昆虫の分類 2019年5月6日(月)
昆虫学について本を読んでいます。石田良輔さんの『昆虫の誕生 一千万種への進化と分類』の前書きには、次のような文章があります。
▼「動物分類学の階層の上では昆虫類は節足動物門に属する一つの綱にすぎない。全動物は20あまりの門に分けられ、門はそれぞれ綱に分けられている。節足動物門以外の動物の門には、昆虫の、それほど大きくない科よりはるかに少ない種しか含んでいないものが少なくない。これは、昆虫類が他の動物群に比べて異常ともいうべき文化、多様化をとげたことを物語っている。」
▼「動物の門の分化は、太古の海の中で起こった。そして、これらの門の多くは、今も海の中を主な棲み場所にしていて、淡水にすむ種はあっても陸上に棲める種を持たない。陸上に棲む種が大多数を占める門は節足動物だけで、しかも、そのほとんどが昆虫によって占められている。これは、海の中に棲んでいる動物が陸上での生活に適応するのがいかに困難であるかを物語ると同時に、陸上生活に適応して生まれてきた昆虫の祖先が新しい環境にいかに巧みに適応したかを物語っている。」
前書きのこの文章を理解するには、動物界の門について知ることがまず必要です。以下のように調べ学習をしてみました。
動物界の分類は、30あまりの門に分けられていて、門はさらに綱に、その下に目、科、属、種となっている階層があります。高校の生物で学習したはずですが、しっかり記憶していません。言葉に立ち止まりながら、読み進めるようにしました。
動物界は、海綿動物門、平板動物門(センモウヒラムシ)、刺胞動物門(クラゲ、イソギンチャク、サンゴ)、有櫛動物門(クシクラゲ)、中生動物門(ニハイチュウ)、扁形動物門(ウズムシ、プラナリア)、紐形動物門(ヒモムシ)、顎口動物門、腹毛動物門、輪形動物門(ワムシ)、動吻動物門、鉤頭動物門、内肛動物門、線形動物門(回虫)、類線形動物門(ハリガネムシ)、外肛動物門、箒虫動物門、腕足動物門、軟体動物門(貝、イカ、タコ)、鰓曳動物門、星口動物門(ホシムシ)、ユムシ動物門、環形動物門(ミミズ、ゴカイ)、緩歩動物門(クマムシ)、五口動物門、有爪動物門(カギムシ)、節足動物門(クモ、エビ、ムカデ、昆虫)、棘皮動物門(ウニ、ヒトデ、クモヒトデ、ナマコ、ウミユリ)、毛顎動物門(ヤムシ)、半索動物門(ギボシムシ)、脊索動物門 (ホヤ、ヤツメウナギ、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類)、があります。
昆虫の属する節足動物門は、4つの亜門に分けられていて、鋏角亜門(ウミグモ、カブトガニ、クモ、サソリ)、甲殻亜門(エビ、カニ)、多足亜門(ムカデ、コムカデ、エダヒゲムシ、ヤスデ)、六脚亜門があります。
六脚亜門は、2つの綱に分けられていて、内顎綱、外顎綱(昆虫綱)があります。ここに昆虫綱が出てきます。外顎綱(昆虫綱)が昆虫の仲間となります。この昆虫綱は、本の表題にもありますが、1000万種の昆虫がいると考えられていて、すでに100万種近くが記載されているということです。
内顎綱 ・・コムシ目(双尾目)、カマアシムシ目(原尾目)、トビムシ目(粘管目)
外顎綱(昆虫綱) ・・イシノミ目(古顎目)、シミ目(総尾目)、カゲロウ目(蜉蝣目)、トンボ目(蜻蛉目)、ガロアムシ目(非翅目、欠翅目)、カカトアルキ目(踵歩目)、ハサミムシ目(革翅目)、カワゲラ目(襀翅目)、シロアリモドキ目(紡脚目)、ジュズヒゲムシ目(絶翅目)、ナナフシ目(竹節虫目)、バッタ目(直翅目)、カマキリ目(蟷螂目)、ゴキブリ目(綱翅目)、シロアリ目(等翅目)、チャタテムシ目(嚙虫目)、シラミ目(裸尾目)、アザミウマ目(総翅目)、カメムシ目(半翅目)、ラクダムシ目(駱駝虫目)、ヘビトンボ目(広翅目)、アミメカゲロウ目(脈翅目)、コウチュウ目(鞘翅目)、ネジレバネ目(撚翅目)、シリアゲムシ目(長翅類)、ノミ目(隠翅目)、ハエ目(双翅目)、トビケラ目(毛翅目)、チョウ目(鱗翅目)、ハチ目(膜翅目)
さらにややこしいのが、石田良輔さんの昆虫分類表には、綱の下に、亜綱や下綱があり、節や類、系、型、群がその下に続き、やっと目が出てきます。目の分類は、実は上記のような羅列ではなくて、後から詳しく階層性が分かってきて、節や類や、系、型、群などの分類基準が増えてきているのでしょう。本の後ろに昆虫分類表があるので、それを見ながら読み進めなくてはいけません。学者によって、また、研究が進むにつれて、この分類はどんどん変化しているようです。