太陽の動きの観察とテスト  2018年12月20日(木)

 

 太陽の動きの観察は、小学校の教科書では、まっすぐに立てた棒の影が動いていることによって、太陽が動いていることを捉えさせるようにしています。太陽を直接見てしまわないように、影が動いていることから太陽が東から南そして西へと動いていることを理解させます。ここで問題なのは、棒の影の先は西から北を通り東へと動くことを観察して、太陽は東から南そして西へと動くことを理解させるので、ボーッと観察をしていると、太陽は西から出て東へと動くと覚え込んでしまう子どもがいることです。昔、天才バカボンというアニメの歌にも「西から昇った太陽が東へ沈む」という歌詞があり、それとリンクしてしまう子どもがいました。学習後のテストで、何人も、太陽は西から東へ動くというように書かれてしまい、ショックを受けたことがありました。

 そこで、影の動きの観察結果から、太陽の動きへと理解ができるように工夫をしました。太陽の影の観察では、棒を立てて、1時間ごとの棒の影を、大きな紙に影の向きと長さで描き取っていきます。その記録を、広い部屋で広げてみます。そのままだと、例えば8時から4時までの、9本の影が伸びているだけです。朝の影は西に長く伸びて、12時の影は北へ短く伸びて、夕方の影は東へと長く伸びています。実際の太陽のある方位や高さが、その影を見ているだけではなかなかイメージできません。そこで、棒を挟んで影の反対側に、砂の錘を入れたペットボトルを棒から1mほど離して半円を描くように9本置きました。そのペットボトルには、細くて長い竹ひごを立てて、その竹ひごには、赤く塗った発泡スチロールの赤い球(直径5センチぐらい)を差し込んで取り付けました。記録した影の先端と、棒の先端をつなぐ直線を延長させて、ペットボトルに刺した竹ひごとの交点に、赤く塗った発泡スチロールを上下させて移動させます。その作業を、午前8時、9時・・・12時・・・3時、午後4時としていくと、赤く塗った発泡スチロールが、東から次第に南へなるほど高く昇っていき、西へと沈んでいく様子が立体的に見えてきます。影の長さだけでは分かりにくかった太陽の方位と高さを、目に見えるように表現することができました。子ども達の理解を助ける事になったのではないかと考えました。

 もう一つ、天空の太陽の動きを捉えさせるには、直径20㎝ほどの透明半球を使って、そこに太陽の動きを、1時間ごとにシールで記録していく方法があります。中学校の理科の教科書に紹介されているのですが、小学校の3年生の太陽の動きの観測にも使ってきました。影の動きの観察より、子ども達の理解は、透明半球による太陽の動きの観測の方が分かりやすいのではないかと考えて取り組んできました。しかし、これには、困ったことがありました。教科書に沿ったテストの場合、影の動きの観測を基にして問題が作られているので、棒の影を使った太陽の観測をしていないと答えられない問題があるということでした。

 私は、これまで、本屋で売っている子ども用の理科問題集を書いたり、学校でよく使われているテストを作ったりした経験があるのですが、その時は、例えば啓林館理科教科書用の問題集やテストを作る場合、その教科書に書かれている観察に沿って、事細かく問題を作ります。子ども用問題集や学校用テストはこのように作られていることを知っています。そのため、教科書と違った実験や観察をさせていると、問題集やテストに答えられないということになってしまって、勉強熱心な子どもに迷惑をかけてしまうことになるというジレンマがありました。