岡潔『情緒の教育』を読む 2019年4月19日(金)
岡潔さん(1901~1078)が書かれた『情緒の教育(2001)』を読んでいます。図書館で借りた本です。岡潔さんの本は、家の本棚には古本屋さんで見つけては買い集めた、『春宵十話(1963)』『日本のこころ(1967)』『春風夏雨(1965)』『日本の国という水槽の水の入れ替え方(2001)』『情緒と創造(2002)』などがあります。岡潔さんは、奈良女子大学で教えておられた先生で、数学における発見は国際的な評価をうけています。昨年は、テレビドラマになって、その数学の偉業については、少し知ることができました。数学の業績については、下記のように、本の後記に少しまとめられていました。
▼「天才を育てた女房 世界が認めた数学者と妻の愛」:岡潔夫妻の人生を、妻である岡みちの目線で描いた読売テレビ開局60年記念のテレビドラマ。2018年2月23日に読売テレビ制作・日本テレビ系列『金曜ロードSHOW! 特別ドラマ企画』にて放送された。天海祐希主演、岡潔は佐々木蔵之介が演じる。
▼1934年に発表されたベンケとツーレンの『多変数函数論』のなかに、当時懸案であり未解決の三大問題としてクーザンの問題、近似の問題、レビイの問題があげられていたが、このいずれについても決定的に解決し、その証明に当たっても高次元の領域に含ませる方法や不定域イデアル(後に層の理論となる)の概念など独創的な方法を駆使し、その結果は優れた業績として世界の数学会に認められ国際的に大なる影響を及ぼしている。
『情緒の教育(2001)』の本は、次のような内容になっています。
・序・・山折哲雄
・60年後の日本
・嬰児に学ぶ
・片雲 ・・・ふしぎ、義務教育、非行少年のゆくえ、欲情、中学校の一情景、教育と農耕、博愛、
善行、再び事故について、愛国、
・情緒の教育・・・寺子屋式教育、情緒の中心、大脳前頭葉の働き、感情樹、教育の三期、情緒、
情緒と小学教育
・知性と意思の教育・・・知性の教育、ものの勢い、知性開発の第2期、知性開発の第3期、
意思の教育、知情意の開発された状態
・義務教育私話
・生命
・無明
・春宵十話・・・人の情緒と教育、情緒が頭をつくる、数学の思い出、数学への踏み切り、
フランス留学と親友、発見の鋭い喜び、宗教と数学、学を楽しむ、情緒と智力の光、
自然に従う
・日本的情緒 ・私の受けた道義教育 ・一番心配なこと ・かぼちゃの生いたち
・ロケットと女性美と古 ・好きな芸術家 ・数学を志す人に ・新春放談 ・こころ
・天と地 ・真我の情 ・ある想像 ・京都産業大学講義録
・後記・・松村洋
・岡潔略年譜
岡さんが書かれている教育論を読みながら、「数学では、自分で数式を考えられる人は少ない。そのような教育がされていない。」という意見から、いろいろなことを考えました。そういえば、自分達も与えられた問題を解くことばかりが数学だったなと思いました。数学のことだけでなく、書道も、先生のお手本を見て書くだけでした。英語も、日本語訳ばかりをしていて、自分で英文を書く、英語を話すことは無かったなとも思いました。問題を与えられて、それを解くだけ、写すだけ、読むだけというような教育でした。それぞれの能力や創造性を伸ばさない、教え詰め込む教育だったと思いました。
こぎつね小学校で先生をしている時、力を入れてきたのが、「学習のふりかえり」を書くということでした。今回の学習では、自分は何を学んだのか、何を考えたのか、次は何をしてみたいのかということを中心に、理科、国語、社会、算数、その他すべての取り組みに対して、それぞれ自分の「ふりかえり」を書かせてきました。主体的に学ばせるということだけを狙っているのではなく、子ども自身の考えや、工夫点、疑問点なども書かれてくるので、そこに、プロの教師としての個別指導のコメントを書いてあげることができました。これから始まる英語教育でも、英語でふりかえりを書かせていくと、英語を書く力がつくのではないかと考えます。
大学の講義をしている3年間も、毎回「学習のふりかえり」を大学生に書かせて、これから自分が教師になったとき取り組みたい教育学を創り上げるようにさせてきました。
また、書道で代表されるような、お手本を写すということが修練の中心だと思われるような学びの場でも、もっと鑑賞と創作を中心にして、創造的な書道の取り組みをさせるべきだなと思いました。