ならまち糞虫館 2019年5月13日(月)
昨日は久しぶりに、日曜日に奈良へ行きました。電車にも観光客がたくさん乗っていました。午前中は、幼稚園のI先生が中心になって活動している平城京跡葦原ツバメ観察グループが、ツバメの折り紙イベントを開催しているので参加しました。幼稚園で一緒に虫取りをしている子ども達が、ツバメの折り紙を教えてくれました。なかなか高度な折り紙でしたが折り方を習得しています。「きつね先生、ここ、ここに座って」と言って、直ぐにツバメの折り紙を教えてくれて、その後、「きつね先生、虫取りに行こう」と手を引かれて外に出ました。さすが虫取り名人のこぎつね達です。早々に蝶を3匹捕まえ、テントウムシは成虫、幼虫、さなぎと、どんどん見つけていきます。ミイデラゴミムシも見つけて、これは捕まえると大変だと、きちんとスルーします。桜の木の毛虫も見るだけにしています。虫取り大好きなこぎつね達が来ているのでお菓子を持って行ったのですが、折り紙、虫取りと、子どもペースでどんどん手を引かれて活動したので、お菓子を渡すのをすっかり忘れてしまいました。ごめんね。
午後からは、「ならまち糞虫館」に行きました。昨年の7月、ならまちに糞虫館が開館してすぐに行ったのですが、土日開館なので、平日は中を見ることができませんでした。奈良へは、幼稚園の勤務や、大学の講義に毎日行っていたのですが、糞虫館は土、日にしか開館していないので訪問がずっとできていませんでした。今日やっと訪問することができました。近鉄奈良駅から京終駅に向かって歩きます。奈良こぎつね短大に歩いて行くとき何度も通った道です。近鉄奈良駅から椿井小学校の前、塔の茶屋の前を通る道です。糞虫館は、仏壇屋さんの横の路地を入った奥にあります。民家の一室を改装した小さな博物館で、内部は真っ白いモダンな町屋という感じです。たくさんの人が来ていました。奥さんが受付をしていて、入館料の300円を払うと、カラー印刷の冊子状のパンフレットをくれました。館長はまだ来ていないので、奥さんが展示の紹介を簡単にしてくださいました。展示は2室あり、1室目の左側が奈良の糞虫、右側が世界の糞虫です。丸い球の上に虫ピンで止められている糞虫を見て回りました。いくつか置いてある懐中電灯で照らすと、糞虫はとてもきれいに輝きます。もう一つの部屋には、館長が集めた奈良や世界の糞虫の標本が、標本箱に並べられています。ファーブルが観察したフランスのスカラベもあります。
館長の中村圭一さんが来られて、話を聞くことができました。日本には160種ぐらいの糞虫がいて、そのうちの60種ぐらいが奈良で確認できているようです。日本で糞をころがす糞虫は160種の内の3種ぐらいしかいなくて、それも5ミリぐらいの小さな糞の玉を転がすそうです。館長も見たことがないということでした。「ここに並べられている奈良の糞虫はフンコロガシではなくて、ただの糞虫です」と言っておられました。オオセンチコガネの中で、奈良ではルリセンチコガネと言われる青色の綺麗なものが見られます。京都や滋賀の方では、緑色や銅色のオオセンチコガネだそうです。地域によって色が違っていて、その理由は分かっていないということでした。
今日初めて、奈良に60種類も糞虫がいて、かなり小さな糞虫もいることがわかりました。ネグロマグソコガネ、オビマグソコガネ、チャグロマグソコガネなど、3~5mmぐらいのものが多くいます。これまでもこぎつね小学校で先生をしている時、子ども達とルリセンチコガネを探したことはあるのですが、小さな糞虫まで目が向いていませんでした。唯一、ゴホンダイコクコガネという、立派な角のある糞虫は見たことがありました。この糞虫館には、こぎつね女子大附属小学校の子ども達も訪問しているので、最後に挨拶をしてから帰りました。
帰りに奈良公園で小さな糞虫とルリセンチコガネを探してみました。何度も探したことがあるので、少しコツは分かっています。浮御堂の近くで、糞の下にいたルリセンチコガネを見ることができました。糞の中には先ほど標本で見た小さな糞虫がたくさんいました。奈良公園内のルリセンチコガネは採集禁止になっていて、その他の小さな糞虫は今のところ採集禁止ではないようです。今、多くの外国人観光客の相手をしてくれている1300頭の奈良公園の鹿は一日に1トンの糞をするようです。それらの糞は、ルリセンチコガネをはじめ、小さな糞虫達が分解してくれているということです。大切にしなければいけません。糞虫がいないと、奈良公園はすぐに鹿の糞だらけになってしまいます。
帰りの近鉄奈良線の電車は、人身事故の為、東花園駅で止まってしまいました。若江岩田駅で事故があったようです。案内放送では、復旧には約1時間かかるということを知らせていたので、東花園駅から地下鉄中央線の吉田駅まで花園ラグビー場の横を通って2㎞ほどを歩きました。ここ数年、近鉄奈良線の各駅から北や南へよく歩いているので土地勘はあります。吉田駅から地下鉄中央線に乗り、本町で御堂筋線に乗り換えて帰りました。