養老孟司さんの本を読む 2019年3月7日(木)
養老さんの『養老孟司の人生論』を読んでいます。東大の学生、助手、助教授、教授と、第一線の学問所で働いてこられた人です。書かれている内容は、現場の教育者の仕事にも関係のあることを述べられているなと思い読み進めています。1937年生まれ。定年前に東大を辞任してフリーになり、私学の大学や教育系の企業の理事や政府の会議などにも名前を連ねながら、凄い量の本を書かれています。ソニー教育財団の理事もされていたので、どこかで接点はあったのかなと思います。
「選ぶのは対象ではなくて方法だと決めた」という表現がありました。「今の人は対象を選ぶことこそが、自分の選択だと思い込みすぎているんじゃないんですか。それを『方法』だと考えてみると、対象に関する『うるささ』が減ります。仕事もそうでしょ。問題は仕事という対象そのものじゃありません。『仕事をどうやるか』、つまり仕事から自分が何を得てくるかでしょ。どんな仕事であれ、そこから自分が得るものがどれだけあるか、それが重要なんです。仕事は自分の人生の方法であって、仕事自体が目的ではないんですよ。」と書かれていました。
また、「良いことは、人に知られないようにやりなさい。」という言葉も書かれていました。これは、養老さんが通っていた高校の先生が言っていた言葉だそうです。その通りだと思います。なかなか、できないことですが、そんな生き方ができるといいなと思います。
今、幼稚園のこぎつね達と自然観察をしていることと考え合わせると、養老さんの書かれていた「対象が大切なのではなく、方法だ」ということは、石・花・虫という対象が大切なのではなくて、どのように何を学ぶのかという方法が大切だということです。これは、以前から何度も書いてきている、「自由研究発表」にも通じる所があります。どのように追究するのか、何を表現するのか、どのように深めるのかということです。
最近、石を小さな袋に入れて持って来るこぎつねがいます。マジックペンも一緒に準備していて、さらに石の図鑑のコピーも持参しています。今日は、他のこぎつねですが、春の植物も小袋に分けて持ってきました。「これはタンポポだと思うのですが、この二つはなんですか」と聞きます。その2種類の名前を教えてほしいということでした。オランダミミナグサと、タネツケバナでした。マジックで書いてあげようかと、きつねTが持っているマジックで、名前を袋に書いてあげました。名前が分かると、図鑑で調べる手立てにもなり、植物に詳しくなっていくと思います。押し花にしたり、小さなペットボトルに水を入れてしばらく飾っていたりしておくと、花を深く知ることになります。自然に関わる方法が進化してきています。
啓蟄の日である昨日は、年中のこぎつねと、木の皮をはぎながら、木の中にいる虫を探しました。生きている立木の皮をはがすのはよくないことを伝えて、畑の周りに置かれている木の皮をはがしながら、その中にいる虫を探しました。最初は乱暴に皮をはがそうとしていたのですが、そうすると虫を見逃してしまいます。ゆっくり皮をはがしながら、隙間にいる虫をそっと捕まえる方法を身に付けていきました。ハサミムシ、ゴミムシ、ヒル、ダンゴムシ、甲虫の幼虫、キセルガイなどがいました。予想以上の成果でした。これも、学び方を学ぶことになると思います。家に持って帰った生き物をどのようにするかは、また、こぎつねが悩みながら、研究の方法を見出していくことになるのでしょう。
日々、賢くなれ、こぎつね。