アクティブラーニング  2019年2月23日(土)

 

 学習指導要領が変わり、小学校から高校まで、アクティブラーニングの学習方法で学びを進めるようになっていきます。小学校は、これまでもアクティブに活動を通して学習をするのは当たり前だったのですが、中学、高校の授業では、先生の話を静かに聞き、黒板を写す授業が一般的でした。教え込み、覚える、テストをするという学習から、「課題の発見と解決に向けた主体的で協働的な学び」を進める学習に変わっていきます。知識を注入する講義型の授業ではなくて、自ら持ち寄った資料を基に、グループ討議などで学生自身が能動的に学ぶようになります。教師は、質の高い学びへと導くために、資料を補ったり、異なる視点を示唆したりして、より深い学びへと導くしごとをします。答えは一つではなく、それぞれの目的や条件に合った、多様な学びが進められます。

 

 大学教育も、アクティブラーニングの学習へと改革されつつあります。海外の有名大学の多くは、討議型の学習が多いのですが、日本はまだまだ遅れています。ついに、大学改革に踏み出したと思われます。ボーッと聞いている大学の講義式授業から、それぞれの学生の能力をフルに生かしながら学びを創っていくようになります。教師も共に学ぶ人、共に追究する人となります。かなりの能力と経験が必要です。

 

 今年度取り組んだ、こぎつね女子大学の「生活科」の時間では、次のようなアクティブラーニングの学習を進めました。

① 学生達の身の回りのどんなテーマでもよいので、自由研究のテーマとして、B4用紙にまとめを書いてきて、グループ発表をしてもらいました。生活科の学びの対象は、身の回りの生活の中にたくさんあることを、140人の取り組みから、多面的に感じることができました。また、それぞれの能力の競い合いの出発点にもなりました。

② 学生に「生活科とはどのように学びを深める教科なのか」という課題を与えて、資料をそれぞれに探してB4用紙にまとめてくる取り組みをしました。大学生は各地から集まってきているので、自分が育った地域の特質を生かした生活科体験を発表している学生が印象的でした。また、ネットで日本各地の生活科の実践例を探して紹介している学生や、生活科学習指導要領から要点をまとめている学生もいました。自分の子どもの頃の生活科ノートから実践事例の発表をしている学生もいました。B4用紙のまとめを見せながら、6~7人でグループ発表をして、互いにおたずねをし合って、学びを深めました。私(大学の先生)が教えるよりも、互いに深い学びをしているなと感じました。素晴らしい学生の取り組みは、グループ発表だけでなく、全体発表もしてもらいました。そのことによって、指導者の学びの方向性を示すこともできました。

③ 6~7人のグループに分かれて、決められたテーマについて調べ学習をし、劇のような形式で発表交流をする取り組みをしました。テーマは5つ準備しました。「駅前の商店街しらべ」「図書室しらべ」「学校紹介」「近鉄沿線の遠足地しらべ」「秋の公園の自然」のテーマから抽選で決めました。この取り組みを通して、これから小学校の教師になったとき、生活科の学習を進めていく上での、内容や学び方や注意事項などを、体験を通して習得することができたと思いました。

④ お正月の日本の伝統行事や生活について、スマホで写真を撮ってきて、その写真を実物投影機で大きく投影して見せながら、一人一人が自分のお正月の生活の発表をしました。こぎつね小学校の、朝の元気調べの、スマホ写真を活用した取り組みに当たります。年越し、おせち、お雑煮、初詣、お年玉など、140人の情報に、互いに興味を持って学び合うことができました。

 

 中学校でも高校でも、自ら資料を集めてグループ発表をし、さらに本を読んで資料の補強をして、再び討議を深めていく学習が進められます。教師は安易に教えないということが大切です。学生が自分で知識やデータを持ち込み、競い合い、学び合い、討議をして、学びを勝ち取っていく学習なのです。自ら行動できない人は、脱落していくかもしれません。過保護に知識を与えていたこれまでの教育で育った人とは違った、学び方を身に付けた人が新たな社会人として育ってくることになります。

 

 少し前に新聞に取り上げられていた、多動な男の子が増えているというのは、もしかしたら、このような学習になると、一番能力を発揮する人になるのかもしれません。今、幼稚園で、男の子の様子を見ていても、能力を持て余すことで多動な行動になってしまっているなと思う子どもがいます。頭の回転が速く、多動な子どもは、アクティブラーニングの学習には向いています。進化系の人類かもしれません。今後は、教師がそれらの子どもの能力について行けるか、そこが問題になってきます。授業がアクティブラーニングの学習に変わり、先生も、これから淘汰されていくことになるのかもしれません。

 

 こぎつね小学校の学習は、独自学習を進めて、相互学習で討議をして、さらなる独自学習で深めていく学習法です。自由研究発表も、常にしています。アクティブラーニングの学習の最終形のような学習をずっと追究してきている学校です。私は、うるさい、座りなさい、もっと小さな声で、と言い続けなければならないような子ども達に助けられて、多様で楽しい学習を進めることができたと思っています。