朝永振一郎さんの本を読む  2019年2月20日(水)

 

 週に2日の幼稚園通いは、もう1年になりますが、近頃、幼稚園には久しぶりに登園するような気分になります。5時45分の早朝から出かける日が、週に2日間になったからです。本年度は、前期も後期も大学の授業があったので、幼稚園も一週間の中の2日間の仕事でした。週の多くの時間、大学の資料作りなどに追われていたので、幼稚園の2日間も流れの中にありました。2月になると大学の後期の授業が終わってしまったので、週休5日の生活になり、週5日間原稿を書いて、2日間幼稚園に行くような一週間を過ごすようになりました。かつては、5日間小学校に通って、土日には期限が迫ってきている原稿書きをする日々を送ってきた生活から比べると、とても贅沢な時間を過ごしています。

 理科の原稿も3月半ばには提出です。幼稚園も3月半ばで春休みに入ります。3月半ばからは、週休7日生活になります。やっと大きな仕事の流れからオフになるので、これからどんな生活ができるのか、少しは心配ですが、ワクワクする気持ちも大きくなってきています。

 

 朝永振一郎さんの『見える光、見えない光』(2016年 平凡社)を読んでいます。朝永振一郎さんは、1965年に、くりこみ理論による「量子電磁気学の発展への寄与」により、湯川秀樹さんに次いで日本人2人目のノーベル物理学賞を受賞されています。その湯川さんは、中学、高校、大学の同級生です。

 朝永さんの物理の理論はとても難しのですが、湯川さんのエッセイ集と同じく、楽しく読むことができます。湯川さん以上に、文学的な文章を書かれていて、読み応えがあり、世界的な科学者であるのはもちろん、文学者であるような才能を発揮されています。猫の話、子どもの頃の病気の話、小学生のころにいろいろな実験を工夫して進めている様子など、読んでいて引き込まれてしまいます。幼い頃、天才的な能力を発揮している神童のような生活をされているということは全く感じられないですが、エッセイの文章の端々に、物の見方、表現の仕方に、朝永さんの賢さが隠されているのかもしれません。世界の最先端の学者が集まるアメリカのプリンストン大学に1年間おられたころ、研究から逃げ出してさぼった話には、人間味に触れることができました。数学、物理学の天才も、人間的な生活をしながら、世界的な発見をされているのだなと感じることができました。