今泉忠明『日帰り登山を楽しむ本』を読む  2019年4月27日(土)

 

 今泉忠明『日帰り登山を楽しむ本』2009PHP文庫を読みました。

 本の裏表紙には、「荷物が少なく、週末の余暇にもピッタリの日帰り登山。本格的な登山には体力的に厳しいし、お金も時間もかかると遠慮がちな人にも断然お薦めです。本書は、中高年からでも気軽に始められる低山を中心に、山歩きの醍醐味をレクチャー。四季を通じての自然との触れ合い方や、もしもの時の安全対策など、楽しい山の思い出を持ち帰るまえに、ぜひ手元に携帯してほしい一冊。」とあります。

 今泉忠明さんは、哺乳類を主とする分類学、生態学の専門家です。上野動物園の解説員や、ねこの博物館の館長をされています。北は利尻山や大雪山、南は西表島の御座岳まで、動物の調査の為に、山を駆け巡ってこられた人です。登山者ではなくて、山で自然調査をされてきた人です。そのような方が、山歩きの時のプランニングや、山歩きのテクニック、天気や自然について、書いています。地形図、方位磁石、フィールドノート、靴や持ち物など、低山ウォーカーでも、基本準備が大切であると書いています。資料を集める、地図を準備してコースを決める、コースのイメージを持つなど読んでいて、その通りだなと思いました。

 自分も大学の卒論で地質調査をしていたことがあり、その時も地図が一番大切でした。どの地点で岩石を採集したのかを示すことができないと、いくら石を集めて分析しても意味がないからです。行く前に、歩くコースを確認して、見通しを持って出かけていました。地質調査の時は、今泉さんと同じように、道が整備されている所ばかりを歩いているのではなく、谷筋、尾根筋に沿って歩いて、地質が変化している場所を見つけるという歩き方をしていました。低山でも、山の中に入ると危険なことがたくさんあるので、行くまでの準備が大切であると思いました。特に谷筋は、小さな山でも滝や崖になっている所があり、動けなくなることがあるからです。低山でも、基本的な準備は大切だと、思い出させてもらえました。地図を準備して、歩く計画を立てたくなりました。

 この本は、計画的に読書を進めようとしている「こぎつね大学」の、フィールド学の一冊目の本とします。動物学者が書かれた低山でのフィールド学として、とてもいい本だと思いました。