天牛堺書店が倒産で閉店 2019年1月31日(木)
ショッキングなことです。これまで、多くの本を買い続けていた天牛堺書店が閉店になりました。私の、「晴歩雨読」生活の一角が崩れるような気持ちになります。ネット上では少しニュースになっているのですが、地方の古本屋が閉まったことを、テレビのニュースは取り上げていません。
天牛堺書店は、難波駅の地下街にも一時出店していて、ここは、ほぼ毎日通って本を探していました。また、中百舌鳥駅周辺にも、ショッピングモールの中と中百舌鳥駅横にも天牛堺書店がそれぞれあり、難波を含め3つの店を回遊魚のように周回しながら、いろいろな本を見つけては買っていました。図書館や大型新刊書店とは違う本との出会いがあり、楽しい日々でした。図書館の本は、自分の目指す本がある時は、とても便利なのですが、天牛古書店の場合は、整理されていない本が4日に一回入れ替えられるので、次々と目新しい古本に出合うことができました。
この3つの店を回ると、膨大な本との出会いがありました。谷沢永一さんの本も、高田宏さんの本も、天牛堺書店の古本の中から拾い集めて読んできました。谷沢さんの本は40冊ほど、高田宏さんの本も20冊ほども、探し出しては買い集めていました。他にも登山関係の本、歩きの本、自然についての本、歴史の本、旅行記など、川原の石の中から宝探しをしているような本の見つけ方でした。自分の記憶力を試すように本を探し回り、まだ読んでいない谷沢さん、高田さんの本に出合った時は、「こんなところに隠れていたのか。会いたかったよ。」というような気持ちになりました。おみくじで大吉が出た気分で、その日一日は晴れやかな気持ちになりました。
図書館に行けば、本棚には筆者別に整理されて並べられているので、偶然出会う楽しみはありません。また、図書館のパソコンで検索をかけると、膨大な書庫からも引き出すこともできます。天牛堺書店の場合は、時間をかけて宝探しをするような本との出会いが楽しかったものです。
これから、どこの古書店に行けばよいのでしょう。これまであまり足を運ばなかったブックオフが、難波駅近くにあるので、そこが最後の宝探しの場所になるのかもしれません。しかし、ブックオフは、棚の本が筆者別に整理されていて、天牛のように4日に一回の総入れ替え形式ではありません。図書館と同じように、読みたい作家の本棚の所に行くだけです。天牛はすべての本の表題と作家の名前をリサーチしながら、本探しをしていました。興味のないジャンルの本からも、新たな出会いが得られる楽しみがありました。天牛堺書店は、整理をしていない本の並べ方が魅力であり、それらが常に流動的に動いていて、自分で拾い出して、自分で整理をしたい人の気持ちを掻き立てました。混沌から構造化への気持ちを育てる本屋さんでした。
電車の中では、若者達は、ほぼみんなスマホをしています。本を開いているお年寄りも、図書館から借りた本を読んでいます。若者はネットで本を読むとは言うものの、確実に本は読まないようになっているように感じます。こまった日本になってきていると思います。という私も、古本生活が中心ですが・・。
日本の資源は、人の能力しかないので、日本の若者はもっと本を読んでほしいと思います。