元号が令和と発表される 2019年4月2日(火)

 

 新元号の発表が昨日ありました。「令和」と発表されました。30年前、「平成」と発表された時は、地学同好会のメンバーと滋賀県に観察会に出かけている車の中で聞いたことを覚えています。今回は、こぎつね幼稚園で、平城京跡で見られるツバメや昆虫の研究のために集まっている10人ほどの園児や小学生とその親と一緒に発表を聞きました。

 初めて使われる文字だったので、発表されたとき、だれもが予想できなかった言葉でした。元号の発表を聞きながら、このように天皇が変わるたびに元号が1500年にも渡って制定している国は他にないのではないかなと思いました。長く平和な国として、日本の存在自体が世界遺産であるのではないかなと感じました。今回は、日本の古代に書かれた万葉集からその言葉を収集されたようです。

 

読売新聞から引用すると

▼安倍首相は1日正午過ぎの記者会見で、首相談話「新しい元号『令和』について」を自ら読み上げ、新元号について「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。万葉集を出典として選んだ理由では、万葉集が天皇や皇族から農民まで、身分にかかわらず幅広い層の人の歌が収められていることを挙げ、「一人ひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした願いを込めた」と強調した。

と、いうことでした。

 

 令の文字は、万葉集では令月とあり、現在でも令嬢というような使われ方をしてます。漢和辞典を引いてみました。令は命令という言葉にも 含まれますが、「令」自体は、「よい」という意味があるようです。

令人・・よい人。立派な人。

令士・・よいさむらい。立派な男子。

令子・・他人の男の子をほめている言葉。ご子息。令息。よい子。

令日・・よい日。吉日。

令月・・よい月。陰暦2月の別名。

令正・・他人の妻の敬称。令夫人。

令名・・よい誉れ。

 

 以下も読売新聞からの引用

▼「令和」は、日本最古の歌集「万葉集」の「梅花うめのはなの歌三十二首」の序文から引用された。

 万葉集は20巻からなり、主に7世紀から8世紀中頃にかけて詠まれた約4500首が収められている。和歌に漢文の序文が付けられているのは、中国・唐代の初め、漢詩に序文を付けることが流行した影響による。中西進著「万葉集 全訳注原文付(一)」によると、この傾向が万葉集の中に入り込み、独特の表現形式を持つことになったという。

 「三十二首」の序文は、和歌が詠まれた梅見の宴うたげの様子を説明している。この宴は、大宰府(現在の福岡県)に赴任中の貴族、大伴旅人(たびと)の邸宅で、天平2年(730年)の正月に設けられた。

 「初春の令月にして、気淑よく風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひ)らき」の「令月」は「万事をなすのによい月」という意味。万葉集に詳しい上野誠・奈良大教授によると、「よい月に天気がよく、風も優しく梅が咲いて」という解釈になる。上野教授は、「平成は地震などの災害が多かった。『令和』には穏やかな時代になってほしいという願いが込められているのではないか」と分析する。

 「日本年号史大事典」(雄山閣)によると、「和」の字が元号に採用されたのは昭和までで19回、今回で20回目だが、「令」の字は初めて。幕末に元号が「元治」に決まる際、令の字を含む「令徳」も候補になったものの、「徳川に命令する」という意味が込められていると幕府内から反発があり、使われなかったという。

 中国文化学者の加藤徹・明治大教授は、「『令』はもともと神様のお告げのことで、クールで優れているという意味」と解説する。

 加藤教授は「令和」という組み合わせは「熟語としてもあまりないと思う」と語る。一方、「令月」と「和」という組み合わせは、後漢時代の張衡の詩「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」など中国の詩文集にもあると説明する。

 「三十二首」の序文自体も、美文調の漢文で書かれ、後半で落梅を扱った詩があることに触れていることを挙げ、「アジアの文化に対する敬意もこめている文章からとられており、今までの範疇(はんちゅう)を大きく超えたものではない」とも語る。

 安倍首相は記者会見で出典の万葉集を「国書」と述べた。国書とは古典籍のうち日本人の著作した書物のこと。似た言葉の「和書」は仏典や漢籍を含め、日本で製作された書物を指す。

 また、「令」という字は、活字の「令」と、手書きの楷書体とで形が異なる。このことについて、文化庁国語課は「常用漢字表では、同じ字体として判断されている」と説明している。

「令和」の出典

「万葉集」巻第五 梅花(うめのはな)の歌三十二首并(あわ)せて序

▽引用箇所

 初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香

▽読み下し文

 初春の令月(れいげつ)にして、気淑よく風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひ)らき、蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す。

▽現代語訳

 新春の好よき月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如ごときかおりをただよわせている。

 (中西進「万葉集 全訳注原文付(一)」講談社文庫)

 

 これから使っていく「令和」という年号の出典を、まずは学んでおくことは大切だと思い、書き出しておくことにしました。