子ども達をうまくまとめるにはどうしたらよいか 2018年11月13日(火)
教職系大学1回生のおたずねに答えています。今日で3日目です。今日は、23項目の中の13~16のおたずねについて、考えてみることにします。先週1週間、体調がよくなくてフィールドワークに行けていませんでした。猛暑の夏を考えると、今は、歩くにはよい季節なのに、もったいないです。
Q13.昔の子どもと現代の子どもの、違いと共通点は何ですか。
きつねT:案外難しいおたずねです。昔の子どもと言っても、昭和30年代(自分が育ったころ)、昭和40年代(自分が中学~大学生の頃)、昭和50年代(教師になった頃)と、生活の様子は大きく変化し、子どもの生活も変化しました。また、堺市で先生をしていた20年間と奈良こぎつね附属小で先生をしていた20年間の違いもあります。自分の成長軸で考えると、昭和30年代(テレビや電話や冷蔵庫が普及し始める)、40年代(自家用車が家庭に普及)、50年代(クーラーが家庭に普及)というような時代です。子ども達は、学校では学校の友達、家では近所の年齢の違った友達と、遊んでいる時期でした。テレビが各家庭になかったころは、日暮れまで外で遊んでいて、夜は本を読んだり、絵を描いたりしていたような気がします。私自身、塾へは行ったことがなく、習い事も週に一つぐらいでした。自分で考えて行動している時間が多かったと思います。次に、教師になってからの前半の20年間と後半の20年間の子ども達を比べると、前半は塾に行っている子どもが少なかったので、教室での学習が、全てが新たに知ることばかりで感動のある学習でした。後半は、塾やパソコンが普及し始めて、子どもは自らいろいろな情報を教室に持ち込んで学び合う学習になりました。昔も今も、子どもは常に、自ら学びを追究することが大好きな存在だと思います。
Q14.一人ひとりと交換ノートのような日記みたいなやり取りをしたいのですが、現実的にはできるものなのでしょうか。
きつねT:こぎつね小の20年間は、子ども達に日記を毎日書かせていて、その返事を毎日書いていました。日記ノートを2冊準備してもらって、提出された1冊を預かって放課後返事を書いて、翌日返却する方式をとりました。子ども達が40人いると、日記を読んで返事を書くには最低1時間かかります。それを毎日続ける覚悟が必要です。また、全ての学習ノート(国語、算数、理科、社会など)も提出しているので、これらは、専科の先生の授業の時や給食時間や昼休みに見ていきます。膨大な量の仕事があるのですが、ノートを見ることが小学校の先生の一番大切な仕事と思いました。今、生活科の学習では、大学生140人のノートを見るのに、3~4時間はかかります。自由研究の提出が重なれば、倍になります。ノートに書かれた「学習のふりかえり」からいくつかをテキストに打ち込み、評価と出席を記載するために順番に並べなおして一覧表に転記し、さらに次の時間のテキストを仕上げます。大学の講義でも次の学習までに最低8~10時間はかかります。時間と手間をかけると、子どもは少しだけ育ってくれます。
Q15.生活科の指導案は、どのような書き方をしますか。参考書などはあるのでしょうか。
きつねT:指導案は、それぞれの学校や地域や教科によって、書式が違っています。こぎつね附属小にも、その学校の伝統的な書き方がありました。一般的な指導案は、単元名、単元目標、教材観、本学級の子どもの様子、指導について、到達度目標、単元指導計画、本時の目標、本時案、を書きます。大きな図書館(大阪市立中央図書館、大阪府立中央図書館)には、生活科の月刊誌があると思いますので、見てください。そこにはいろいろな事例が出ています。また、秋から冬にかけて、土日には、全国あちこちの附属や私学の小学校で研究発表会があるので、お金はかかりますが、参加されると授業を見たり最新の指導案が手に入ったりします。学生は、一般の先生方より安く参加費が設定されています。ちなみに、奈良女子大学附属小学校は、2月上旬に研究発表会があります。もうすぐ案内状ができると思いますので、紹介しますね。また、指導案を手に入れる一番簡単な方法は、ネットに掲載されている指導案をいくつが印刷してみて、その書式を研究してみるとよいでしょう。学生が、自分で指導案をいくつか手に入れて、比較検討をしているというのは、かっこいいですよ。
Q16.私は幼稚園の実習に行かせてもらっているのですが、私が思っていたより、とても良い子達で、「~しようね」というとすぐに行動してくれます。ですが、まだまだまとめるのは、難しいと感じてしまいます。子ども達をうまくまとめるには、どうしたらいいですか。
きつねT:担任の先生に指導力があり、きちんと学級指導されている場合、教育実習生や補助の先生が指示をしても、子ども達はよく話を聞いてくれます。集団としての決まりが出来ているからです。小学校でも一緒です。新しい学年を、ベテランの先生と新任の先生が持った時、最初は同じようにクラス分けしているけれど、1週間もすれば、ベテランの先生のクラスは落ち着いて学習をスタートしているのに、新任の先生のクラスはどんどん無法地帯のような荒廃した状況になっていくことがあります。では、子ども達をうまくまとめるには、どうすればよいかというと、「子どもの話をしっかり聞くこと」、そして、「先生が子どもに話す興味ある新しいネタをいつもいくつも持っていること」が大切です。大学の学習でいうと、子どもの話を聞くことは、学生に発表させて、ふりかえりのノートをしっかり読むことです。新しいネタは「こぎつね生活」をしっかり書いて発想や情報を伝え、学生主体の学習形態を毎回新規に提案することに当たると思います。どちらか一方だけではだめで、両方が必要だということです。実習生は、幼稚園の動きや担任の先生の指導計画に合わせて指示をしていると思いますが、自分の学級を持った時には、「子ども全員の話をしっかり聞く時間や方法」と「楽しい学習の提案や新しいネタの提示」の両方ができると、学級指導ができると思います。