2005m)、八方ケルン(2035m)、第3ケルン(2080m)があり、4つのケルンを辿るように歩くきます。少し、高山の登山気分にもなれます。第3ケルン(2080m)から少し下ったところに、八方池があり、研究路の終着点です。もっと楽な散策路かなと思っていたのですが、石がごろごろあって、思っていたよりも歩きにくい山道でした。途中、雪渓を見ることができました。八方池近くでは、雪渓の上を通る所もありました。
「八方池は、雪に押し流された土砂の堆積でできた池で、サンショウウオやモリアオガエルも生息しています。霧でガスっていなければ、池の上に白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳の雄大な白馬三山が見えるでしょう。時間があれば八方池のそばに下り、周囲180mを周回してから、元の道を下山します。」と、パンフレットに書かれています。パンフレットの説明を降りてから見たので、うかつにも、サンショウウオやモリアオガエルの確認はできませんでした。
再び、八方池からリフト乗り場まで、尾根道から少し下についている木道を下り、二つのリフトに乗って、うさぎ平まで戻ってきました。うさぎ平では、いま一度、花の観察をしました。ここはリフト近くの斜面全体に花が咲いています。尾根道とはまた違った花の写真を撮ることができました。うさぎ平のレストランで珈琲タイムをしてから、ゴンドラで下り、大学の時の同級生がしている民宿へと向かいました。
朝5時過ぎに家を出ると、午後には信州の八方尾根自然研究路を歩いていました。思い切って出かけると、日々の生活は広がることが感じました。