伊根町・経ケ岬灯台   2019年5月25日(土)

 

 5月24日(金)の午前中は、天橋立ビューランドに上がったり、遊覧船に乗ったり、天橋立の砂嘴を歩いて渡ったりしました。天橋立のフィールドワークについては、412号に詳しく記録しました。

午後からは、天橋立から夕日ケ浦まで、丹後半島の海岸沿いを車で走りました。まずは、天橋立駅前から阿蘇湾沿いに走り、砂嘴の向こう側の元伊勢籠神社の前を通り過ぎ伊根の町に行きました。

 伊根町は、海に沿った細い道に家々が並んでいるところです。車をとめて見て回るようなことはできません。高台にある道の駅「舟屋の里伊根」の駐車場まで車を進めて、伊根の町全体を見ることにしました。よくテレビで見かける風景が広がっています。ネットで調べると、次のような解説がありました。

 

▼伊根町(いねちょう)は、京都府与謝郡に属します。重要伝統的建造物群保存地区として選定されている舟屋の町並みで国内外にも知られ、毎年30万人近い観光客が訪れます。丹後半島は古代より大陸との交流が盛んな所で、京の都と大陸との交易ルートにあたります。現在は漁業、観光が主。伊根湾は、荒々しい日本海のイメージとは違った、静かな入り江になっています。そんな伊根湾沿いには、1階部分が船のガレージになっている舟屋が約230軒立ち並び、その独特の景観から国の重要伝統的建造物群保存地区(2018年8月現在、日本全国で43道府県98市町村の118地区が選定されている)に選定されています。舟屋とは、船のガレージのことで1階が船揚場、2階が居室になっている建物のこと。なぜ、荒々しい日本海側で海沿いぎりぎりに家を建てられたのか?については、伊根湾には舟屋に適した地形となっている3つの特徴があります。

 その一つが、日本海から伊根湾に入るほぼ中央にある無人島青島の存在です。青島は島全体が常緑樹で埋め尽くされている美しい島で、漁業関係者の信仰の対象である「蛭子神社」が頂上にあることから地域の人たちにとって聖なる島と考えられています。この青島が伊根湾の入り口を二分し、天然の防波堤のような役割をしていることから、静かな入り江を作り出しています。

 二つめのポイントは、伊根湾を囲んでいる急傾斜の岩山が、海に向かって深い溝をつくっていることで荒波が起こりにくい地形となっていること。

 そして三つめのポイントは、伊根湾の潮の干満差が小さいこと。年間通して、50cm程度なので、静穏度が非常に高い天然の良港となっています。

 伊根の舟屋群は、伊根湾沿いにぐるっと約5kmにわたって細長く形成されています。舟屋は江戸時代中期から存在していると言われており、当時は茅葺屋根で、網を干す必要があることから、床板はありませんでした。現在の2階建ての舟屋は、明治~昭和25年の鰤景気によって建てられたもの。基本的には1階部分が船のガレージ、2階部分が居住スペースとして建てられましたが、現在は道を挟んで山側にある母屋を居住スペースとしている世帯が多いそうです。

 

 「伊根湾を囲んでいる急斜面の岩山」というのが気になりますが、伊根湾は穏やかな自然の良港という感じを受けました。世界遺産に指定されてもいいような、独特な暮らしを今に伝えている地域です。外国人の家族が、伊根の町を歩いていました。荷物を持っていないので伊根の舟屋に宿泊された方なのでしょう。今回は通り過ぎただけでしたが、泊まって民宿の方のお話を聞くような旅行もしたいなと思いました。

 次に、経ケ岬灯台を見に行きました。経ヶ岬(きょうがみさき)は、京都府京丹後市丹後町袖志に属し、日本海(若狭湾西部)に面していて、京都府及び近畿地方の最北端の地です。丹後天橋立大江山国定公園に含まれます。丹後半島北端を構成する岬の周囲は、安山岩による柱状節理の発達した海食崖になっていて、経ヶ岬の名前の由来は『宮津府志』によると、岬を取り巻く柱状節理が経巻を立てたように見える所からそう呼ばれるようになったということです。

 

▼経ヶ岬灯台は、1898年(明治31年)12月25日初点灯した灯台で、第1等フレネルレンズを使用した第1等灯台に指定されています。レンズはフランス製のもので、レンズ台を含め重量は5トン、焦点距離が922mm。これは日本国内では他に犬吠埼(千葉県)、日御碕(島根県)、角島(山口県)、室戸岬(高知県)の各灯台でしか用いられていないようです。レンズを回転させる装置は、水銀槽式回転機械と呼ばれるもので、1893年にフランスの灯台技師、プール・デーユ氏が重いレンズを円滑に回転させるために発明したもので、パリ万国博覧会に展示されていたものを購入して経ケ岬灯台に設置されています。毎年、秋季の一定期間、灯台記念日にちなんで内部が一般公開されるようです。駐車場から灯台までは400mもあり、かなり上り下りの道なので、歩くのがちょっと大変でしたが、青い海に立つ真っ白な灯台は、写真映えのする場所でした。

▼第1等灯台(だいいっとうとうだい)は、第1等レンズ(レンズ直径 259 cm、焦点距離 92 cm)を使用した灯台で、日本では、現在5ヶ所しかない。灯台で使用しているレンズには、いちばん大きい1等から順に6等までと、6等より小さい等外という等級があり、レンズの焦点距離の長さによって格付けされたもので、日本の中・大型灯台で使用されている灯台レンズの大きさを表す。一番大きなレンズを使用している灯台が第1等灯台と呼ばれている。

 

 等級        第1等 第2等 第3等 第3等 第4等 第5等 第6等

                    大型     小型

焦点距離     920    700    500  375    250  187.5  150

内径        1,840  1,400  1,000    750     500    375      300

レンズの高さ    2,590    2,068    1,576   1,250     722    541     433     (mm)

 

 駐車場から灯台まで400mあり、上り下りもかなりあって疲れる道でしたが、青い海をバックに立つ白い灯台は、一見の価値があります。近畿地方最北端の地に立ったというのも、少し嬉しい気持ちになります。灯台の中は見ることは出来ませんが、すぐ近くを歩くことはできました。灯台について調べ学習を進めると、灯台にも等級があることが分かりました。第1等灯台の一つに行ったことも記念になりました。